ヘッド家、ケネー牧場を売却(フランス)[生産]
ヘッド家は、ケネー牧場の全区画がもはや売却済みであることを認めた。種牡馬4頭は移籍し、繁殖牝馬と若馬は12月のアルカナ繁殖セール(Vente d'Elevage)に上場される予定である。
ノルマンディーの歴史ある牧場は一部、シェブーブ家(Chehboub family)によりすでに手に入れられていた。ケネー牧場に繋養されているアンテロは新たにボーモン牧場(Haras de Beaumont)と名づけられたシェブーブ家の牧場に移籍し、シリウェイやスタニングスピリットとともに供用される。
牧場の残りの区画は、実業家のステファーヌ・クルビ氏により購入された。同氏はLovグループの投機的事業で数々の利益を上げている。
ケネー牧場は1958年にウィリアム・ヘッド氏が購入してからヘッド家が所有してきた。しかしウィリアムの息子で後を継いで牧場の総帥となったアレックがこの夏97歳で死去していた。
アレック氏の息子で、騎手、そして調教師として成功したフレディ・ヘッド氏はこう語った。
「父の死後、母は牧場を売ったほうがいいと考えました。2つの個人間取引です。牧場の1つの区画はフランスで馬や牧場を所有するシェブーブ家により購入され、もう1つの区画はホテルやテレビ事業を所有するフランスの有名なビジネスマンであるステファーヌ・クルビ氏が購入しました。これからも牧場として使われるのでしょうが、まだ分かりません」。
フレディ・ヘッド氏は今年いっぱいで調教師生活から引退する。数々の成功を収めた調教師、妹クリケット氏も2018年に引退している。ただし、フレディ氏はこれからも競馬に関わり続けるだろう。息子のクリストファー氏も同じ職業で将来有望な活躍を見せているのだ。
「私のところに数頭の繁殖牝馬がいるので生産を続けるつもりです。少し寂しいですが、人生とはそういうものですね。そういうふうに続いていくのです」とフレディ氏は語った。
ケネー牧場の近年で最も有名な生産馬は凱旋門賞(G1)連覇を果たしたトレヴだ。父は英ダービー(G1)を制したモティヴェーターであり、移籍予定の4頭の種牡馬のうちの1頭である。
フレディ氏はこう説明した。「アンテロはシェブーブ家の新たなボーモン牧場へ行き、モティヴェーターはノルマンディーの別の牧場へ行きます。レコレトスはパトリック・シュドヴィル氏の家族が所有するプティテリエ牧場に行き、もう1頭のアタンデュはアフリカの牧場に売却される予定です」。
ケネー牧場は何十年にもわたって優秀な種牡馬を供用してきた。グリーンダンサー・リヴァーマン・ベーリング・アナバーなどである。生産馬にはラヴィネラやマビッシュなどがいる。
12月のアルカナ社のセリには40頭ほどの繁殖牝馬・牝馬・当歳馬が上場される予定であり、その中にはトレヴの母トレヴィーズの当歳馬が含まれる。トレヴィーズはほかにも、トロフェ(Trophee)やトロワロワ(Trois Rois)というブラックタイプ勝馬を送り出している。この牝の当歳馬は、ルアーヴル(今年3月に死亡)のラストクロップの1頭である。
トレヴの半妹トリド(Toride)も上場予定である。彼女はすでにリステッド勝馬レディデイやG3・2着馬マキシマス、そしてアルカナ10月1歳セールにおいてストラウド・コールマン氏により26万ユーロ(約3,770万円)で購買されたナサニエルの牡駒を送り出している。
またペルルドージュ(Perle D'Auge 父ルアーヴル)も上場される。ペルルドージュは、サンペール牧場が誇るパールズガロアやパーリーシェルズを出した最高のファミリー(牝系)に属しており、G3・2勝馬エターナルパール(Eternal Pearl 父フランケル)の半姉である。
By Tom Peacock
(1ユーロ=約145円)
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[Racing Post 2022年10月31日「Haras du Quesnay to be sold to French businessman and stock dispersed」]