フィードザフレイム、英国とアイルランドの強敵を退けパリ大賞を制覇(フランス) [その他]
7月14日(金)パリ大賞(G1 芝2400m ロンシャン競馬場)
フィードザフレイム(父キングマン)はロンシャン競馬場の速い馬場で繰り広げられるG1競走で、めったにできないことを達成した。最後方から追い込んでアデレードリバーと英オークス優勝馬のソウルシスターの希望を打ち砕いたのだ。
フィードザフレイムがパリ大賞を制したことで、シャンティイのベテラントレーナー、パスカル・バリー調教師は輝かしい経歴における"凱旋門賞未勝利"という穴を埋めるのに、おそらく20年以上で最大のチャンスを得た。
コーラル社は、通算成績を4戦3勝としたフィードザフレイムの凱旋門賞(G1 10月1日)でのオッズを41倍から13倍へと引き下げ、仏ダービー(G1 ジョッケクルブ賞)優勝馬エースインパクトの凱旋門賞のオッズを7倍から6倍へと引き下げた。
ライバルたちにとってあいにくのニュースは、バリー調教師が"フィードザフレイムは秋の馬場状態で今回を上回るパフォーマンスを見せるだろう"と考えていることだ。この馬は4月9日にロンシャンでデビューを果たしたばかりだった。
バリー調教師はこう語った。
「この調子でいけば、凱旋門賞で十分にチャンスがあるでしょう。重馬場のほうが良いと思いますし、そう期待しています。驚くべき馬ですね。前走の仏ダービー(2100m)では少し苦労しました。ほかの馬が速く走っていたので、鞍上のクリストフ・スミヨン騎手は私たちが望んでいたよりも早めに仕掛けていかざるを得なかったのです。望んだ形でレースを終えることができませんでした。しかし今日、この馬は2400mで自らが傑出馬であることを証明しました」。
今回フィードザフレイムはまたもや先頭からじわじわと引き離され、馬群が向正面の木陰に隠れたとき、鞍上のクリスチャン・デムーロ騎手は手綱を小刻みに動かしながら最後方を走っていた。それでもバリー調教師は「あれほど後ろにいたら"余裕なのだな"と分かりますね」と語った。
そしてこう続けた。「あらゆる優良馬と同様に、抜群の末脚をもっているのです。実際、比較的軽々と勝ちましたね。彼の動きや振る舞いを見ていて、良い勝ちっぷりだと思いました」。
「馬主のジャン-ルイ・ブシャール氏とは1980年代から組んできて、たくさんの優良馬を送り出してきました。協力関係が始まりというよりも終盤に入っているのに、今回とても優秀な馬を手に入れました」。
スミヨン騎手が4日間の騎乗停止処分を受けていたため、この騎乗はデムーロ騎手に任されることになった。彼はフランスの最強3歳牡馬2頭に騎乗するという特別な栄誉に浴した。
デムーロ騎手はこう語った。「ペースについていけず、序盤は少し不安にさせられましたが、瞬発力勝負をよく心得た馬ですね。唯一の欠点といえばウォームアップに少し時間がかかることですが、勝負どころですぐに動いてくれます」。
「実際、前が少し開くとすぐに飛ぶように走ってくれましたね。ゴール手前でG1勝ちを確信できるなんて素晴らしいことです」。
アデレードリバーは愛ダービー(G1)でオーギュストロダンの2着となっていたが、今回も気骨のあるパフォーマンスを見せて、勝馬には及ばなかったもののソウルシスターにクビ差をつけての2着に入った。
ライアン・ムーア騎手はこう述べた。「アデレードリバーはとてもいいレースをしました。彼には満足しています。成長していますね」。
ジョン&セイディ・ゴスデン厩舎の馬でこれまでにない大一番に挑むことになったキーラン・シューマーク騎手は、ソウルシスターをスムーズに導き、内ラチに閉じ込められないように外に持ち出した。
「ソウルシスターはとても立派なレースをしました。道中とくにスピードを上げたわけではないのですが、それがうまくいったようです。力強い末脚を直線で生かそうとしました。よく追い込んでくれましたが、ライアンをとらえるのは至難の業ですね。勝った馬はすごく強かったのだと思います」とシューマーク騎手は語った。
ソウルシスター陣営は、ヴェルメイユ賞(G1)の前にロンシャンを経験させるという考えから、このレースに彼女を追加登録していた。彼女の今後の進路は当初の考えどおり牝馬限定戦となるだろう。
セイディ・ゴスデン調教師はこう語った。「彼女はとてもいいレースをしましたね。早くから動いていって好位置を取り、その後は安定した走りを見せていました。そしてかなり落ち着いたペースで周回し、うまい具合に追い込みました」。
「勝馬が別格でしたね。間違いなく最悪のポジションにいたのに、馬群を一気にごぼう抜きにしてしまいました。とてつもなくすごい馬に見えました。でもソウルシスターの走りっぷりにはとても満足しています」。
「今や牝馬限定戦に戻るという選択肢が現実的になってきましたね。レース後の回復具合を見てみますが、 おそらくその方向に戻ると思います」。
フィードザフレイムがパリ大賞を制したことで、今季フランスで行われた3歳G1・7レースすべてをフランス調教馬が制したことになる。
By Scott Burton
[Racing Post 2023年7月14日「Feed The Flame cut to 12-1 for Arc after burning off British and Irish opposition in Grand Prix de Paris」]