欧州委員会、賭事独占に警告(欧州)【開催・運営】
6月27日、欧州委員会(the European Commission)は、フランス、ギリシャ、スウェーデン政府に対し、これら3ヵ国の法令が国外賭事業者を締め出ているのは欧州共同体設立条約(EC Treaty: EC条約)に違反しているとして、2ヵ月以内に“満足すべき回答”が提出されない場合は、欧州裁判所(the European Court of Justice)に提訴すると警告した。
この警告は、3月にデンマーク、フィンランド、ハンガリーに送付された“理由を付した意見書”を踏襲したものである。内容は、スポーツ賭事サービスに関する自由な活動を制約する上記の3ヵ国の措置について、それが“必要であり、釣り合いがとれていて、差別的でない”ということが証明されなかったというものである。
EC条約とEU判例法(EU case law)によれば、賭博を制限して、問題のある賭博を最小限にするというような真の社会的目的のためであれば、政府は賭事・ゲーミング独占企業を運営しても良いことになっている。しかし、国家独占企業の中には、自由競争が主流の国の民間賭事業者より度を越して賭事サービスを促しているものがいくつもある。
英国で最も強硬な賭事業者ラドブロークス社(Ladbrokes)は、スタンリーベット社(Stanleybet)とともに欧州裁判所に今回の事案を提訴した。ラドブロークス社は、欧州委員会の今回の決定を歓迎している。
ラドブロークス社のe Gaming(オンライン賭事)担当役員のジョン・オレイリー(John O’Reilly)氏は、次のように述べた。「欧州委員会はこの問題について強い決意を示していますし、私たちはこれらの国々にEC条約を遵守するように求めていくつもりです。私たちがフランスで賭事・賭博営業を禁じられているのに、例えばフランスの独占企業がユーロミリオンくじ(Euro Millions lottery)をイギリスで発売するのと競争しなければならないとすれば、不当です。私たちは、スウェーデンやギリシャなど他の市場で競争することも熱望しています。それらの国において我が社は既存の業者よりも顧客により良くかつ選択の幅が広い賭事・ゲーミングを提供できると確信しています」。
フランスの賭事統括機関は、賭事独占を守るために最後まで闘うだろう。フランス場外馬券発売公社(Pari Mutuel Urbain: PMU)もフランスくじ協会(Francaise des Jeux)も攻撃をうけているが、両社はすでに欧州を拠点とする賭事業者には、国の賭事独占政策を犯す違法業者であるとして法的手段をとってきた。
PMUはマルタを拠点とすると事業者ゼターフ社(ZE Turf)を追い払ったこともある。競馬統括機関であるフランスギャロ(France Galop)とシュバルフランセ(Cheval Francais 速歩競走統括機関)とPMUは欧州委員会の裁定に遺憾の意を表明した。
By Howard Wright and Desmond Stoneham
[Racing Post 2007年6月28日「EC issues warning over local monopolies on betting」]