オブライエン調教師、英ダービーはオーギュストロダンに賭ける(イギリス)[その他]
エイダン・オブライエン調教師のオーギュストロダンへの揺るぎない信頼は色あせる様子がない。6月3日(土)の英ダービー(G1)に、英2000ギニー(G1 ニューマーケット)で大敗を喫したこの馬以外に2頭の伏兵しか出走させないことからも、それは明らかだ。
ディーS(L)優勝馬サンアントニオは6月4日(日)の仏ダービー(G1 ジョッケクルブ賞 シャンティイ)へと向かう。したがって英ダービーでオブライエンチームを補完するのは単勝81倍のアデレードリバーと単勝101倍のコヴェントガーデンとなり、調教師が保持する英ダービーの史上最多勝記録を9勝にまで伸ばすことを目指す。
オブライエン調教師が前回英ダービーを制したのは2020年のサーペンタインによってである。そのときは6頭を出走させていた。しかしブックメーカーの予想では、今年のダービーで現実的に勝つ見込みがありそうな管理馬はオーギュストロダン1頭だけである。
ラドブロークス社はオーギュストロダンのオッズを5倍から4.5倍に下げている。これは、5月27日(土)のサンディレーンS(G2 ヘイドック)でリトルビッグベアが2000ギニーでの最下位の14着からラザロ的な復活を遂げたことを受けている。馬券購入者たちはオブライエンの魔法の杖が2000ギニーで先頭から22馬身差の12着に沈んだディープインパクト産駒にも同じように通用すると強く信じている。
オーギュストロダンはギニーで勝負に絡めなかったことから立ち直らなければならないだけでなく、ギニーが国王即位式と重なったために起きたのと同様の混乱を乗り越えなければならない。サッカーFAカップ決勝戦と重なるためにダービーの発走時刻は午後1時30分に早まり、午前中の輸送ができないのだ。
ギニーの出走馬はレース前日に輸送されたが、今回バリードイル(クールモアの調教拠点)からの出走馬は新たな環境に慣れる時間をより長く確保するために、レースの前々日にエプソム入りする。
オブライエン調教師は5月29日(月)に本紙(レーシングポスト紙)に対してこう語っている。 「レース当日の朝に移動できないので、6月1日(木)にダービー出走馬を輸送します。英オークス(G1)など2日(金)のレースに出走する馬は5月31日(水)に輸送することになります。普段のエプソム参戦とは異なりますが、ニューマーケットのギニー競走のときよりも1日早く移動するので、うまくいくことを願っています」。
「オーギュストロダン・アデレードリバー・コヴェントガーデンの3頭を出走させるかもしれません。サンアントニオは6月4日(日)の仏ダービーに向かいます」。
「オーギュストロダンの2000ギニー以降の成長ぶりは満足のいくものです。レース後の疲れはなかったようですし、エプソムのダービーのコース形態も馬場状態も彼にとっては問題ないでしょう。とてもバランスがとれた馬で、素晴らしい動きをしているので、エプソムでも問題がないと想像しています」。
「アデレードリバーにとってはチェスターヴァーズS(G3 チェスター)の重馬場は理想的ではなかったようです(訳注:結果はアレストの2着)。彼もエプソムに出走するでしょう。一方、コヴェントガーデンはEBFイエーツS(L ナヴァン)で健闘しました(訳注:結果は3着)。彼もまた遠征するでしょう」。
パディパワー社は以下のオッズをつけている。
パディパワー社のスポークスマンであるポール・ビンフィールド氏は、「先週末に(いずれもオブライエン厩舎に所属する)パディントン・リトルビッグベア・ルクセンブルクがすべて優勝したことを考えると、馬券購入者はオーギュストロダンに俄然興味を示し、オブライエン調教師を信じることでしょう。当日は彼が本命馬として出走すると思います」と語った。
ダービーではどの馬が1番人気になるかという議論があるのかもしれないが、オークスではそのような議論はない。チェシャーオークス(L チェスター)を22馬身差で制したセーブザラストダンスに、パディパワー社は2.25倍のオッズをつけているのだ。
オブライエン調教師はこう報告した。「セーブザラストダンスについてはすべて順調です。ずっとこの馬のことを気に入っていて、3歳になればミドルディスタンスを得意とすることは分かっていました。ただ2歳でレースを経験させる必要があったので、サーレス競馬場で出走させることになったのです(訳注:マイルの未勝利戦で5着)」。
「そしてレパーズタウンの常に注目される未勝利戦で勝利を挙げました。とてもラクな勝ち方をしたので、チェスターに向かうことになり、あのような快挙を遂げたのです。エプソムの馬場は明らかに違うので、彼女についてもっと知ることができるでしょう。それにしても、エプソムの馬場はいつもよく手入れしてあります。いつもとても安全なのです」。
「ビーハッピーもオークスに出走する可能性があります。レッドライディングフッドも参戦するかもしれませんが、ブギーウギーはひょっとしたらリブルスデールS(G2 ロイヤルアスコット開催)に向かうかもしれません。それにウォームハートもロイヤルアスコットに行くかもしれませんね。ジャッキーオーはこの週末に使ったので出走しないでしょう」。
オブライエン調教師は6月2日(金)にコロネーションカップ(G1 エプソム)9勝目を目指す。今回はその目標をポイントロンスデールに託し、ブルームとチェンジングオブザガードは回避する予定だ。
オブライエン調教師は 「コロネーションカップにはポイントロンスデール1頭しか出走させません。今シーズンはこの馬にスリルを感じているのです。長期休養から戻ってきましたからね。チェスターでは頑張って勝ってくれました。彼があの狭いコースを得意としていたとは思えませんけど首差で凌いだのです。本当に勝ちたいという意欲がありましたし、とても素直な馬なのです」と語った。
By David Jennings
[Racing Post 2023年5月29日「O'Brien keeping Derby faith in Auguste Rodin as Guineas flop set to be joined by just two outsiders at Epsom」]