世界の高額賞金競走ランキング（ヨーロッパ）【開催・運営】

　2006年に100万ポンド（約2億円）を超える賞金が交付された競走は世界で40競走あったが、イギリスとアイルランドではそれぞれ1競走だけだった。ヨーロッパには世界のトップ10にランクされる高額賞金競走はなかった。

　英ダービーは、2006年に賞金総額約128万ポンド（約2億5,600万円）を交付して、イギリスの最高賞金競走になっているが、世界の高額賞金競走のリストではようやく15位にランクされているだけだ。世界最高賞金の競走は、約350万ポンド（約7億円）を交付するドバイ・ワールドカップ （Dubai World Cup）である。

　アイルランドの最高賞金競走であるアイルランドダービーは、賞金総額103万ポンド（約2億600万円）でかろうじて100万ポンドの大台を超えており、世界ランクでは仏ダービーと共にようやく38位に入っている。

　両ダービーに続いて、イギリスとアイルランドで２番目の高額賞金競走は、キング・ジョージ6世＆クイン・エリザベス2世ダイアモンドS（75万ポンド−約1億5,000万円）およびアイリッシュチャンピオンS（68万9,655ポンド−約1億3,800万円）である。

　ヨーロッパの最高賞金競走は、約138万ポンド（約2億7,600万円）の凱旋門賞であるが、この金額でも世界のトップ10に入るには不十分である。トップ10には、ドバイと極東の競走のほか、ブリーダーズカップの2競走が入っている。

　表に示されている世界高額賞金競走の賞金額は、ニューマーケットに本部を置くIRB社（International Racing Bureau）によってレーシング・ポスト紙のために計算されたものである。

　最終数字は、交付された合計賞金額を示しているが、この金額は競走が施行されたときの為替レートでなく、2005年1月1日にジョッキー・クラブ（The Jockey Club）が定めた換算レートに従って計算されている。

　この表は、ヨーロッパが賞金交付額で上位国からいかに遅れているかを示している。2006年の賞金額ランキングで上位に入ったのは、ドバイのナドアルシバ（Nad Al Sheba）競馬場で同じ日に施行された3競走であり、シーマクラシック（Sheema Classic）とデューティフリー（Duty Free）は、高額賞金競走ランキングで1位のドバイ・ワールドカップに続いて2位を分け合った。

　ブリーダーズカップ8競走の賞金総額は、いずれも100万ポンドを超えており、これまで世界最高賞金競走であったブリーダーズカップ・クラシックは世界賞金額ランキングで4位となっている。

　日本円パワーは、賞金額トップ40の中で大きな要素となっている。日本の11競走の賞金総額はそれぞれ100万ポンドを超え、最高賞金競走は236万ポンド（約4億7,200万円）のジャパンカップである。

　見事な活躍をしたディープインパクトは、世界の高額賞金競走のトップ20に入る競走のうち4競走で優勝を果たした。さらに日本調教馬は、世界の高額賞金競走トップ40競走のうち14競走で優勝した。

　香港競馬の地位が向上したことは、世界の高額賞金競走トップ40に香港の5競走が入っていることからもわかる。他方、オーストラリアは、トップ20に3競走が入っており、メルボルンカップは世界高額賞金ランキングで6位に入っている。メルボルンカップでも、日本のデルタブルースとポップロックが1着と2着を独占した。

　2006年のヨーロッパの高額賞金競走は多くはないが、何頭かのヨーロッパ調教馬が外国でその分け前を獲得した。

　ブライアン・ミーハン（Brian Meehan）調教師は、デヴィッドジュニア（David Junior−ドバイ・デューティフリー）およびレッドロックス（Red Rocks−ブリーダーズカップ・ターフ）で世界の高額賞金トップ10に入っている2つの競走に優勝し、またすばらしい活躍をしたコリアーヒル（Collier Hill）は、カナダと香港で賞金総額100万ポンドを超える2つの競走に勝ち、同じく賞賛に値する活躍をしたウィジャボード（Ouija Board）は、チャーチルダウンズ（Churchill Downs）競馬場で行われたブリーダーズカップ・フィリー＆メア・ターフで百万ドル規模の賞金を獲得した。

2006年の高額賞金競走ランキング

（１ポンド＝約200円）
By Nicholas Godfrey

〔Racing Post　2007年1月2日「Europe fails to feature in the world’s top ten richest races」〕