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海外競馬ニュース
2022年05月12日  - No.16 - 3

DAZNがスポーツ賭事市場に参入(イギリス)[開催・運営]


 激戦の賭事市場は、メディア企業やスポーツ専門動画配信サービスの参入により新たな戦線が開かれつつある。

 DAZN(ダ・ゾーン)は4月21日(木)、賭事・ゲーミング供給業者のプラグマティックグループ(Pragmatic Group)と提携してDAZNベットを設立し、賭事サービスを提供する計画を発表した。

 そしてDAZNベットは4月25日(月)、高い評価を得ているマーク・ケンプ氏をCEOに迎えることを発表した。

 DAZNベット設立の発表では大胆な宣言が行われた。数年のうちにこの計画はインターネットを介したライブスポーツ配信に賭事を組み合わせた世界初のサービスへと発展し、"ファンにとってより魅力的でインタラクティブな体験を作りだす"とDAZNは主張したのだ。

 DAZNグループのCEOシャイ・セゲフ氏はこう語った。「将来はスポーツメディアと賭事が一点に集まることになります。この歴史的なパートナーシップにより、一流スポーツメディア企業と、ファンにとって革新的な体験を作りだすことに専念してきたテクノロジーパートナーが1つになります。より広い範囲のデジタルエンターテインメントをファンに提供することで、スポーツ観戦体験に新たな活力を与えるというDAZNのコミットメントを強めるものです」。

 セゲフ氏はかつてエンテイン社(ラドブロークス社とコーラル社のオーナー)でCEOを務めた経験がある。

 しかしDAZNだけではなく多くのスポーツ専門動画配信サービス、そしてフォックスやスポーツ・イラストレイテッドなどのメディア企業が、とりわけ米国で急成長しているスポーツ賭事産業を利用して従来の産業に挑戦しようとしている。

 その中にはディズニーも含まれている。CEOのボブ・チャペック氏は昨年11月、大手メディア企業であるディズニーはESPN(スポーツ専門チャンネル)を通じたスポーツ賭事への進出を目指していると発言している。

 英国の大富豪サー・レン・ブラバトニックが所有するDAZNは、"スポーツ界のNetflix"になる野望を抱いていると言われている。

 2016年にドイツ・オーストリア・スイスで初めてサービスを開始したDAZNは、現在では200を超える地域に事業を拡大している。BBCは昨年、世界には1,500万人のDAZN加入者がいると報じた。

 DAZNは昨年、25億ユーロ(約3,375億円)のオファーでイタリアのトップサッカーリーグ"セリエA"の国内主要放映権を獲得した。またマッチルーム・ボクシングと1億ポンド(約160億円)といわれる5年間の配信契約を交わし、スカイスポーツからその座を奪い取った。

 しかしDAZNは今年、BTスポーツの買収に失敗しており、当面のあいだは英国市場で手を広げる望みは絶たれ、株式公開の計画も頓挫した可能性がある。

 また2019年に14億ドル(約1,820億円)、2020年には新型コロナ感染拡大の影響で13億ドル(約1,690億円)という大損失を出している。サー・レン・ブラバトニックは今年初め、DAZNの借金を解消するために43億ドル(約5,590億円)の資本増強に同意している。

 それゆえ、新たな収入源の模索はなおさら重要なものとなっている。以前からDAZNはスポーツ賭事への意欲をアピールしていた。

 DAZNはエンテイン社のバリー・ギブソン会長が応じることのできないようなオファーを出し、昨年1月にセゲフ氏を採用した。それ以来、エンテイン社の元社員を中心にギャンブル分野での経験が豊富な幹部を多く雇ってきた。

 昨年9月には、GVC社(エンテイン社の前身)でB2B(企業間取引)部門のリーダーを務めていたイアン・ターンブル氏が賭事&ゲーミング部門の執行副社長として入社した。一方、ウィリアムヒル社のサッカー&USスポーツ部門のリーダーだったリアム・バーバー氏が新規製品戦略部門の上席副社長として採用されている。

 また、エンテイン社のCCO(最高商業責任者)サンディープ・ティク氏がDAZNにCTO(最高技術責任者)として参加する予定である。さらに4月25日(月)にはUKトート社とエンテイン社で上級職を務めたこともあるボイルスポーツ社のCEOケンプ氏がDAZNベットのCEOになることが明らかにされたのである。

 ケンプ氏はこう語った。「スポーツメディアにおけるDAZNの影響力と専門性を活かし、今日の視聴者に楽しくかつ有意義なものを提供します。新しいチームとDAZNと協力して、魅力的で信頼できる新たなエンタテインメント商品を世界中のスポーツファンのために作り上げることを楽しみにしています」。

 ターンブル氏は、スポーツ賭事を提供するためのこのパートナーシップは、「DAZNがよりワクワクする豊富なコンテンツを顧客に提供するための1つの方法にすぎません」と述べた。

 さらに「長時間のコンテンツを楽しむファンはより総合的で実体感を伴うインタラクティブな体験を望んでいると、私たちは認識しています。DAZNはそれを提供していきます」と続けた。

 「スポーツのライブ配信と並行して、たまにしか賭事を行わない顧客も楽しみながら手軽に一体的な体験をできるようにしていきます。弊社はインプレイベッティング(各種スポーツの試合中に賭けをすることができるオプション)の流行に対応していくだけでなく、顧客が望むものに応えていくのです」とDAZNは述べている。

 しかし配信がライブの動きよりも相当遅れることが多い中、インプレイベッティングが実現できるのかを疑問視する人もいる。

 ジブラルタルに本社を置くDAZNベットは、サッカーの新シーズン開幕に合わせてソフトローンチする予定である。その頃には計画がより明確になっているはずだ。

By Bill Barber

(1ユーロ=約135円、1ポンド=約160円、1ドル=約130円)

 (関連記事)海外競馬情報 2022年No.1「魅惑的な米国の4000億ドルの巨大賭事市場(アメリカ)

[Racing Post 2022年4月25日「DAZN reveals sports betting plans as new front opens up in gambling battleground」]

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