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海外競馬ニュース
2023年06月01日  - No.20 - 2

チャーチルダウンズ競馬場、予後不良事故の多発を受けて調査開始(アメリカ)[開催・運営]


 チャーチルダウンズ競馬場では調査が実施され、いっそう多くの馬場試験が行われる。先週末に2頭が命を落としたことで、今シーズンの最初の2ヵ月間に予後不良となった馬は合計12頭にのぼっているのだ。

 ロストインリンボー(Lost in Limbo)とキンバリードリーム(Kimberley Dream)が5月26日(金)と27日(土)のレース中に、いずれも前肢に遠位種子骨靭帯断裂を発症して予後不良となった。チャーチルダウンズ競馬場はこれを"きわめて稀な統計"だとし"動揺している"と述べた。

 5月上旬のケンタッキーダービー開催では、レース中と調教中に計7頭が予後不良となった。そのうち2頭はケンタッキーダービーの前座レースで命を落とした。

 チャーチルダウンズ競馬場はこの問題に対応するために"厳密に取り組んでいる"と述べた。独立した専門家2名が馬場を徹底的にテストしたが、何も問題は見つからなかった。

 チャーチルダウンズ社(CDI)は疫学調査に協力しており、これまで発見されていないパターンがないかどうかを判断するために死亡馬を調べているという。また、既存の怪我をよりよく発見するために調教師たちと連携している。

 CDIは声明でこう述べている。「このきわめて稀な統計を発表することに、大きな落胆と悲しみを感じています。CDIのチームメンバーはこれらの馬の死を悼みつつ、原因を究明して、競馬界とCDIの施設において回避可能なリスクを最小のものとする適切な投資を実行するため一丸となって取り組み続けます」。

 「私たちはこのような事態を適切なものとも許容できるものとも考えておらず、一般の方々の不満や、私たちもまだ答えを見いだせていないいくつかの疑問を共有しています。このような事故急増の原因を解明するため、春開催の開始以来、厳密に取り組んでいます。ただ怪我や致命傷に関する進行中の調査の結果を待つ中で、決定的かつ識別可能なパターンはまだ見つかっていません」。

 「調査中の案件一般に言えるように、必ずしも直ちに正義が行使され答えが見つかるというわけではありませんが、徹底した取組みがきわめて重要です」。

 カリフォルニア州のサンタアニタパーク競馬場は2019年、上半期に30頭が予後不良になったことをうけて安全性を高めるために3週間閉場した。それ以降、この競馬場での予後不良事故は大幅に減少している。

By James Stevens

HISA、チャーチルダウンズ競馬場で緊急獣医会議を開催

 HISA(競馬の公正確保と安全に関する統括機関)は5月29日(月)、緊急獣医会議をチャーチルダウンズ競馬場(ケンタッキー州ルイビル)で5月30日(火)に開催することを発表した。そこで4月27日以降にチャーチルダウンズで発生した12件の予後不良事故をより深く理解するために、入手可能なすべての獣医の診療情報を調べて追加分析を行う。

 この会議には、チャーチルダウンズ社(CDI)・ケンタッキー州競馬委員会(KHRC)・HISAの獣医師チームが参加する。

 HISAの声明にはこう記されている。「ここ数週間のチャーチルダウンズでの異常なほどの予後不良事故の発生に深い懸念を抱いています。答えを探求し続け、CDIおよびKHRCとともに、さらなるリスクを軽減するために熱心に取り組んでいます」。

 緊急獣医会議に加え、チャーチルダウンズの競走用と調教用の馬場について2回目の独立した分析を行ってもらうために、HISAは著名な馬場管理者であるデニス・ムーア氏を招く。5月31日(水)から開始されるこの調査のあいだ、HISAの CEOリサ・ラザルス氏や競馬場安全担当理事であるアン・マクガヴァン氏もチャーチルダウンズ競馬場へ赴き、分析結果を聞きフォローアップの提案を受ける予定である。またHISAの馬の安全・福祉担当理事であるジェニファー・デュレンバーガー博士もチャーチルダウンズ競馬場に出向き、獣医師による馬への適切な監視を徹底するために、現地で追加的な専門知識と明察を提供する。

 CDIは5月27日(土)付の最新発表において、競走馬場試験研究所(Racing Surfaces Testing Laboratory)の専務理事でありケンタッキー大学のバイオシステム・農業工学の教授であるミック・パターソン博士に"私たちの競馬場の追加診断を実施してもらうように"依頼したと述べた。報告書は、"再試験における測定値には何の懸念もなく、チャーチルダウンズやほかの競馬場の過去の測定値と矛盾するデータはない"としている。

 CDIの最新発表はこう続けられている。「さらに、私たちは研究への投資と調教師が利用できるような技術資源への投資を進めるため取り組んできました。そうすれば相まって既存の怪我をより適切に発見でき、レース中の悲惨な事故を回避する措置を取ることができるでしょう。馬に異常がある場合に的確にそれを伝えて介入を行うため、技術を一層駆使する方法を特定し、期待できる進歩を遂げてきました。そして今後数日内に、ホースマンと一般の方々に対してその発表を行うことを楽しみにしています。人馬のアスリートの最善の利益を擁護するあらゆる機会を活用しながら長年にわたって包括的な安全プロトコルと方針を培ってまいりました。その活用と改善を行うことに加えて、今回の試みが実施されることになるのです」。

By Horseracing integrity and Safety Authority (HISA)

[Racing Post 2023年5月28日「Two further fatalities at Churchill Downs prompt investigation as death toll reaches 12」、bloodhorse.com 5月29日「HISA to Hold Veterinary Summit at Churchill Downs」]


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