2021年ワールドベストレースホースはニックスゴー(国際)[その他]
BCクラシック(G1)優勝馬ニックスゴーは、国立競馬博物館(ニューマーケット)からオンラインで開催された授賞式でワールドベストレースホースに選出された。
IFHA(国際競馬統括機関連盟)のワールドベストレースホースランキング委員会は、ニックスゴーの2021年シーズン終了時のレーティングを129とした。それは2位に並んだ欧州年度代表馬セントマークスバシリカ、アダイヤー、ミシュリフの3頭よりも2ポンド上回っていた。
凱旋門賞(G1)はBCクラシックを抑えて7年間で5回目となるワールドベストホースレースに輝き、ライアン・ムーア騎手にはワールドベストジョッキー賞が贈られた。
ニックスゴー(ブラッド・コックス厩舎)は1月29日にペガサスワールドカップ(G1 ガルフストリームパーク)で現役最後のレースを走り、引退して種牡馬になる予定である。米国調教馬としては2017年のアロゲート以来のワールドベストレースホースとなる。
ニックスゴー(父ペインター)はレーティング124でBCクラシック(デルマー)に挑み、12月に急死したメディーナスピリット(10位)に2¾馬身差をつけて優勝した。そのあとにはエッセンシャルクオリティ(15位)、ホットロッドチャーリー(21位)が続いた。
さらにニックスゴーは2021年に、2月のサウジカップではミシュリフに歯が立たず4着に敗れたが、ペガサスワールドカップとホイットニーS(G1 サラトガ)でG1勝利を挙げた。
コックス調教師はこう語った。「2021年後半は素晴らしいものでした。ホイットニーS、ルーカスクラシックS(G3 チャーチルダウンズ)で大勝利を収め、最終的にBCクラシックでの勝利が世界最高レーティングを獲得する地位に彼を押し上げました」。
「彼は素晴らしい1年を過ごし、2021年に達成できたことは意外な喜びをもたらしました。これまでにあらゆる国から選出されたワールドベストホースと一緒に言及されるのは、すごく光栄なことです。頂点に立つということは本当に名誉なことであり、とても誇りに思います」。
ミシュリフは芝とダートのトップホースを比較するうえで魅力的な糸口をもたらした。英インターナショナル(G1)でアレンカーに6馬身差の勝利を収めたとき、ミシュリフはシーズンベストのレーティング127を獲得した。
セントマークスバシリカは2021年シーズンは無傷でG1・4勝を挙げたが、その1つエクリプスS(G1)においてはジョン&テイディ・ゴスデン厩舎の多才なミシュリフを後方に抑え込み、同じレーティング127を獲得した。アダイヤーも昨年7月のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1 アスコット)でミシュリフを破ったことでピークを迎えた。
ワールドベストホースレースランキングはG1競走の1着~4着馬の平均レーティングによって決定され、今回は凱旋門賞がトップに返り咲いた。
凱旋門賞ではトルカータータッソ(6位)が先頭でゴールを駆け抜け、タルナワ(36位)、ハリケーンレーン(15位)、アダイヤー(2位)が続き、これら4頭のレーティングの平均は124.75となり、BCクラシックを0.25上回っていた。
凱旋門賞の出走馬の層の厚さは次のような事実からもわかる。仮にアダイヤーがこのあと英チャンピオンS(G1)の勝者となるシリウェイ(レーティング123 15位)と着順が入れ替わり5着になったと想定しても、修正後のレーティングは凱旋門賞をこのランキングの4位とするのに十分なのだ。これらのことはトルカータータッソが5歳シーズンを迎えるにあたりレーティング125を獲得する資格が十分にあることを示唆している。
3位は2021年に英国一のレーティングを誇ったキングジョージ&クイーンエリザベSであり、英チャンピオンSとクイーンエリザベスS(G1)もトップ10入りを果たしている。
昨年の米国3歳ダートレースのクオリティーの高さは、ケンタッキーダービーが5位にランクインして3歳限定レースとして驚異的な快挙を収めたことからも歴然としている。
ただメディーナスピリットがレース後にベタメタゾンの陽性反応を示したという理由で優勝資格を剥奪されれば、この高い順位は脅かされることになるだろう。
英ダービー(G1)は、東京優駿(G1日本ダービー 20位)や仏ダービー(G1 ジョッケクルブ賞 31位)といった主要なクラシック競走を抑えて14位にランクインしている。
昨年の3歳世代の強さはアダイヤーのほかにバーイードとライフイズグッドがトップ10入りしていることによりしっかりと示されている。これら3頭は2022年も現役を続行する。
By Scott Burton
[Racing Post 2022年1月25日「US ace Knicks Go edges out European stars to be named best horse in the world」]