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2022年12月15日  - No.47 - 1

サーヴィス調教師、有罪を認めて最長4年の禁固刑へ(アメリカ)[開催・運営]


 長年にわたり米国のトップトレーナーの1人だったジェイソン・サーヴィス調教師(65歳)は12月9日(金)、全米の競馬場でのドーピングに関する大規模捜査から浮上した容疑について答弁するためにニューヨークの法廷に立ち、有罪であることを認めた。

 2023年5月18日には、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所で最長4年の禁固刑を受けることになる。約3年前に検察により起訴が発表され、サーヴィス氏は被告31人のうちの1人である。この大捕り物は全米の新聞を賑わせ競馬産業は不名誉を被ることになった。

 31人は、競馬統括機関が検出できないさまざまな競走能力向上薬(PED)を馬に投与した容疑で起訴されていた。検察側は貪欲な調教師によるPEDの使用は競馬界を腐敗させ、馬券購入者を欺き、本来の能力を超えたパフォーマンスを強要することで馬を危険にさらしたと指摘した。

 サーヴィス氏は法廷に立つ最後の被告となった。

 そして、管理馬に投与する目的で変造され偽ラベルが貼付された薬物の流通に関与したことについて有罪であることを認めた。

 ニューヨーク州南部地区のダミアン・ウィリアムズ連邦検事はリリースにおいてこう述べた。「サーヴィス氏の行為は、競馬産業の主要人物のあいだで腐敗が存在することを示しています。彼は免許を有する調教師として管理馬を守らなければならず、馬の安全と幸福を確実なものにし競馬の公正確保を守るために策定された競馬施行規程を遵守しなければなりませんでした」。

 「サーヴィス氏は馬・統括機関・一般の人々に対する責任を放棄したのです。今回の有罪判決は、連邦検察官事務所とFBIのパートナーが、競馬産業における汚職・詐欺・ペテン、そして危険をもたらす行為の告発と捜査に尽力していることを示すものです」。

 サーヴィス氏は、検察が"気管支拡張剤クレンブテロール(clenbuterol)に似ているがより強力"と説明した化学物質を変造し偽ラベルを貼付したという重罪について「有罪を認めます」と言った。そして、SGF-1000と呼ばれる化合物の変造と偽ラベル貼付という軽罪についても「有罪を認めます」と述べた。

 サーヴィス氏は来年1月に2つの容疑、すなわちPEDの変造と偽ラベル貼付の共謀、メール・電信の不正行為の共謀で裁判にかけられる予定だった。これら2つの容疑について有罪となれば、25年の禁固刑に言い渡されることになっただろう。

 検察は司法取引の一部としてこれらの起訴を棄却し、新たな起訴を行うことに同意した。そして、サーヴィス氏は罰金31万1,760ドル(約4,209万円)と損害賠償として16万3,932ドル(約2,213万円)を支払うことに同意した。

 サーヴィス氏はスポーツジャケットにネクタイという出で立ちで法廷に現れた。競馬統括機関は彼の調教師免許を2020年3月の逮捕後に停止している。

 検察はサーヴィス氏が逮捕された当時、変造され偽ラベルが貼られたSGF-1000などのPEDを"ほぼすべての管理馬"に投与したと糾弾した。

 2019年ケンタッキーダービー(G1 チャーチルダウンズ)で1位入線したものの走行妨害により降着となったマキシマムセキュリティもそのうちの1頭だった。

 メアリー・ケイ・ヴィスコチル連邦地裁判事は、最終陳述で容疑を認めるようサーヴィス氏に求めるやり取りにおいて、マキシマムセキュリティの名前を持ち出した。

 そのとき、サーヴィス氏を担当するリタ・グラヴィン弁護士が口を挟み、「はい、サーヴィス氏はマキシマムセキュリティが厩舎の獣医師からSGF-1000を投与されていたことを認めるつもりです」と述べた。

 グラヴィン弁護士とヴィスコチル判事のあいだでしばらくやり取りがあった後、サーヴィス氏はその事実を認めた。

 マキシマムセキュリティがサーヴィス氏の管理下で優勝したレースには、中東で開催された総賞金2,000万ドル(約27億円)のサウジカップ(2020年2月)があった。そのちょうど1ヵ月後にサーヴィス氏は逮捕された。

 サーヴィス氏の逮捕の直後、捜査中はサウジカップの1着賞金を保留にすると、サウジカップの関係者は発表した。

 サーヴィス氏は12月9日(金)、ヴィスコチル判事に対して、司法取引において陳述されたほかの申立てについて異議を唱えないと述べた。

 例えば、2019年9月にニューヨークの競馬統括機関がSGF-1000は禁止物質であるとして勧告を出した後もこの薬物を使い続けていたことを認めている。

 また、SGF-1000が1本300ドル(約4万円)もしたこと、獣医師が馬主に送る請求書で馬へのSGF-1000使用を"鍼治療とカイロプラクティック"に改ざんしていたことも認めている。

 クレンブテロールに似た物質の場合、サーヴィス氏は2019年5月8日にモンマスパーク競馬場の厩舎からベルモントパーク競馬場にそれを輸送したこと、ソーダ瓶の中にそれを隠していたことを認めている。さらにソーダ瓶はパップ剤(植物性の抗炎症クリーム)の入ったバケツの中に隠されていた。

 法廷文書の中で、検察がSGF-1000が競走能力を向上させる、あるいは成長因子を含んでいるという証拠を掴んでいないため、サーヴィス氏は浮上している容疑について無罪であるとグラヴィン弁護士は主張した。そういう議論をするのであれば、SGF-1000はPEDに該当することになるのではないか。

 グラヴィン弁護士はまた、サーヴィス氏の管理馬の中にクレンブテロールの誤用により陽性反応を示した馬は1頭もいなかったと主張した。

 そして12月9日(金)の判決の前にヴィスコチル判事に対し、サーヴィス氏が獣医師から"SGF-1000の使用は合法である"と繰り返し聞かされていたことを主張する予定であると述べた。

 2019年6月と8月の傍受した通話にあるように、"SGF-1000の使用は合法であり競馬施行規程に違反していない"とサーヴィス氏の獣医師は繰り返し調教師に保証した、と司法取引には記載されている。

 検察側は法廷文書の中で、SGF-1000を販売した人々は、競馬統括機関が実施する検査では検出されない薬物ということ以外にSGF-1000が何であるのかについて理解していなかったと論じた。また、SGF-1000には意図的に検出を難しくする種類の成長因子が含まれていることも強く主張している。

 ウィリアムズ連邦検事によれば、未登録の施設で配合・製造された薬物SGF-1000をサーヴィス氏は数百本注文したという。

 そして、サーヴィス氏は有罪判決を受けた共同被告人であるニュージャージーの調教師だったホルヘ・ナヴァロ氏から偽ラベルが貼付されたクレンブテロールを入手したという。ナヴァロ氏は1年前に有罪を認め、5年の禁固刑に服している。

 サーヴィス氏の答弁により、起訴された31人のうち23人が有罪を認めたことになる。そのうち2人は裁判を経て有罪判決を受け、2人は訴追延期合意を提示された。

 被告には、サラブレッドあるいはスタンダードブレッドの調教師11人と獣医師7人が含まれていた。

 12月9日(金)にヴィスコチル判事から「体調はどうですか?」と尋ねられたサーヴィス氏は、「年齢を感じるようになりました」と答えた。8ヵ月前に股関節置換手術を受け、来年2月にもそのような手術を予定しているという。

By Robert Gearty

(1ドル=約135円)

(関連記事)海外競馬ニュース 2021年No.48 「組織的ドーピングを画策したナヴァロ調教師に5年間の禁固刑(アメリカ)

[bloodhorse.com 2022年12月9日「Servis Admits Guilt, Faces up to Four Years in Prison」]


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