PMUの新馬券カドリオ(フランス)【開催・運営】
4月28日からPMUの13番目の馬券“カドリオ”(Quadrio)が発売されることになり、馬券の種類が増え充実する。カドリオは経験豊富な賭客向けの馬券だが、この13という不吉な数字は新しい馬券に幸運をもたらすだろうか。この馬券はまぐれ当たりをあてにでないため、ハードコアな競馬ファンに歓迎されるだろう。
2001年9月15日のミュルティ(Multi:4〜7頭選択して4連複を当てる馬券)の登場以来5年半ぶりにPMUが新馬券を発売する。
その間、2005年1月にカンテ・プリュス(Quinté+)に大きな手直しがあった。すなわちこの馬券を1枚2ユーロ(約300円)にし、5頭中4頭的中の残念賞を追加し、自動的に馬券に付与される4桁の数字が当選すれば、追加の賞金を獲得できる(ナンバーくじとの組合せ)ようにした。この新ルールを歓迎する者もいたが、不満をもらす者もいた。
PMUは告白しないが、天からのお告げを聞いたのであろう。カドリオは新しい客を獲得したり、誘惑したりする馬券ではない。反対に、この馬券の成功は分析好きの常連客を引き止めることができるかどうかにかかっているだろう。PMUはおそらく手遅れになったり競争相手が間近に迫る前に、すべての馬券購入者の信頼を失わないようにしたかったのである。
基本ルール:1度に2つの馬単
カドリオは連続した2レースを対象にし、各レースの1、2着馬を着順どおりに的中させる馬券である。この“ダブル馬単”の払戻しは平均1,130倍となり、1口は1.5ユーロ(約175円)から購入できる。
的中しない場合でも、以下の3つのケースで残念賞が支払われる予定である。
- 2レースにおいて1、2着を順不同(馬連)で的中させた場合(平均払戻し:370倍)
- 2レースにおいて1、2着(計4頭)のうち3頭を的中させた場合(平均払戻し:10倍)
- 2レースにおいてそれぞれのレースの1、2着のうち1頭ずつを的中させた場合(平均払戻し:2倍)
売上げの73%が馬券購入者への払戻し
カドリオの購入者に対する朗報は73%の高い払戻し率が適用されることだ。その理由は、カドリオへの累進追加課税(Prélèvement Supplémentaire Progressif: PSP)の税率が低くなるからである。
選んだ馬が競走除外になった場合、PMUはそのルールに従って、払戻し率を変更して支払う。また、出走前に除外馬の代わりに追加で他の馬を選ぶこともできる。
新しい重勝馬券の試み
カドリオでPMUは馬単・馬連を好む分析好きの常連客を勧誘しようとしている。昨年馬単・馬連の馬券の売上げは19.2億ユーロにのぼり、馬券総売上げの23.7%を占めた。
1995年の1つの開催(8〜9レース)のうち7レースの単勝を的中させるグラン・セット(Grand7)馬券発売の失敗から、PMUはこの種の馬券の発売を再び試みることはなかった。2つのレースだけを結合させることにより、カドリオは“重勝”という面において合理的である。この馬券が発売され、顧客に好評であれば、カドリオは同日開催の他競馬場のレースも対象にして発売されるかもしれない。
PMUは毎日カドリオを発売し、1日40万ユーロ(約6,000万円)の売上げ増加を期待している。この数字は年間売上げの1.8%に相当するだろう。
参考:カドリオ対象レース
以下の馬券が発売されるレースが、カドリオの1つ目の対象レースとなる。
- ティエルセ(上位3頭を当てる。可能であれば順序も当てる。3連単・3連複)
- カルテ・プリュス(上位4頭を当てる。可能であれば順序も当てる。4連単・4連複)
- カンテ・プリュス(上位5頭を当てる。可能であれば順序も当てる。5連単・5連複。自動的に割当てられた4桁の数字が当たればボーナスか10倍の払戻金が支払われる)
- ドゥー・シュル・キャトル(上位4頭中2頭を当てる)
- ミュルティ(上位4頭を当てる。7頭以下の出走の場合は順序も当てる。選んだ馬が多ければ多いほど払戻し金が少なくなる)
By François Hallopé
(1ユーロ=約150円)
〔Paris Turf 2007年4月5日「Et de 13 pour le PMU, avec le Quadrio」〕