国際サラブレッド競売人協会、豪州のレース格上げ乱発に失望を表明(オーストラリア)[開催・運営]
オーストラリアのニューサウスウェールズ州でレース格が昇格されたとみられていた12競走(うち4レースは既に実施済)について、それらは国際的には承認されていないことが判明し、豪州でのレース格付の混乱は続いている。
国際サラブレッド競売人協会(SITA)は、豪州がブラックタイプ委員会を設立せずに独自の道をいっていることに失望を表明し、それから派生している混乱に対して世界の競馬産業は「失望」していると忠告した。
SITAは、10月18日付でレーシングオーストラリア(RA)に向けて同国の格付に関する混乱に対して懸念を表明した。また、先週末、レース格付に影響力のあるアジア・パターン競走委員会(APC)も同様に、強い表現の文書でRAに対して不満を表明していることが分かった。
豪州のブラックタイプへの疑念は1月に開催予定のマジックミリオン・ゴールドコースト1歳セールにも影響があると見られるが、当セリの血統カタログは来週発表される予定になっている。さらに、直近では10月26日、ランドウィック競馬場で開催予定のジ・インビテーション(約7ハロン)、ファイブ・ダイヤモンズ・プレルード(約7.5ハロン)はそれぞれG2、リステッドの格付とされているが、これらにも影響を及ぼす可能性がある。
豪州では12年間、格下げされたレースがなかったと見られる事実が明らかになったほか、ニューサウスウェールズ州の12レースを格上する際、RAはAPCが設定している原則に違反している可能性のあることが10月21日に判明した。
RAの策略もあり、APCはジ・エベレスト(G1)、ビクトリア州のオースター・マイル(G1)をG1として承認したが、同時にRAとレーシング・ニューサウスウェールズ(RNSW)はニューサウスウェールズ州の12レースを格上げしたことを発表した。
これら以外にも他州を含めて56レースの格上げが予定されていたが、昨今の混乱により保留となっている。
RAは本紙の取材に対して、ニューサウスウェールズ州の12レースの格上げはAPCの規則通りに実施したと主張した。APCの規則上、G2の格上げまでは各国の競馬施行団体にそれらの判断が委ねられると規定しているようにも見える。
しかし、RAとRNSWは格上げの発表をフライングしてしまったようで、APCの規則によると、来シーズンから新たな格付けでレースを実施できるように、APCが毎年開催している会議で承認されるのを待つべきだったということが判明した。
SITA会長のジョナサン・ダーシー氏は本紙の取材に応じ、ブラックタイプの変更国際承認手続きをめぐる今までに起きた混乱について明確にした。具体的には、豪州およびAPC加盟国における格付けの変更は全てAPCが承認し、そこからSITAおよび上位の国際格付番組企画諮問委員会(IRPAC; International Grading and Race Planning Advisory Committee)に報告をする。
その後、これらの変更は国際セリ名簿基準委員会(International Cataloguing Standards Committee)のブルーブックに反映される。ブルーブックはSITAが管理し、世界中のセリ会社の情報源になっている。
RAのCEOポール・エリクソン氏は、先週の金曜日、ニューサウスウェールズ州の12レースの格上について、APCへの報告が不要との判断から報告していないことを明らかにした。それゆえに、SITA側はAPCからこれらのレースの格上げについては何も通知がなく、そのため、SITA、IRPAC、ブルーブックもこれらの格上げについては認識していないとダーシー氏は述べた。
ニューサウスウェールズ州の「汚い12レース(格上げされたと発表されたレース)」のうち実施済の4レースで優勝あるいは入着した関係者や生産者が獲得したと思われたブラックタイプは、世界の競馬界、更にはマジックミリオン社などが重要視するセリ名簿では認識されないものとなってしまった。
By Trevor Marshallsea/ANZ Bloodstock News
[bloodhorse.com 2024年10月21日「A Dozen NSW Races Lose International Recognition」]