カズー社の契約解消をうけ英ダービーの新スポンサー探しを開始(イギリス)[開催・運営]
エプソム競馬場を所有するジョッキークラブは、前回のスポンサー探しからわずか16ヵ月後に英ダービー(G1 エプソム)の新しいスポンサーを見つける必要に迫られている。カズー社が英国で最も人気のある平地レースのスポンサー契約を継続しないことを決定したのだ。
カズー社は昨年4月にダービーフェスティバルの主要スポンサーになったことが明らかにされたばかりだが、ここ数ヵ月で商業的に深刻な後退を経験したために、今後はダービーとオークスのスポンサーを降りることになった。
このオンライン自動車販売業者は、ジョッキークラブが所有する競馬場で施行されるほかのレースの冠スポンサーは続ける予定である。また、9月には昨年に引き続き英セントレジャーS(G1 ドンカスター)のスポンサーを務める。
ドンカスター競馬場を所有するアリーナレーシング社(ARC)は8月22日、カズー社がこの競馬場の名物レースのスポンサーを来年以降も続けるかどうかについてのコメントを控えた。
ジョッキークラブのスポークスパーソンはこう語っている。「カズー社とのダービーの主要パートナー契約は昨年も今年も成功を収めて終了しました。カズー社は2023年もグループパートナーとして提携します。私たちは世界で最も有名な平地レースの新しい主要パートナーをまもなくお知らせできると考えております」。
カズー社のエプソムでのスポンサー契約期間は、2009年にダービー・オークス・コロネーションカップのスポンサー契約を開始した先代のインベステック社と比べるとはるかに短いものになった。インベステック社は当初、契約を2026年まで延長していたが2020年の開催を最後に "双方合意 "で撤退している。その8ヵ月後、カズー社とジョッキークラブは当時"複数年にわたるパートナーシップ"と呼ばれたものの実現に向け連携することとなった。
ジョッキークラブはこれからカズー社の後継探しに着手することになるが、現在スポンサーシップ市場は厳しい状況に陥っている。とりわけ競馬については、グレートブリティッシュレーシング(GBR)が実施した調査によって、賭事や馬の福祉に関する懸念が一部の優良企業の競馬参入への障壁になっていることが明らかにされている。
カズー社は競馬をはじめサッカーやクリケットなどのメジャースポーツのスポンサーを務めてきた。しかし市場価値の急落を背景に、今年15%の人員削減を行う計画を発表した。最近2022年上半期の増収を報告しているが、並行して総損失額は2億4,300万ポンド(約388億8,000万円)に上っており、前年同期の1億200万ポンド(約163億2,000万円)より増加しているのだ。
カズー社はジョッキークラブとの提携関係は成功したと見なしているようだ。ただ、長期にわたってこの関係を続けていくつもりはなかったのだろう。過去のインベステック社や現在ジョッキークラブのレーススポンサーとして注目されているランドックス(Randox)やブードルズ(Boodles)とは違い、そのスポンサーシップを積極的に促進しようとは考えていなかったようだ。
ARCの商業戦略&パートナーシップ担当部長であるデヴィッド・レイデン・ダンバー氏は、セントレジャーフェスティバル(9月7日~10日)、とりわけ総賞金70万ポンド(約1億1,200万円)の英セントレジャーSでカズー社がスポンサーを務めるということを確認しており、こう語った。「2022年セントレジャーフェスティバルのほか、ARC所有のさまざまな競馬場で行われる多くのレースのスポンサーシップについて、カズー社との契約は継続します。来月、ドンカスター競馬場でカズー社を主要パートナーとする世界最古のクラシック競走をふたたび開催できることを楽しみにしています」。
By Lee Mottershead
(1ポンド=約160円)
(関連記事)海外競馬ニュース 2020年No.30「インベステック、英ダービーのスポンサー契約を早期終了(イギリス)」、2021年No.16「カズー社、セントレジャーSの新スポンサーに決定(イギリス)」
[Racing Post 2022年8月22日「Jockey Club begins hunt to secure new Derby sponsor after Cazoo involvement ends」]