アルピニスタ、サンクルー大賞を制してG1・4連勝(フランス)[その他]
7月3日(日)サンクルー大賞(G1 サンクルー)
アルピニスタは2400m戦の主役の座に躍り出た。ルーク・モリス騎手が"ちょっとびっくりした"と認めるほどの末脚でサンクルー大賞を制したのだ。
カーステン・ラウジング氏の自家生産馬アルピニスタ(父フランケル)は8ヵ月間の休養明けでこのレースに出走した。サー・マーク・プレスコット調教師も「まだ最高レベルには程遠い」と予告していた。しかしそんなことはお構いなしに、アルピニスタはバラッティをかわし、ハリケーンレーンとメアオーストラリスという強豪ライバルを大きく引き離したのだ。
アルピニスタはドイツで3つのG1競走を次々と制し、そのうちの1つ、ベルリン大賞(G1)で打ち破ったトルカータータッソが凱旋門賞(G1)で優勝したことでその実力は究極の賛辞を受け、2021年秋に評価が急上昇した。
10月2日に施行される欧州最高峰のミドルディスタンス競走、凱旋門賞が彼女のメインターゲットとなるだろう。パディパワー社はアルピニスタの単勝オッズを34倍から15倍に引き下げた。
サンクルー大賞での疲れからうまく回復すれば、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1 7月23日 以下キングジョージ)もアルピニスタにとってぴったりのターゲットと言えるだろう。しかしプレスコット調教師とラウジング氏は彼女を比較的に慌ただしい形でキングジョージ(アスコット)に向かわせるのが良いのかどうか、少し時間を置いて決めたいと考えているに違いない。
プレスコット調教師の助手、ウィリアム・バトラー氏はこう語った。「凱旋門賞まではドイツでの成績は過小評価されていましたが、その後に誰もが注目してくれるようになりました。馬場状態が良ければ彼女が抜群の走りを見せると常に確信してきました」。
「今年の初戦でした。とても辛抱強く調整してきたので、出走させるのに少し不安もあったのです。しかし彼女は一流の牝馬ですね。ラウジング氏とランウェイズスタッド(ラウジング氏の牧場)の皆さんにとっても素晴らしいことです」。
アルピニスタ陣営は、7月2日(土)にトルカータータッソがハンザ大賞(G2 ハンブルク)を制して調子を取り戻したことに間違いなく満足している。英ダービー馬デザートクラウンも強敵として臨むであろうキングジョージに向かうことになれば、トルカータータッソとの再戦ということになりそうだ。
バトラー氏はこう語った。「今年は彼女を大舞台に連れて行かなければなりません。今回のレースを足掛かりとしてうまくいくとしたら良いのですが」。
「キングジョージはレース間隔が短すぎるかもしれませんが、これまで彼女は楽なシーズンを過ごしてきました。大舞台を目指すのであれば、次は1½マイル(約2400m)のG1競走に出走させるのが妥当でしょう。それでもどうなるか様子を見てみます。もう少し長い間隔をとるかもしれませんね」。
「私たちは凱旋門賞から逆算して計画を立てました。去年の凱旋門賞は出走計画のちょうど悪い時期に当たってしまいました。だから今年は凱旋門賞に出走させるのだということを決めていたのです」。
モリス騎手は発走直後にバブルギフトとわずかに衝突したが(これにより4日間の騎乗禁止処分を受けることになった)、その後はG1競走らしい順調な展開となった。
そして、「アルピニスタはあまり激しく走ったわけではないので、秋に向けての良い準備となりました。去年の秋に才能を開花させ、ここに来てちょうど良い感じで走れるようになったと思います。さらに前進してくれることを大いに期待しています」と述べた。
モリス騎手はアルピニスタの決定的な末脚に驚いたかと聞かれて、こう付け加えた。「ちょっとびっくりしましたね。昨年彼女が出走したレース、すなわちランカシャーオークス(G2)とドイツでの3戦はすべてスローペースだったのです。今回彼女は少しぎこちない様子でしたが、ペースが速くなりそうだったのでやや辛抱づよく騎乗しました」。
「直線に入っていくときに圧力を掛けていくと、あっという間にゴールに迫っていました。鮮やかな末脚を見せてくれましたね。すべての道がフランスに通ずることを願っています」。
バラッティは常に重賞制覇の可能性を秘めているように見られており、今回は1¼馬身差で敗れたが大きく前進した。道中完璧に走っていたものの直線ですぐに垂れてしまった同じ厩舎のメアオーストラリスとはまったく対照的だった。
アンドレ・ファーブル調教師はこの2頭についてこう語った。「リステッドからG1へとステップアップしたバラッティは、良いレースをしましたし見せ場を作りました。とても嬉しいです。凱旋門賞は明らかに彼のためのレースです」。
「メアオーストラリスは調子の良くない日だったのかもしれません。それにこのコースを得意としていなかったのかもしれませんね。曲がりくねった道のりですし、動作の大きい馬ですから。ロンシャンのほうが合っているでしょうね」。
6着のハイディフィニションに騎乗したライアン・ムーア騎手は裁決委員に対して、ハイディフィニションはずっと外目を走ろうとしていたところ、ハリケーンレーンが一気に後退していき勝馬から11½馬身も引き離されたと報告した。
バブルギフトは序盤で後退したものの、見事な追い上げを見せてバラッティにわずか首差まで迫り3着に入った。
ミケル・デルザングル調教師はこう語った。「レース前に少しイライラしていたのは残念でしたが、バブルギフトはこれらの強豪馬を相手に素晴らしいレースをしてくれました」。
「今後は休養させます。重馬場が得意なのは分かっているので、秋に彼の活躍を見るのが楽しみですね」。
By Scott Burton
[Racing Post 2022年7月3日「Arc aim for 'class filly' Alpinista after fourth straight Group 1 success」]