ブックメーカーは、競馬界から受けている恩恵を認識すべき(イギリス)【開催・運営】
英国競馬統括機構(British Horseracing Authority: BHA)は、文化・メディア・スポーツ省(Department of Culture, Media and Sport: DCMS)に対して競馬界に代わって提案を行った。この提案は、10月末に競馬賭事賦課公社(Levy Board:賦課公社)が賦課金問題に関して合意に達しなかった結果、2008‐09年の賦課計画の決定が政府に付託されたことを受けて、賭事業界に対す る賦課金額の増額を主張するものである。
BHAのポール・ロイ(Paul Roy)会長は、提案の詳細は現在作成中であるが、“推測でなく事実に基づいた、競馬界のニーズを満たす実質的かつ確固たる主張”を内容とする文書を、DCMSが設定した11月26日の締切日前に提出すると述べた。
同会長は、ターフTV社(Turf TV)のコストを賦課金と相殺するという極端な申出がブックメーカー委員会(Bookmakers’ Committee)から行われたため、BHAは逆に、一連のイギリスの非競馬品目(娯楽機器、固定オッズ発売端末、バーチャル競馬およびその他の賭事製 品)に対しても賦課金を要求する反対提案を行うこととした。
三大ブックメーカーが記録した総利益は、2003年の14億ポンド(約3,360億円)から2006年の21億ポンド(約5,040億円)へ増加したと 指摘し、ロイ会長は次のように述べた。「ブックメーカーは、増益の多くは自分たちの非競馬品目が寄与したと主張していますが、競馬が彼らの最も有力な商品 であることを無視すべきではありません。ブックメーカーの利益の一部は、競馬界の支援によって曲がりなりにも多角化できたことに由来するものです。ブック メーカーはイギリス競馬の衰退を他人事のように話しますが、彼らは競馬界から受けた支援を忘れているのです。より重要なのは、競馬が場外馬券発売所におけ る単一で最大の取引商品であることをブックメーカーが忘れていることです。調査の結果、場外馬券発売所で固定オッズ発売端末を使用して賭事を行っている 人々の3分の2は、イギリス競馬に賭けることを主たる目的として来ていることが明らかになっています」。
ロイ会長は、自分の意見の重要部分を11月20日発売の全国新聞ビジネス欄に掲載し、ターフTVの問題を賦課金の議論に持ち込もうというブックメーカーの主張を再度退けた。
同会長は、次のように述べている。「ブックメーカーを除くすべての当事者間では明確な認識があります。すなわち、ブックメーカーの主張とは異なり約半数 の競馬場の映像問題は、賦課金と関連性がなく、またこれまでにも関係があったことは一度もありません。ブックメーカーの申出では、競馬界への拠出額は、 4,000万ポンド(約96億)を下回っています。これは、現在の約8,500万ポンド(約204億円)という拠出金と比較して、ほとんど交渉のベースに なりません。これは、政府の言い方にならえば、賦課金は『競馬界の正当なニーズならびに現在の経済状態に応じたブックメーカーの支払能力を吟味し両者のバ ランスをとるべきである』ことを考えれば、とりわけそうです」。
競馬界は、2008‐09年分の賦課金収入について、1億3,500万ポンド(約324億円)から1億5,300万ポンド(約367億2,000万円)の間の金額を要求している。
同会長は、「ブックメーカーの主張がまじめに行われたのでないとすれば、それは滑稽なことです」と付言している。
賦課金問題の時系列表
2007年11月26日:DCMSの担当官が、証拠を検討し、かつコンサルタントの意見を考慮したあと、DCMSは賦課公社の構成メンバー(ブックメー カー、独立メンバーおよび競馬界)による提案の締切日を11月26日と設定した。今後、DCMSの担当官からパーネル大臣に解決案が提出されることにな る。
2008年4月1日:第47次賦課計画が実施される。
By Howard Wright
(1ドル=約120円)
[Racing Post 2007年11月21日「BHA on offensive over ‘laughable’bookmaker offer」]