サルートザソルジャー、アルマクトゥームチャレンジラウンド3優勝（ドバイ）[その他]

　サルートザソルジャーはスーパーサタデー（3月6日　メイダン）のアルマクトゥームチャレンジラウンド3（G1　ダート2000m）で断固たる勝利を収めてドバイワールドカップ（G1）への出走権を獲得し、最も国際色豊かなG1馬となった。

　サルートザソルジャー（せん6歳）はドイツ産馬であるが、共同所有者でもあるバーレーンのファウジ・ナス調教師により管理され、オランダ人ジョッキー、アドリー・デフリース騎手が騎乗した。デフリース騎手はこのレースにおいて、不気味なほど巧みにサルートザソルジャーを終始先頭に立たせながらも、必ず余力を残すようにしていた。

　サルートザソルジャーの血統を見れば、さらに国際性の高さが分かる。同馬は有名な英国人馬主アラン・スペンス氏により生産され、母は未出走馬ストリートファイア（父ストリートクライ）である。ジャドモントファームのファミリー（牝系）に属するストリートファイアは、G1優勝牝馬モンザンテの半姉を母とする。サルートザソルジャー以外では格下レースの勝馬しか送り出しておらず、そのうち数頭はサウジアラビアにいる。

　かつてスペンス氏とクライヴ・コックス調教師に共同所有されていたサルートザソルジャーは2019年、格下から少しずつ昇級し、グッドウッドとアスコットで高額賞金のハンデ戦を連勝した。その後、タタソールズ社オータム現役馬セールに上場され、ナス調教師の代理人オリヴァー・セントローレンス氏により38万ギニー（約5,985万円）で購買された。

　サルートザソルジャーは昨年、スーパーサタデーのバージナハール（G3 ダート1600m）で圧勝したが、ドバイワールドカップナイトが中止されたため、その競馬の祭典に参戦する機会を失った。そして、今年2月のアルマクトゥームチャレンジラウンド2（G2）で優勝するまでレベルを上げていた。

　サルートザソルジャーの父セポイはダーラムホールスタッドで5シーズンを過ごした後、ダーレーの豪州の牧場に戻っている。南半球の最優秀スプリンターはこれまで、G1優勝産駒を1頭しか送り出していなかった。それは、ゴドルフィン所有でジェームズ・カミングス調教師が管理する気品ある牝馬アリーゼーである。

　デフリース騎手はドバイレーシングチャンネルにこう語った。「厩舎にこのような馬がいて、ドバイワールドカップでの活躍を待ち遠しいと思えるのは嬉しいことです。最高です。彼はまだ少し癖がありますが、今ではだいぶ落ち着いています。大器晩成型の馬なので、タンクにはまだもう少し燃料が残っているとつねに考えています」。

　スーパーサタデーでは、ゴドルフィンの数頭の有力馬が優勝し、威厳あるロードグリッターズがジェベルハッタ（G1　芝1800m）を制して再びG1勝利を収めた。これらのことを別にすれば、馬主グループのクールシルクパートナーシップ（代表：ピーター・スワン氏）にミッドナイトサンズ（Midnight Sands）がバージナハール優勝をもたらしたことが大いに注目された。

　エージェント（馬売買仲介者）のマット・コールマン氏とジェームズ・ギヴン元調教師が支援するクールシルクパートナーシップは、ブリーズアップセールでプリンスオブリア（Prince Of Lir）やサンズオブマリ（Sands Of Mali）などを購買してその活躍が目立っていた。

　ミッドナイトサンズ（牡5歳　父スパイツタウン）は、アルカナ社のセールにおいてブラウンアイランドステーブル（Brown Island Stables）から9万ユーロ（約1,170万円）で購買された。英国のジェームズ・ギヴン厩舎で目立たない競走生活をスタートさせたが、ドバイのダグ・ワトソン厩舎に転厩し、そこでハンデ戦を5勝して才能を開花させた。

　その後、米国のブレンダン・ウォルシュ厩舎に転厩して数戦したが、良い成績を残さなかった。しかしダグ・ワトソン厩舎に戻った途端、今回のレースで堅実な2¼馬身差の勝利を収めたことで、有力馬の1頭としてドバイワールドカップナイトのゴドルフィンマイル（G2）に挑むようだ。

　ワトソン調教師はこう語った。「ブレンダンは立派な仕事をしました。1ヵ月間の検疫を経て戻ってきたミッドナイトサンズは見違えるようにきれいでした。彼はドバイでこそ本領を発揮する馬であり、最近の2回の追い切りは本当に素晴らしかったです」。

　「攻略が難しい12番ホールに挑むにはまだ実力が足りていないと考えていましたが、誰かが"コースレコードに近い走破タイムだ"と言ったのが聞こえました。彼はただ、堅実な優良馬です。彼には感動させられました」。

By Tom Peacock

（1ポンド＝約150円、1ユーロ＝約130円）

［Racing Post 2021年3月6日「Global success story for Salute The Soldier in Group 1 company」］