ジャパンとモーグルの母、シャスティが21歳で死亡(イギリス)[生産]
ニューセルズパークスタッド(ハートフォードシャー)は、ひときわ優れた繁殖牝馬、シャスティ(21歳)がドバウィの牡駒を出産した直後に死んだことを伝えた。
ニューセルズパークスタッドとその元オーナーのジェイコブズ家にとって、シャスティ(父デインヒル)は一大現象となっていた。ジェイコブズ家は同スタッドを改修・増築してグラハム・スミス-バーナル氏に売却している。
まさにG1馬を送り出す繁殖牝馬、シャスティが送り出した仔は1歳セールだけで合計1,500万ポンド(約24億円)以上の値をつけた。彼女は5月1日(日)の深夜に突然出血し、ほどなく息を引き取ったと言われている。
シャスティは生産者でもある以前の馬主スカラグレンステーブルズのもとで競走生活を送り、2勝を挙げてリステッド競走で2着となっていた。そして2005年タタソールズ社12月繁殖牝馬セールに上場され、クラウス・J・ジェイコブズ氏とジョン・ウォレン氏により62万5,000ギニー(約1億500万円)で購買された。
代表的な仔はガリレオを父とする兄弟、ジャパンとモーグルである。2頭はクールモアにより7ケタ(百万ポンド以上)で購買され、いずれもパリ大賞(G1)を制して現在では種牡馬となっている。サーアイザックニュートン(父ガリレオ)はG3競走で優勝し、英インターナショナルS(G1)では4着となった。また、英オークス(G1)と独オークス(G1)で2着となったシークレットジェスチャー(父ガリレオ)はビヴァリーDステークス(G1)で1位入線したが審議の末3着に降着となった。
さらに、2020年タタソールズ社10月1歳セール・ブック1においてM・V・マグニア氏が340万ギニー(約5億7,120万円)で購買したスカイラーク(Skylark エイダン・オブライエン厩舎)という3歳牝馬は現在のところ未出走だが、G1競走に出走登録している。
ニューセルズパークスタッドが出した声明にはこう記されている。「シャスティの仔の活躍は、主に驚異的な種牡馬ガリレオとの抜群の組合せから生じました。そして静まり返ったセリ会場でも、エプソム・ヨーク・ロンシャン・シャティンなどの競馬場の歓声の中でも、私たち全員に最も忘れられない瞬間をもたらしました」。
「ニューセルズパークスタッドが2020年末に売りに出されたとき、どの牝馬よりもきわだっていたのはシャスティでした。彼女は何が実現可能なのかを証明してくれたからです」。
「シャスティはニューセルズパークスタッドをふたたび有名な牧場にし、商業的に成功させました。それにより、思いやりがあり熱心で情熱的な新たなオーナー、グラハム・スミス-バーナル氏を魅了することになりました。同氏は次世代のためにこの牧場の管理を引き継ぎます。とてつもなく素晴らしい牝馬、シャスティ、ご冥福をお祈りします」。
By Tom Peacock
(1ポンド=約160円)
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[Racing Post 2022年5月2日「Death of Newsells Park broodmare phenomenon Shastye at 21」]