CHRBの馬医療担当理事であるブレア博士の獣医師免許を一時停止(アメリカ)[その他]
カリフォルニア州競馬委員会(CHRB)の馬医療担当理事に就任して1年目のジェフ・ブレア博士は1月3日、カリフォルニア州の獣医師会(Veterinary Medical Board:VMB)により獣医師免許を一時停止とされたと、ロサンゼルスタイムズ紙が伝えた。馬医療担当理事を務め続ける上で有効な獣医師免許は必要でないものの、この措置はブレア博士のCHRBにおける地位を危うくするかもしれない。
ナナ・チン行政法判事は仮停止命令の中で「VMBはブレア博士が最近の競走馬の突然死についてCHRBが進めている調査に影響を与える可能性があることを懸念している」と記したと、ロサンゼルスタイムズ紙は報じている。複数の馬の死が示唆されているものの、疑いようもなくケンタッキーダービー(G1) 1位入線馬メディーナスピリットが主な焦点である。ボブ・バファート調教師が手掛けたこの馬は12月、サンタアニタパーク競馬場で追い切り後に倒れて急死した。この馬の死については検査と剖検が進められている。これらはCHRBが監督する施設で命を落とした馬への標準的な処置である。
今回のVMBの措置は、12月にブレア博士、ヴィンス・ベイカー獣医師、サラ・グレイビル・ジョーンズ獣医師に対して申し立てられた苦情を受けてのものだ。ブレア博士以外の2名については獣医師免許に関する緊急の審問は開かれず、正式な審問が開かれるまで免許を保持することになったと、ロサンゼルスタイムズ紙は伝えている。
12月の訴状には、ブレア博士がCHRBの理事に就任するよりも前に競馬場の獣医師として個人営業していたときの8つの疑惑が挙げられている。VMBは、ブレア博士とほかの2名の獣医師が診察もせず医学的必要性もないのに、甲状腺治療薬のサイロキシンなどの薬剤を馬に処方し投与しているという匿名の苦情を受けたと述べている。
一部のホースマンや獣医師のあいだでサイロキシンは人気があったが、過剰処方の疑いがもたれていた。見境のない使用を規制するために、CHRBは2014年から獣医師やホースマンに対して甲状腺ホルモンの処方・調剤・表示に関する指示を出していた。
ブレア博士はロサンゼルスタイムズ紙のこの記事に関してコメントを出すことを控えた。同博士は15年間馬医療担当理事を務めたリック・アーサー博士の退任にともない、2021年7月1日からその役職を引き継いでいる。
カリフォルニア州司法長官のロブ・ボンタ氏と司法長官代理のエレイン・ヤン氏はブレア博士の獣医師免許の停止を求める嘆願書の中で、「不適切に見えるだけでも一般の人々の信頼を損なう」として停止を要請していた。
CHRBの専務理事であるスコット・チェイニー氏は1月5日、本誌(ブラッドホース誌)に対してコメントを出すことを控えた。同氏はロサンゼルスタイムズ紙に対する声明(1月4日付)においてこう述べている。
「私たちは命令を認識しており、CHRBは適切な行動指針を決定している最中です 。先週述べたように、しばらく前からブレア博士のことは知っており、困難な時期にある彼をサポートし続けています」。
ブレア博士がCHRBの馬医療担当理事であり続ける場合は、次のCHRBの会合(1月20日)でVMDによる措置について議論される可能が高い。それは、パブリックコメントのセッション中も、組織内部の課題のために予定された委員による非公開セッション中も、話し合われるだろう。
ロサンゼルスタイムズ紙の報道によれば、VMBは1月21日にブレア博士に関する正式な審問を開き、半年から1年以内にこの疑惑について裁定を下す予定であるようだ。
By Blood-Horse Staff
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