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海外競馬情報
2007年06月22日  - No.12 - 1

レース前の薬物検査の強化(イギリス)【獣医・診療】


 競馬監理機構(Horseracing Regulatory Authority: HRA)は、禁止薬物の不正使用の取り締まりの一環として、レース前に抜き打ちで検体採取を実施すると表明した。

 1月にウォーウィック競馬場とハンティンドン競馬場で行われた抜き打ち検査では、発走時刻の1時間前に各出走馬から血液検体が採取された。

 レース後の検査のほかに、HRAの薬物チームは薬物検査のため調教場を定期的に訪れているが、このように予告なしのレース前抜き打ち検査がイギリスの競馬場で実施されたのは7年ぶりである。

 HRAは、検査対象薬物を明らかにしない方針だが、1月にレース前薬物検査が再導入されたのは、違法な“ミルクシェイク”を取り締まるためであるとされている。

 HRAの獣医委員リン・ヒリアー(Lynn Hillier)氏によると、ウォーウィック競馬場とハンティンドン競馬場における抜き打ち検査では、「ミルクシェイクが広範囲に使用されている証拠は見つからなかった」。しかし、抜き打ち検査はいずれ近いうちに再び実施するだろうと警告している。

 同氏は、「私たちの目標は、競馬場の内外で随時に薬物検査を実施する方針を継続することです。抜き打ち検査は頻繁に実施しませんが、実施する価値はあると思います。最も重要なことですが、抜き打ち検査が馬に特に混乱を与えるとは考えていません」と述べている。

 ミルクシェイクの違法な使用は、重炭酸塩をベースとするドロドロの液体をチューブによって馬の鼻から胃へ送り込むことにより行われる。ミルクシェイクは、馬の乳酸(いわゆる疲労素)生成を軽減するので、馬は苦痛を感じることなく長時間、全速力で走ることができると言われている。ミルクシェイクの副次的効果として、尿や血液中の他の薬物の存在を隠蔽することが挙げられる。

 ミルクシェイクが効果を発揮するためには、レースに近い時期に投与されなければならない。

 カリフォルニア州では、レース直前のミルクシェイクの使用がはびこっていると言われていたが、同州はミルクシェイクを根絶するために監視厩舎に出走馬が一定時間滞在することを義務づける制度を導入した。

 ミルクシェイクの存在は、レース後でも発見することができるが、ウォーウィック競馬場とハンティンドン競馬場で行われたようなレース前の検査のほうがはるかに効果的であると考えられている。

 1月に行われた抜き打ち検査の結果を検討したヒリアー氏は、「私たちが行った検査でミルクシェイクが広範囲に使用されている証拠がなかったことに満足しています」と述べた。

 同氏は、「抜き打ち検査には3つの理由があります。第1に馬の体内にあってはならない薬物を発見して規制措置を講じ、第2にどのような薬物が使用されているかに関する情報を入手し(言うなれば薬物使用に関して諜報活動を行い)、そして第3に禁止薬物の使用を抑止することです」と付け加えた。

By Nicholas Godfrey

[Racing Post 2007年5月18日「More pre-race drugs tests are on the way」]


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