英国競馬界、48時間ルール続行に合意(イギリス)【開催・運営】
イギリスの平地競走は、少なくとも2010年までは出走馬と騎手の48時間前出馬投票制度(48時間ルール)のもとで運営されるだろう。年初にホースメンズ・グループ(Horsemen’s Group 馬主、調教師、生産者、ジョッキー、厩務員によって構成)と、競馬場・テレビ会社のアットザレーシズ社(At The Races: ATR)・レーシングUK(Racing UK: RUK)の間での合意を受けたことによる。
48時間ルールは、以前から全天候型馬場レースに適用され、ごく最近ではいくつかの特定レースにも適用されていたが、今年3月の平地競走シーズン開始時から全面的に適用されることになった。
しかし、調教師グループは48時間ルールを厳しく批判し、ルール導入による負担が期待利益を上回っていると主張している。この批判によってルールの継続およびイギリス競馬の海外販売促進が、危機に晒されていた。
しかし、彼らの懸念を解消するために、合意内容に年次中断条項を加え、年間の海外売上額が予算額を著しく下回る場合は契約を解除できることとした。
この合意には、少なくとも40万ポンド(約9,600万円)をホースメンズ・グループに供給し、これを賞金と参加謝礼金に使用するという条項も含まれている。
この3年契約は、RUKとATRが海外に英国競馬を販売促進する一助となるのと同様に、国際賭金プール運営業者とともに賭事を行うトート社(Tote)を後押しすることも期待されている。
RUKのサイモン・バザルゲット(Simon Bazalgette)氏は11月25日、次のように述べた。「我が社とATRは、調教師たちの懸念を認めて、事業の国際的展開のために馬主・調教師の利益と負担を調整する仕組みを導入しました。私たちの主要な目標の1つは、長期的な視点を持つことです。私たちの海外の重要な顧客に、英国競馬が48時間ルールを堅持することを知ってもらう必要があります」。
48時間ルールの続行に関する合意が、来月の英国競馬統括機構(British Horseracing Authority: BHA)の承認を得て発効すれば、ホースメンズ・グループの最初の重要な成果となる。
馬主協会(Racehorse Owners’ Association)のポール・ディクソン(Paul Dixon)会長は、この合意を良識と和解の勝利と表現した。
同会長は、次のように語った。「この合意によって、英国競馬が海外市場で成功する見込みがあるかどうかを検証することができます。このことは、48時間ルールから生じる混乱と負担を正当化する十分な理由となります。過去における問題の1つは、RUKとATRが策定した資金計画が過大であったために、達成できなかったことです。現在では、現実的な予算案を作れるでしょうし、もしそれが達成できなければ、ホースメンズ・グループには中断条項を行使する選択肢があります」。
調教師全国連合会(National Trainers’ Federation: NTF)のトム・テイト(Tom Tate)会長は、次のように語った。「調教師たちは当然、48時間ルールによって引き起こされる大混乱に対して金銭でできるかぎり補償するよう主張しましたので、私たちがここまで来るのは、長くて険しい道のりでした。しかし現在では、NTFは競馬産業全体の利益のために、また、ゆくゆくは英国競馬の海外への売り込みが成功することを期待して、この48時間ルールの継続を認めました」。
ディクソン会長はまた、「この合意は、英国競馬においてますます重要な役割を担うホースメンズ・グループが力のある組織であることを証明しました。私は、ホースメンズ・グループを介して問題に取組んだので、妥結できたのだと思います」と付言した。
By Howard Wright
(1ポンド=約240円)
[Racing Post 2007年11月26日「Racing signs deal to extend 48-hour decs」]