ウェルド調教師、引退したタルナワを賞賛(アイルランド)[その他]
ダーモット・ウェルド調教師は11月11日、アガ・カーン殿下の卓越した牝馬、タルナワが引退したことを明らかにした。そして、およそ50年におよぶキャリアにおいて手掛けた中で最も優秀な馬にタルナワは入ると評価した。
タルナワが11月6日のBCターフ(G1 デルマー)で実力を発揮できなかったことをうけ、2シーズンにわたって欧州で最も高いレーティングを得てきた牝馬のキャリアに終止符を打つことが決定された。
ウェルド調教師は本紙(レーシングポスト紙)に対してこう語った。「彼女は華々しく引退します。これまで調教した中で最も輝かしい牝馬です。またG1競走で壮大なパフォーマンスを見せてくれた驚くべき牝馬でした」。
「彼女のレースを4シーズンにわたって見てきましたが、走るたびに良くなっていきました。彼女には強い精神・適性・能力といった素晴らしい資質があり、これまでに手掛けた中でまさに最高の1頭です」。
タルナワは昨シーズン、ヴェルメイユ賞(G1 ロンシャン)とオペラ賞(G1 ロンシャン)で印象的な勝利を達成し、強豪馬がそろったBCターフ(キーンランド)で牡馬を蹴散らし優勝した。そして凱旋門賞(G1 ロンシャン)を制覇することを目標に2021年も現役を続けた。
タルナワ(父シャマルダル)はきわめて厳しい条件となった凱旋門賞に果敢に挑んだものの、ドイツから来た衝撃的な覇者トルカータータッソに¾馬身差をつけられ惜しくも敗れた。
これはレーティング122のこの牝馬にとって今シーズン2度目の惜敗だった。物議を醸した愛チャンピオンS(G1 レパーズタウン)では、セントマークスバシリカがコースを横切って彼女の進路を遮ったために凱旋門賞と同じ着差で敗れていた。
ウェルド調教師はこう続けた。「アガ・カーン殿下が彼女に5歳も現役を続けさせたことにとても感謝しました。なぜならそれは殿下の従来の方針ではないからです」。
「彼女はその決定に報いて2度も素晴らしい奮闘ぶりを見せました。それはヨーロッパ年度代表馬セントマークスバシリカに敗れた愛チャンピオンSと、そのあとの凱旋門賞です」。
「平均的な幸運ともう少し良い馬場とましな枠順に恵まれていれば、彼女は凱旋門賞で勝っていたのではないかと思っています。私はこの枠順(ゲート番:3)が彼女の凱旋門賞での敗北につながったのではないかと感じています」。
「彼女には不屈の精神があります。殿下の繁殖牝馬群にとって彼女は素晴らしい追加メンバーとなるでしょう。ブリーダーズカップの主要レースを制覇することが私の最大の願望の1つでしたが、彼女は昨年、キーンランドでそれを叶えてくれました」。
10月のロンシャンでの厳しい試練が、11月6日のBCターフでユビアーに後塵を拝して14頭中11着に終わった期待はずれのパフォーマンスの要因に挙げられる。
ウェルド調教師はこう語った。「彼女の切れ味がやや弱まったのかもしれないと感じています。彼女はこのレースに向けてとても調子が良かったのですが、凱旋門賞ではきわめて骨の折れる馬場状態で並外れてタフなレースをしていました。そのレースで勝つために全力を尽くしていたのです」。
「それに加えて、カリフォルニアへの長旅が彼女を鈍らせてしまいました。見た目は素晴らしく、すべてが順調だったのですが、精神的な鋭さが足りなかったですね」。
By Mark Boylan
(関連記事)海外競馬ニュース 2020年No.36「タルナワ、後方からの強襲でヴェルメイユ賞を制覇(フランス)」、2021年No.41「セントマークスバシリカ、審議を乗り切り愛チャンピオンS優勝(アイルランド)」、No.37「トルカータータッソ、強豪を退け衝撃的な凱旋門賞制覇を達成(フランス)」
[Racing Post 2021年11月11日「'She's been wonderful' - Weld praises Tarnawa after mare is retired」]