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海外競馬ニュース
2022年02月03日  - No.4 - 1

ライフイズグッド、ペガサスワールドカップでニックスゴーに電撃的勝利(アメリカ)[その他]


 まだ1月であり、2022年競馬シーズンは11ヵ月も残っている。

 しかし総賞金294万1,500ドル(約3億3,827万円)のペガサスワールドカップ(G1 1月29日)で起こったことから判断すると、1つの点がきわめて明瞭になった。

 ライフイズグッドを凌駕するような馬が現れるとしたら、その馬にはこの世のものとは思えないほどのパフォーマンスが必要だということだ。

 2021年米国年度代表馬に選出間近のニックスゴーはラストランでただそれを実現しようとしたが、ライフイズグッド(牡4歳 父イントゥミスチーフ)に敵わないことが分かった。ライフイズグッドはペガサスワールドカップ(ガルフストリームパーク 約1800m)の第1コーナーであっという間に先頭に立ってリードを広げ、昨年の覇者ニックスゴーに3¼馬身差をつけて圧勝したのだ。

 トッド・プレッチャー調教師は「(これまで管理した中で)彼以上の馬はいません。格別なのです。さっと飛び出して行ってそのまま走り続けられる独特の能力があるのです」と語った。

 この調教師は殿堂入りトレーナーに圧倒的票数で選出されおり、管理馬がほかの厩舎の馬よりも多くの賞金を獲得していることを考えると、その言葉は空虚なものではない。またその言葉は、ライフイズグッドが馬主に7戦6勝という成績をもたらしたことで強化され、この鹿毛の牡馬がイラッド・オルティスJr. 騎手を背に得意な分野で猛烈なスピードを発揮してニックスゴーに打ち勝った頑張りによって確かめられた。

 ウィンスターファーム(オーナー:ケニー・トラウト氏)の社長・CEO・レーシングマネージャーを務めるエリオット・ウォルデン氏はこう語った。「向正面にいたとき、イラッドはライフイズグッドがとても速く走っていて、後方を振り返ると他馬はずっと後ろにいたので、まだ走るように合図を送らなかったと言いました。それを見てただ感激しました。気分は最高でした。朝の調教でライフイズグッドを見てきましたが、まったく疲れ知らずなんです。だからあれほど引き離して先頭を走っていたとき、彼は止まらないだろうなと思ったのです」。

 ライフイズグッドは½マイル(約800m)を46秒35で通過したあと茫然とするような3½馬身のリードを奪い、その勢いを止めることはなかった。決勝線を1分48秒91で駆け抜けるまで、彼のエンジンは最高潮で稼働し続け、そのプロセスでこのレースをもって引退する米国年度代表馬からリーダーのバトンを引き継いだだけではなかった。それを強引に奪い取り、そのまま走り去り、手の届かないところまで行くようなやり方だった。

 オルティスJr. 騎手はウィナーズサークルで「現実とは思えません。これまで乗った中で最高の馬です」と述べた。同騎手は1つ前のレース、ペガサスワールドカップターフ(芝G1)を昨年の覇者カーネルリアム(プレッチャー厩舎)で制していたので、"ペガサス"のダブル制覇を果たしたことになる。

 BCクラシック(G1)を先行逃げ切りで優勝したニックスゴーとの先行馬同士の争いは今回初めて実現した。それについてプレッチャー調教師はこう語った。「ニックスゴーとスピード勝負になれば、何かがあるに違いないというリスクを感じていました。しかし今日のライフイズグッドはあまりにも速くて素晴らしかったのです。まったく特別な資質で、見ていて楽しいです」。

 この馬の関係者たちはまさにグッドライフを楽しんでいる。総賞金1,200万ドル(約13億8,000万円)でより距離の長いドバイワールドカップ(G1 2000m)にライフイズグッドが出走するであろう3月26日には、ふたたび喜びが沸き起こるだろう。今回のレースまでライフイズグッドが1700mを超える距離で競走したことがなかったことを考えると、距離延長は同馬(母ビーチウォーク、母父ディストーテッドヒューマー)を気後れさせることはないだろう。

 殿堂入りトレーナーであるボブ・バファート氏のもとで競走生活を開始して、骨片摘出手術のために3歳シーズンをほぼ棒に振ってしまったライフイズグッドについて、プレッチャー調教師はこう語った。「決定を急ぐことはありません。それでも私たちはこの馬が何をするにも十分な才能を持っていると感じており、それには1¼マイル(約2000m)の競走に挑戦することも含まれます」。

 1月29日はすべてが際立った日になった。ニックスゴーがブラッド・コックス厩舎に転厩して以来最も不可解なパフォーマンスを見せたときに、ライフイズグッドは急上昇を果たしたのだ。ジョエル・ロザリオ騎手を背に内枠からスタートした駿足のニックスゴー(父ペインター)は先頭に立つか、少なくともその至近距離につけるように見えた。しかしロザリオ騎手は鮮やかにゲートを出たあと、最初の数完歩でライフイズグッドとスティレトボーイが前に出たことでいくらかプレッシャーを感じ、3番手につけて2頭を追った。

 コックス調教師は、「ジョエルは2頭が迫ってきたので、"OK、引き返そう"と言いました。それはプランBだったのです。私はプランA(先頭に立つ計画)を実行してほしかったのですが、それはできませんでした。彼は素晴らしい仕事をしてくれましたが、十分ではありませんでした。勝った馬が強すぎましたね」と語った。

 ニックスゴーは道中のほとんどで2番手を追走したが、最後まで差を縮めることができなかった。BCダートマイル(G1)優勝馬ライフイズグッドは8番ポール(残り200m)で4½馬身のリードを奪い、オルティスJr.騎手によりゴールまで導かれた。

 ニックスゴーをわずかに抑えて単勝1.8倍の1番人気に支持されていたライフイズグッドは圧倒的な勝利を果たして、その払戻金は2ドル(約230円)につき3.60ドル(約414円)となった。

 トラウト氏は、「まさに幸せなことです。まちがいなく神様が私たちを助けてくれました。この馬は本当に特別だったのです」と述べた。

 オルティスJr. 騎手にとっては特別な思いがあった。1月7日に膝を負傷してペガサスワールドカップで騎乗できなくなると思われていたが、ペガサスワールドカップだけでなくペガサスワールドカップターフも制したのだ。

 同騎手は、「健康を与えてくれた神に感謝します。何人かの医師は"騎乗できない"と言っていたのです」と語った。

 KRA(韓国馬事会)が所有するメリーランド州産のニックスゴー(牡6歳 父ペインター)は2着を確保し、その1馬身うしろにスティーヴ・モガー氏所有のスティレトボーイ(父シャックルフォード)が続いた。後方から追い込んでくる馬はいなかった。

 このレースは、通算成績25戦10勝、獲得賞金925万8,135ドル(約10億6,469万円)のニックスゴーのキャリアの最終章となった。同馬は今後、テイラーメイドスタリオンズで種牡馬となる。

 ライフイズグッドは母ビーチウォークが送り出した4頭のうちの第2仔であり、2頭目の勝利馬である。ビーチウォークには、今後レースキャリアを始めることになる2歳のブレイム牝駒、1歳のキャンディライド牡駒がいる。
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By Bob Ehalt

(1ドル=約115円)

 (関連記事)海外競馬ニュース 2021年No.11「ダービー最有力馬ライフイズグッド、後肢の怪我のため戦線離脱(アメリカ)

[bloodhorse.com 2022年1月29日「Life Is Good Blitzes to Pegasus Victory Over Knicks Go」]


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