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海外競馬ニュース
2022年02月03日  - No.4 - 5

母馬に拒絶された牝の仔馬、曾祖母に育てられる(イギリス)[生産]


 誕生からわずか4日後に母馬に拒絶された牝の仔馬はハッピーエンドを迎えた。曾祖母が母親の役目を果たしに来てくれたのだ。

 1月にチェイスモアファーム(サリー州コバム近郊)でプレステージS(G3)優勝馬ブーマーを母とする牝駒(父ロペデベガ)が生まれたが、異常な事態が起こったためにヴェイルドビューティー(22歳)がこの小さな仔馬を育てる役目を請け負った。

 チェイスモアファームの場長であるジャック・コンロイ氏は1月27日(木)にこう説明した。「餌を与える前に無口を外し、寝る前にすべてをチェックするスタッフがいたのは幸運でした」。

 「ブーマーは大体において仔馬を嫌がる素振りを示しました。初仔なので彼女がどういう反応をするのか分かりませんでしたが、その時点までとてもうまく行っていただけに不思議な感じがしました」。

 「ブーマーの体調がどこか悪かったのではないかと考え、彼女らをふたたび引き合わせるためにブーマーを検査してみたのですが、異常はありませんでした。おそらく出産後にホルモンが減少したのでしょう。このようなことはめったにないのですが、残念ながら起こってしまうのです」。

 そのあと仔馬が人工保育されているあいだに、チェイスモアファーム(所有者:アンドリュー・ブラック氏)のチームは母親の役目を補ってもらうためにヴェイルドビューティーを連れてきた。

 引退繁殖牝馬のヴェイルドビューティー(父ロイヤルアカデミー)は勝馬5頭を送り出しており、その中にはジョンオブゴーントS(G3)の勝馬ザチェカ(The Cheka)や、G2・3着内馬のウォールオブサウンド(父シングスピール)などが含まれる。そしてウォールオブサウンドはブーマーや才能あるアンクルブリンの母馬である。

 コンロイ氏はこのベテラン牝馬についてこう語った。「ヴェイルドビューティーは偉大な功労馬です。彼女は引退し、妊娠中の食欲がほかの牝馬よりも少し旺盛な牝馬と一緒に同じ囲い放牧地で余生を送っていました」。

 「22歳になりますが、彼女自身はとても元気です。今年なんらかの理由で里親の牝馬が必要となったら、彼女を使おうという考えはあったのです」。

 「このような状況になったので、その日の午後から治療を開始したところ彼女はふたたび母乳を出すようになりました」。

 「翌日には彼女から母乳を採ることができました。量はそれほど多くはなかったのですが、母乳を出す能力はありました。彼女の母乳で仔馬を育てられるようになるにはまだ数日が必要ですが、そうなることを願っています」。

 「月曜日の午後にこのような状況になったため人工保育しなければならず、その日の夕方に彼女に1回分のミルクを与えました。火曜日には1時間おきに哺乳瓶でミルクを与え、寄り添ってくれるテディベアも置きました」。

 「慣れすぎてしまうと直接乳首から授乳するのが難しくなるので、あまり哺乳瓶を使いたくありませんでした。ヴェイルドビューティーはすぐに仔馬になついたので、あとは何も問題がないことを確認するだけでした。夜間はスタッフが2時間ごとに交代で見に来ていました」。

 ブーマーのほうも十分に元気である。コンロイ氏は「ブーマーは今年不受胎だった牝馬と一緒にいます。私たちはただ彼女を見守っています」と付言した。

By Kitty Trice

 (関連記事)海外競馬ニュース 2018年No.13「実母に拒絶された仔馬、最高の母にめぐり会う(アメリカ)

[Racing Post 2022年1月27日「Chasemore Farm filly fostered by her great granddam after unusual rejection」]


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