フォルテ、獣医観察リストに入れられプリークネスSも出走不可(アメリカ)[その他]
フォルテのプリークネスS(G1)での出走を困難にするであろう一連の動きとして、ケンタッキー州競馬委員会(KHRC)はこの2022年最優秀2歳牡馬を14日のあいだ獣医観察リストに載せると発表した。これはHISA(競馬の公正確保と安全に関する統括機関)の基準に従った措置だ。
フォルテはこの14日間のリストに掲載されることでレースに出走できないばかりか、満足のいく調教をこなし、血液検査に合格する必要がある。血液検査の結果を待つために、馬がこのリストから外れてふたたび出走できるようになるまでに、さらに通常7日~10日間を要する。
5月6日(土)のケンタッキーダービー(G1)の前売りでフォルテは単勝4倍の一番人気に推されていたにもかかわらず、当日の朝に出走取消となった。KHRCは5月8日(月)、KHRCの獣医師がフォルテの出走を取り消す判断を下したと発表した。
声明にはこう記されている。「フォルテは6日(土)の通常の健診を受けたあと、KHRCの獣医師によりケンタッキーダービーへの出走を取り消されました。KHRCの獣医師が馬の健康を鑑みて出走を取り消すすべてのケースと同様に、そしてHISAのルール2241(a)に従って、フォルテを義務的な14日間の獣医観察リストに掲載しました」。
「14日経過後、リストから外されるための要件には、KHRCの獣医師のもとで満足のいく調教をこなすこと、そして血液検体の検査結果が陰性であることが含まれます」。
ケンタッキー州のルールには、獣医観察リストに掲載される期間は"馬が出走取消となった後の日付"から適用されると記されている。HISA関係者は5月9日(火)、14日間の勘定はフォルテが獣医観察リストに加えられた5月6日という日付に開始することを認めた。KHRC関係者は5月9日、フォルテが5月6日に獣医観察リストに加えられたことを認めた。しかし調教検査と血液検査は14日の経過後に要求されるため、5月20日(土)のプリークネスS(ピムリコ)よりも前にリストから外れることはないだろう。
メリーランド州もケンタッキー州と同様、HISAの基準をもとに競馬が運営されているため、フォルテはピムリコでも獣医観察リストに入ることになる。
本誌(ブラッドホース誌)はすぐにフォルテの関係者を取材してどう受け止めているかを聞くことができなかった。
KHRCの記録によると、フォルテが獣医観察リストに載るのはこの数週間で2回目である。しかし4月22日(土)に初めてこのリストに掲載された理由は記載されていない。奇妙なことに、KHRCの5月4日付の報告では、フォルテは4月22日(土)にリスト入りして5月6日(土)に外されたことになっている一方で、4月25日付の報告ではフォルテが獣医観察リストに載っていることには言及されていない。
5月8日(月)のKHRCの声明は、第149回ケンタッキーダービーの公式チャートの一覧表と一致していない。この一覧表には出走取消となった5頭が記されており、出走取消の判断はそれぞれ "調教師"が行ったとされている。公式チャートにはその5頭とカッコ内に出走取消の決定者が次のように記載されている。
・ コンティノアール(調教師)
・ フォルテ(調教師)
・ ロードマイルズ(調教師)
・ プラクティカルムーブ(調教師)
・ スキナー(調教師)
チャートに記載されている公式情報であるものの、実際に起こったこととは一致していない。フォルテが出走取消となった日、チャーチルダウンズ競馬場は次のようなリリースを発表している。「フォルテは午前9時、KHRCの州獣医師により第149回ケンタッキーダービーの出走を取り消されました。馬主の1人であるマイク・リポール氏は、州の獣医師が右前肢の挫跖について懸念していたと述べました」。
KHRCの州獣医師はニック・スミス氏であり、彼は5月6日の朝にチャーチルダウンズでフォルテを診察しているところを見物人により目撃されている。
ロードマイルズの場合、サフィー・ジョセフJr.調教師は5月4日午前、ロードマイルズを含む管理馬数頭を5月6日にチャーチルダウンズで出走させるつもりだと話していた。5月4日午後、裁決委員は次のような声明を出した。「競馬の発展・競走馬の健康&福祉・騎手の安全のために、別途通知するまでの間、サフィー・ジョセフJr.調教師の管理馬全頭をただちに出走取消とします。この措置はジョセフJr.調教師と協議のうえで取られたものであり、第149回ケンタッキーダービーに出走登録されていたロードマイルズも含まれます」。(訳注:チャーチルダウンズ春開催の最初の2日間にジョセフJr.調教師の管理馬2頭が突然死していた)。
しかしエクイベース社のチャートでは、ロードマイルズも調教師により出走を取り消されたと報告されている。
ステークス競走ではどのような理由であれ調教師には管理馬を出走取消にする選択肢がある。ステークス競走での出走取消の報告のしかたの違いは重要である。調教師が出走取消した場合、当該馬は獣医観察リストに載るのを避けることができる。KHRCの獣医師が出走取消を行った場合、当該馬は獣医観察リストに載ることになるのだ。
By Frank Angst
[bloodhorse.com 2023年5月8日「Forte Placed on Vet's List, Will Miss Preakness Stakes」]