21世紀に競馬の国際主義的傾向の一端を担ってきた香港(香港)[開催・運営]
香港国際競走(12月11日)はかつて競馬カレンダーの終盤の追加イベントとして見られていたが、今では立派なサクセスストーリーを象徴するものとなっている。国際主義や非保護主義のたとえ話とでも言えばいいのだろうか。
香港国際競走の主要4競走の中で香港スプリントが最後にG1に昇格してから20年が経つ。1989年を始点に進化を続ける香港国際競走において、香港スプリントは重要なレースである。この20年間で香港ジョッキークラブ(HKJC)の外に目を向けたアプローチは大きな利益を生んできた。
この12月の競馬開催日により、香港は国際舞台で大きな存在感を示すことになった。しかしHKJCの願望は、ファンタスティックライトやウィジャボードといった欧州の優良馬を迎え入れることだけにはとどまらなかった。香港競馬を国際的なレベルに引き上げ、香港調教馬がG1競走に出走するだけでなく勝てるようにすることも目標としていた。
地元香港の観客の大半は懐疑的だった。馬主や調教師の多くは、香港のバブルの中に閉じこもって莫大な馬券売上げによる高額の賞金を巡って競い合うことを望んでいたのだ。彼らにとって、海外から遠征してきた馬に賞金と名声を与えることはほとんど意味のないことだった。
筆者は当時、サウスチャイナモーニングポスト紙で競馬担当編集者を務めており、その議論をよく記憶している。しかし主要4競走すべてがG1に昇格して初めて施行された2002年の香港国際競走で、緊張がほぐれて方向性が示されたことも思い出される。
香港勢は予想に反して、主要4競走のうち3競走を制したのだ。香港スプリントではオールスリルズトゥー、香港マイルではオリンピックエクスプレス、香港カップではプレシジョンが優勝した(これら3競走の1番人気馬はそれぞれ欧州のG1馬、グランデラ、アクアレリスト、ノヴェールだった)。
その結果は香港競馬界に新たな自信をもたらした。それから数年間にわたり、香港の比較的少ない現役競走馬は、地元のG1タイトルを防衛しただけではなく海外でもG1優勝を果たした。ケープオブグッドホープとリトルブリッジがロイヤルアスコット開催のスプリント戦を制したほか、多くの世界クラスのチャンピオンが生まれた。
最近ではゴールデンシックスティである。12月11日(日)の香港マイルでは出走馬の中で最高レーティングを誇り、このレースの3連覇を目指す(訳注:ゴールデンシックスティは香港マイルで地元のカリフォルニアスパングルに首差で敗れた)。
香港は21世紀における平地競馬の国際主義的傾向の一端を担ってきたに過ぎない。ロイヤルアスコット開催は世界に広がり、中東の野心的な競馬国の中でもドバイは最前線にいて、日本もますます海外に目を向けている。興味深いことに、日本の調教師たちは香港国際競走を海外での最初の大きな試練の場として利用した。
このような進展により、競馬はより豊かで多彩なスポーツとなってきているのだ。
By Nick Pulford
[Racing Post 2022年12月8日「Hong Kong is a massive success story - and I was there at the start of it」]