競馬界のレジェンド、フレディ・ヘッド氏が年内で調教師を引退(フランス)[その他]
調教師として大成功を遂げた数少ない名ジョッキーの1人、フレディ・ヘッド氏が今年いっぱいで調教師免許を返上するという。
ヘッド氏は騎手として名牝ミエスクに乗り、調教師としてゴルディコヴァに記録破りのキャリアを歩ませた。そして今年の6月に、75歳の誕生日を迎えて調教活動を縮小していく決断を発表していた。
ヘッド氏は9月18日(日)の朝にこう語った。「誰も年齢には勝てませんね。16歳のときから働いているのですよ。ほかのことを楽しむ時期なのです。75歳が潮時だといつも思ってきたので清々しい気分です。つらいと思うような時期までやり続けるのは絶対に嫌でしたし、そうなったら最悪でしょう」。
「調教師には運が必要ですが、私の場合は優良馬を手掛けることができたのでとてもラッキーでした。ジョッキー時代にはいつも調教したいと思っていたので、とても楽しかったです」。
「ジョッキー時代はいつも調教師に対して少し批判的だったので、そういう自分の考えが正しかったかどうか確かめたかったのです。多くの優れた人たちのもとで騎乗してきたので、彼らから学んださまざまなことを取り入れ、自分なりの調教を作り上げようと思ったのです。そのことが調教師になって一番良かったと感じることです」。
ヘッド氏はフランスのリーディングタイトルを6回獲得するなど、騎手として驚異的なキャリアを築いた。記録破りのイヴ・サンマルタン騎手とほぼ同時期に現役時代を送ったので、これは並大抵の成績ではない。
騎手だったころはミエスクとのコンビで最も有名だった。ミエスクは英1000ギニー(G1)と仏1000ギニー(G1)をダブル制覇し、1997年と1998年には史上初めてBCマイル(G1)を連覇した。
またヘッド氏はボンモ(1966年)、サンサン(1972年)、イヴァンジカ(1976年)、スリートロイカス(1979年)で凱旋門賞を制覇した。
そして1997年、シャンティイのルクレール大通りにある厩舎で調教活動を開始した。2006年には、マルシャンドールでモーリスドゲスト賞(G1 1300mドーヴィル)を制し、調教師として初めてのG1勝利を収めた。
マルシャンドールはモーリスドゲスト賞を3年連続で制覇し(2006年~2008年)、同じくヘッド厩舎のムーンライトクラウドがこの快挙を繰り返した(2011年~2013年)。さらにムーンライトクラウドは2013年、モーリスゲスト賞で優勝したわずか1週間後にジャックルマロワ賞(G1 1600mドーヴィル)を制してその多才ぶりを披露した。
ヘッド厩舎の最高レベルの馬の多くがアラン&ジェラール・ヴェルテメール兄弟の服色でレースに臨んだ。その1頭であるソロウは2015年、3月のドバイターフ(G1 メイダン)から10月のクイーンエリザベス2世S(G1 アスコット)までG1を5連勝し、新たな境地に達した。
ゴルディコヴァもまた、有名なヴェルテメール兄弟の青と白の勝負服を背負っていた。この名牝は5シーズンでG1・14勝を達成し、それは平地競走の欧州記録であり続けている。
彼女は同一のブリーダーズカップ競走を3勝した最初の馬となった。2008年~2010年にBCマイル三連覇を果たしたのだ。
ヘッド氏はこう語った。「ゴルディコヴァは素晴らしい牝馬でした。しかし私にとって最初のチャンピオンとなったマルシャンドールにすごく思い入れがあるのです。多くの問題を抱えていたのですが、とても優れた馬でした」。
「なぜこれらの馬のキャリアが長続きしたのか分かりません。まずは彼らがとても優秀であることが必要です。どのような古馬もこのようにうまく手掛けられるわけではありません。そして愛情をもって管理することが大事です」。
ヘッド氏は騎手としても調教師としてもブリーダーズカップで勝利を挙げた初めてのホースマンとなった。のちにジョセフ・オブライエン氏がこの偉業を達成している。
ヘッド氏の競馬との深い絆は子どもたちによって継続されるだろう。息子のクリストファー氏は調教師としてここ数週間のうちに2歳戦で2勝を挙げている。また娘のヴィクトリア氏は年初に調教師免許を取得している。
「クリストファーとヴィクトリアの仕事ぶりを見るのは素晴らしいことですね。私にとって思いがけない喜びです。ヘッドという名前はこれからも続いていくでしょう」。
By Scott Burton
(関連記事)海外競馬ニュース2018年No.3「クリスティアーヌ・ヘッド-マアレク調教師が引退(フランス)」、海外競馬情報 2022年No.7「フランス競馬界の巨人、アレック・ヘッドが97歳で死去(フランス)」