G1・4勝の牝馬 ハイフィールドプリンセスが死亡(イギリス)[その他]
複数のG1を勝利した牝馬・ハイフィールドプリンセスが、馬房内のアクシデントで負った怪我の影響で死亡したと発表された。このことを受け、オーナーブリーダーであるジョン・フェアリー氏は、彼と彼の家族が「悲しみに暮れている」と話した。
ジョン・クイン調教師の管理のもと、同馬はレーティング57のハンデ競走での初勝利を皮切りに、イギリス、アイルランド、フランスでG1・計4勝を挙げるまでに成長し、米国や香港の一流スプリントレースにも出走した。
フェアリー氏とその家族は、ハイフィールドプリンセスがレースで走る様子を「この上ないスリル」と表現し愛していた。しかし、馬房内での事故により後肢に負った怪我の影響で、先週には同馬の現役引退が発表されていた。
3月24日に発表した声明で、フェアリー氏は次のように述べている。
「ハイフィールドプリンセスと知り合えたことは、私たちの人生において本当に名誉なことです。我々はただ悲しみに暮れています」。
「彼女のような馬を生産し所有できたことは、まさに夢のようでした。彼女は私たち家族を、世界中をめぐる非日常的な冒険に連れて行き、たくさんの大切な思い出を作ってくれました。彼女はレースが大好きで、その知性、そのタフさ、そして闘争心は信じられないほどのものでした。本当に特別な馬で、私たち家族の一員でした」。
「彼女が歩んだすばらしい旅路には、実に多くの人々が関わってくれました。彼女が生まれた牧場から、鞍を背負って第一歩を踏み出すまでを助けてくれた人々、そして彼女が休暇を過ごした牧場まで。また、献身的な愛情をもって "プリンセス "の世話をしてきたジョン&ショーン・クイン・レーシングのチームも大きなショックを受けていることでしょう。長きにわたる彼らの親切なケアに感謝します。彼女はあの厩舎でとても幸せだったと思います」。
ハイフィールドプリンセスは当初、獣医師観察のもとで良好な経過を見せていたが、「手術不可能な骨折」から回復することはとうとう叶わなかった。
ジョン・クイン調教師とその息子ショーン、およびフェアリー氏の合同声明では次のように語られている。
「この1週間、彼女はかつて競馬場で見せたような並外れた精神力で戦いましたが、昨晩ついに命を落としました」。
ハイフィールドプリンセスは、元テレビ司会者兼プロデューサーで、クイン調教師の厩舎「ハイフィールドステーブル」の地主でもあるフェアリー氏によって生産された。1歳時には29,000ギニー(約577万円)の価格で買い手がつかず、翌年から調教を開始した。
3歳シーズンも夏まではデビューせず、初勝利はデビュー5戦目にエア競馬場で出走した1,400mのハンデ競走だった。しかしその勝利を皮切りに、翌2021年にはロイヤルアスコット開催のバッキンガムパレスSとクイーンシャーロットフィリーズS(L)を制覇した。
2022年には、フランスでモーリスドゲスト賞(G1)を勝ってG1馬の仲間入りを果たすと、続くイギリスのナンソープS(G1)とアイルランドのフライングファイブS(G1)を立て続けに制覇し、1か月足らずの間にG1・3勝を挙げた。また、デュークオブヨークS(G2)やニューカッスルのフィリーズアンドメアズチャンピオンシップスにも勝利し、ブリーダーズカップターフスプリント(G1)では4着入線を果たした。
昨年はアベイドロンシャン賞(G1)を制して4つめのG1タイトルを獲得したほか、グロリアスグッドウッド開催のキングジョージS(G2)を勝利。また、ロイヤルアスコットではキングズスタンドS(G1)で2着、クイーンエリザベス2世ジュビリーS(G1)で3着と好走を見せていた。
ハイフィールドプリンセスは競走馬として4シーズンを戦い、通算成績は39戦14勝。また2、3着も計14回を数える。レーティングの最高値は120で、獲得した賞金は185万2,945ポンド(約3億5,200万円)にのぼる。
By Peter Scargill
(1ポンド=約190円)
[bloodhorse.com 2024年3月24日「Highfield Princess Dies After Stall Accident」]