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海外競馬情報
2007年04月20日  - No.8 - 3

フランスはEUの支配からPMUを擁護(フランス)【開催・運営】


 フランスは、EUの他の加盟国の賭事業者に対して自国の賭事市場を開放することに反対して必死で戦っている。

 フランス場外馬券発売機構(Pari Mutuel Urbain: PMU)の会長兼最高経営責任者を務めてちょうど10年になるベルトラン・べランギエ(Bertrand Bélinguier)氏は競馬賭事独占権を徹底的に護る覚悟だ。

 4月4日、PMUパリ本社で同氏は次のように語った。「PMUは営利目的の企業ではありません。競馬による売上金は馬券購入者に払い戻されますし、競馬界と国家の財源になります。株主のために利益を追求する民間企業とは比較になりません。私たちのシステムは必要なのです。このシステムが無くなれば、ベルギーやドイツと同じように競馬はそのうち衰退してしまいます。フランスでは6万2,000人が競馬で生計を立てており、その立場は護られるべきです」。

 EU法違反の恐れがあるとして、欧州委員会(European Commission)は10ヵ国を監視しており、域内市場・サービス担当委員(the Internal Market and Services Commissioner)のチャーリー・マクリービィ(Charlie McCreevy)氏が6月にその結果を報告する。

 昨年PMUは2005年の1.2%増の81億ユーロ(約1兆2,150億円)を売り上げたが、見込まれていた5%増を下回った。べランギエ氏は次のように説明した。「これはインターネット賭事と高額配当宝くじのユーロミリオン(EuroMillions)との厳しい競争によるものです。さらに、馬券購入者は昨年の猛暑の間は冷房のないPMUの営業店から足が遠のいていましたし、フランスの予想以上の健闘で盛り上がったワールドカップも私たちには不利益をもたらしました」。

 それにもかかわらず、売り上げが見込みに到達しないことが判ると、経費を削減したために、競馬業界の取り分は4.1%増の6億5,300万ユーロ(約979億5,000万円)となった。売上げの72.8%は配当金として馬券購入者に払い戻され、さらに総額10億2,600万ユーロ(約1,539億円)が国庫に納入された。PMUの経費は売上げの5.5%にあたる4億4,800万ユーロ(約672億円)であった。

 4月6日の週より単勝・複勝の控除率が3.5%下がって15%となる。この引き下げ分は競馬界が56.25%と国が43.75%の割合で負担する。しかしながら控除率引き下げにより単・複の収入が14%増し、この引き下げ分をカバーすることが期待されている。

 PMUは4月末に“カドリオ”(Quadrio)という新しい馬券を発売する。これは連続する2レースの1、2着馬を着順どおりに的中させれば高額配当を得ることができる。

 公社としてPMUはフランス人のいろいろな生活に活動的な役目を演じている。ルーブル美術館の彫刻30体の修復費用を出し、2006年には児童36人の心臓手術に資金援助した。学生によるエキシビジョン競馬を支援し、自転車レースのツール・ド・フランス(Tour de France)のスポンサーにもなった。

By Desmond Stoneham
(1ユーロ=約150円)

〔Racing Post 2007年4月5日「France defends PMU from EU’s clutches」〕


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