ベルモントS優勝馬アルカンジェロ、BCクラシックを回避(アメリカ)[その他]
ベルモントS(G1)&トラヴァーズS(G1)優勝馬アルカンジェロは左後肢の不具合のためBCクラシック(G1 11月4日 サンタアニタパーク)を回避することになったと、ジェンナ・アントヌッチ調教師は10月31日(火)に発表した。
馬主であるブルーローズファームのジョン・エバート氏はデイリーレーシングフォーム紙に対して、アルカンジェロは競走を引退して来年レーンズエンド牧場で種牡馬入りする予定だと語った。一方、アントヌッチ調教師はそのような展開になる可能性が高いと述べただけで、この馬の状態についてさらなる評価を待つようだ。
セントラルケンタッキーにあるレーンズエンド牧場は2週間前、アルカンジェロが引退した暁には種牡馬として供用すると発表していた。
ブリーダーズカップ開催の「X」(旧ツイッター)の公式アカウントで、アントヌッチ調教師はファンデュエルTVのホアキン・ハイメ氏のインタビューに応じて、「アルカンジェロはここ数日のあいだ馬体に不具合があり調教に支障をきたしています。彼のことを一番に考えてBCクラシックを回避することを決定しました」と語った。
「今週ずっと話してきたように、左後肢の蹄鉄を外しましたが、完全に問題が解消することはなく、私たちにはもう時間がありません。初めから述べてきましたが、たとえ何があろうとも常に馬を最優先にしたいのです」。
その後アントヌッチ調教師は10月31日(火)の朝、本誌(ブラッドホース誌)の取材に対し「アルカンジェロの歩様は良く、健全かつ軽快で調子も良いようですが、左後肢付近の熱は完全には解消されていません」と語った。
10月28日(土)にアルカンジェロの調教は行われたが、アントヌッチ調教師が完全に満足できるものではなかった。
獣医師と相談した末に出走取消を決定したと彼女は述べた。ブリーダーズカップ開催の出走予定馬は、ブリーダーズカップ協会と規制当局の獣医師によって定期的にモニタリングされ検査を受けている。
アントヌッチ調教師はこう語った。「この問題について話し始めたときから彼らには言っていたのですが、状態に変化があれば、いち早く彼らに連絡します。だから、その点については揉めごとも消極的なことも一切ないのです」。
「アルカンジェロはBCクラシックを回避することで治療を受けることができ、診断が出されることになります。そのあと将来についての決断を下すことができるでしょう」。
そして、「競馬の規制に関して、私たちは解放されました。ですから評価して十分に理解して良い答えをもらって、それから計画を立てることができるのです」と付け加えた。
アルカンジェロはデビューから2戦続けて敗北を喫したが、その後4連勝して馬主に賞金170万ドル(約2億5,500万円)以上をもたらしている。ドン・アルベルト・コーポレーションにより生産されたアルカンジェロは、2021年のキーンランド9月1歳セールで現在の馬主により3万5,000ドル(約525万円)で購買された。
アルカンジェロ(父アロゲート)は春から夏にかけて頭角を現し、3歳馬の頂点に上り詰めた。ベルモントSでの勝利により、アントヌッチ調教師は女性トレーナーとして初めて三冠競走の1つを制した。
アルカンジェロはエクリプス賞の最優秀3歳牡馬の最有力候補だが、どの馬がこの栄冠を手にするかは、11月4日(土)の総賞金600万ドル(約9億円)のBCクラシックでのアレイビアンナイトをはじめとするライバルの3歳馬の活躍次第となる。
オッズメーカーのジョン・ホワイト氏は、BCクラシックの発売前オッズでアルカンジェロは単勝4倍のアレイビアンナイトに次ぐ単勝4.5倍の2番人気になるだろうと予想している。アレイビアンナイトは前走のパシフィッククラシック(G1)を制している。
またドバイワールドカップ(G1)優勝馬ウシュバテソーロの発売前オッズ(10月30日付)は5倍であり、出走予定の古馬12頭の中で1番人気である。
この4日間でBCクラシックを回避した有力馬はアルカンジェロで3頭目となる。ケンタッキーダービー(G1)優勝馬メイジは関係者によると熱発の症状があるために出走登録を行わなかった。またハスケルS(G1)優勝馬ゴーロケットライドは10月28日(土)の調教で重傷を負い、手術を受けている(訳注:11月1日にゴーロケットライドには安楽死措置が取られた)。
By Byron King
(1ドル=約150円)
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[bloodhorse.com 2023年10月31日「Arcangelo to Scratch From Breeders' Cup Classic」]