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2024年05月09日  - No.17 - 2

優良馬カスカディアン、引退してゴドルフィンのケアプロブラム入り(オーストラリア)[その他]


 競馬場での多才さ、強靭な精神、粘り強さで、厩舎関係者や競馬ファンの心を掴んだ、カスカディアンは引退し、ゴドルフィン・ライフタイムケア・プログラムの旗手として新たな役割を始めることになった。
 通算12勝、2着6回、3着9回、獲得賞金1,085万豪ドル(約10億8,500万円)の成績で競走馬を引退したカスカディアンは、ケメンタリ、ハートネル、オズボーンブルズ、ハウラキ、イッツサムワート、アヴィリウス、ベストオブデイズ、トレッキングといったゴドルフィンの名馬たちの仲間入りをすることになる。
 世界中を飛び回るゴドルフィン厩舎のこの9歳馬の物語は、2015年3月26日にイギリスで産声を上げたときから始まった。
 ダーレーの元2歳馬および3歳馬チャンピオンのニューアプローチを父に持ち、ストリートクライ産駒のフォールズオブローラ(IRE)を母にもつカスカディアンは、フランスのアンドレ・ファーブル調教師のもとで6戦3勝2着2回を記録した後、オーストラリアに送られ、ジェームズ・カミングス厩舎に転厩した。
 カミングス調教師は、次のように語った。「カスカディアンは、アンドレの管理下で6走し、フランスのマイルG1競走(2着)を含め大活躍しました。将来、オーストラリアで最大限の力を発揮できるようにと、1年間の休養を与えることになりました。その休養の恩恵を最大限受けたのがゴドルフィン・レーシングチームでした。調教のたびに、彼は少しずつ成長していきました」。
 このハンサムな栗毛馬は、オーストラリアでの5シーズンでいずれも勝利を収め、1400mから2000mの距離でG1競走4勝を含む重賞競走8勝を挙げた。
 2021年ドンカスターマイル(G1)と2022年オールエイジドS(G1)の勝利はカミングス調教師にとってハイライトだったが、今からわずか2ヶ月前にディフェンディングチャンピオンとしてオーストラリアンカップ(G1)の栄冠を防衛したことは、同調教師に大きな感動を与えた。
 カミングス調教師は、次のように語った。「彼は最初のオーストラリアンカップで結果を残しましたが、それが彼のキャリアのハイライトだったのかどうかは分かりません。すべて同じ条件であったとしても、翌年のような層の厚さはありませんでした。だから、より過酷なレースで連覇したことは、とても素晴らしいことです。2年目のオーストラリアンカップでは、プライドオブジェニ、アティシュー、ミスターブライトサイドに勝利し、そして現役最後のクイーンエリザベスSでは4着に追い込む大健闘をみせ、キャリアを締めくくりました」。
 カスカディアンは、161年の歴史(1863年創設)を誇るオーストラリアンカップで連覇を達成したわずか6頭のうちの1頭である。
 カミングス調教師は、クイーンズランド州で行われるホリンデールSとドゥームベンカップ(G1)への出走を断念し引退させるという決断は難しいものだったが、この馬にとって最善の選択だったと語った。
 「クイーンエリザベスSから数週間が経ち、調教でまだ少し疲れているように感じられました。いつもなら少し休ませてから出走させますが、この(クイーンエリザベスSに向けての)調教を始める前に、これが最後の調教になるだろうということで合意していました。オーストラリアンカップは素晴らしいレースで、並み外れた強豪を破って勝つことを見ることができました。厩舎の人気者であったカスカディアンは、素晴らしい遺産を残してくれましたので、引退してさびしく思います」と、カミングス調教師はコメントした。
 ゴドルフィン・ライフタイム・ケア・プログラムは、競走引退後に適切な居場所を提供するだけでなく、競馬以外の様々な活動でサラブレッドの多才さをアピールすることを目的としている。
 ゴドルフィン・オーストラリアのブラッドストックマネージャーであるジェイソン・ウォルシュ氏は、カスカディアンは輝かしい仲間に加わり、彼の人生の次の章でさらなる成功を収めることを期待していると語った。
 ウォルシュ氏は、次のように語った。「我々は、ゴドルフィン・ライフタイム・ケア・プログラムの一環としてサラブレッドの普及に誇りを持っており、カスカディアンほどサラブレッドの多才さを示す例はありません。競走馬として貢献・実績がある馬なので、旗手としてこのプログラムに参加することになります。我々の目標のひとつは、彼がこれまで競馬場で貢献したのと同じように貢献し続けられるような環境に置くことです。彼はどんなことに手を出しても、成功する稀有な動物です。彼の次のキャリアがどのようなものなのか、考えるだけでもわくわくします。それが何であれ、彼は長年競馬場でやってきたように、ベストを尽くしてくれると確信しています」。
 カスカディアンはオーストラリアで大成功を収めたが、それはゴドルフィンの全スタッフの努力と献身の賜物である。
 ウォルシュ氏は、次のように語った。「競走馬として、彼のような優秀な馬に巡り合えることは滅多にありません。英国で生まれ、フランスでレースをしてから我々のチームに加わりました。彼はゴドルフィンの素晴らしいお手本です。G1競走を4度制覇し、オーストラリアンカップを2度制覇し、1,000万ドル以上の賞金を獲得して引退するというのは、非常に稀有な馬であり、彼の旅路の一端を担えたことを幸運に思います」。
 カスカディアンは現在、ニューサウスウェールズ州ハンターバレーのケルビンサイドで休養をとっている。

By Dave Murray

(1豪ドル=約100円)

[godolphin.com 2024年5月6日「Cascadian retires from racing and joins the Godolphin Lifetime Care program」]


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