エクイベース社、最高額の収益配当(アメリカ)【開催・運営】
エクイベース社の共同経営者に100万ドル(約1億2,000万円)の収益配当が承認されたというニュースは、4月2日に報じられた同社のフィリップ・オハラ会長の交代劇に隠れてしまったが、競馬情報会社がこのような“記録的な利益”を出したのは初めてのことで、特筆すべきことである。
米国ジョッキークラブ(the Jockey Club)とサラブレッド競馬場協会(Thoroughbred Racing Associations:TRA)の共同事業体であるエクイベース社は、1997年から収益配当を出しているが、先ごろ就任したばかりのハンク・ゼトリン(Hank Zeitlin)会長は、今回の収益配当はこれまでの最高額であると述べ、「我が社の成功は、1990年代の初めにその基礎が築かれ、その後創設者のヴィジョンに従って成し遂げられたのです。知的財産の管理に懸命に取り組んできました。そして、ファンの皆様から、統一され体系化された情報源として高い評価が得られていると確信しています」と語った。
同社の社長であるアラン・マゼリ(Alan Marzelli)氏は、声明の中で、「我が社は1990年に発足しましたが、当時はまだインターネットは普及しておらず、我が社が今日このような成功を収めるとは予想しえないことでした。我が社のサクセス・ストーリーは、目標を決めて結束して働けば、成功につながることを、競馬業界に示すことになるでしょう」と語った。
エクイベース社は元来、デイリー・レーシング・フォーム社(Daily Racing Form)に対抗する情報配給会社として事業を開始した。デイリー・レーシング・フォーム社は、長年にわたり料金を支払わずに競馬場から大量のデータを収集していた。数年後、1998年に、デイリー・レーシング・フォーム社はエクイベース社から情報を買うことに同意した。
ゼトリン氏は、「レーシング・フォーム社の知的財産権に関する大きな変化を見れば、競馬業界はエクイベース社の存在によって守られていると思います」と述べた。
TRAの副会長クリス・シェルフ(Chris Scherf)氏は、エクイベース社は長年競馬データを重要視し、情報の配信技術の変化にもうまく対応してきたと述べ、以下のように語った。
「1994年の第1回目のサイマルキャスト会議では、誰もインターネットに言及しませんでしたが、1997年には全員がその新技術に注目していました。競馬ファンの比重は、競馬場からインターネットに移りました。競走番組作成上の手続やファンの情報収集にもインターネットが利用されるようになりました。以前は、競馬場のほぼ全ての収入がライブの競馬によるものでした。その収入は毎年減りつつありますが、インターネットを営業手段とする収入は依然増え続けています」
同氏はエクイベース社の収益配当はジョッキー・クラブとTRAの会員である42の事業体(競馬場と競馬委員会)で分配されると述べた。
発足時のエクイベース社の主な役員は、ジェームス・E・テッド・バセット(James E. “Ted” Bassett III)氏、アラン・ドラゴーン(Allan Dragone)氏、クリフォード・グッドリッチ(Clifford Goodrich)氏、ジェラード・マッケオン(Gerard McKeon)氏、トーマス・ミーカー(Thomas Meeker)氏、ニック・ニコルソン(Nick Nicholson)氏、オグデン・ミルズ・フィップス(Ogden Mills Phipps)氏、ハンス・スタール(Hans Stahl)氏、デビッド・ヴァンス(David Vance)氏であった。
1998年にエクイベース社に入ったゼトリン会長は、会長就任までは副会長を務めていた。現在のところ、同社の事業は北米の100以上の競馬場と1,100ヵ所のサイマルキャスト放映施設をカバーしている。
By Ryan Conley
(1ドル=約120円)
[The Blood-Horse 2007年4月21日「Dividend an historic milestone for Equibase」]