海外競馬ニュース 軽種馬登録ニュース 海外競馬情報 統計データベース 海外競馬場・日程 世界の競馬および生産統計 海外競走登録 申請書類
血統書サービス 引退名馬
twitter FB
TOPページ > 海外競馬情報 > 鞭の不正使用で6ヵ月の騎乗停止(アメリカ)【開催・運営】
海外競馬情報
2008年07月18日  - No.14 - 3

鞭の不正使用で6ヵ月の騎乗停止(アメリカ)【開催・運営】


 ジェレミー・ローズ(Jeremy Rose)騎手は、2つのクラシック競走勝馬であるアフリートアレックス(Afleet Alex)をお手馬に持つことで知られているが、6月23日にデラウェアパーク競馬場の第3レースにおいて、馬を虐待したかどで、長期間の騎乗停止処分を受けた。

 デラウェア州サラブレッド競馬委員会(Delaware Thoroughbred Racing Commission:DTRC)は直ちにこの件を審議し、ホームストレッチで競り合いに負けた後にアピールトゥザシティ(Appeal to the City)の顔に鞭を入れたとして、ローズ騎手に6ヵ月間の騎乗停止を課した。

 DTRCの常務理事を務めるジョン・ウェイン(John Wayne)氏は、ローズ騎手が鞭の乱用と動物虐待により処罰を受けたと説明した。6ヵ月の騎乗停止に加えて、ローズ騎手は感情(怒り)をコントロールするためのカウンセリングを受けること、そして怪我を負わせた牝馬の治療代を支払うことを要求されている。ウェイン氏は、「このような事を大目に見ることはありません」と述べた。

 ローズ騎手は、アピールトゥザシティの顔に鞭を入れたのは偶発的な事故であると述べたが、裁決委員はこの違反は“鞭の極端な乱用”に該当するとし、直ちに制裁を発動した。

 ローズ騎手は7月22日の意見聴取前にDTRCに対して騎乗停止措置の猶予を求めることはないと述べ、同騎手のエージェントであるジョン・ブリーデン(John Breeden)氏は裁決に対して異議申し立てをする予定であると語った。

 アピールトゥザシティはこの事件で目に怪我を負い、検査のためにペンシルヴェニア州のニューボルトン・センター(New Bolton Center)に輸送された。

 レースの正面映像では、ローズ騎手は鞭を持った左手を上げてアピールトゥザシティの顔を鞭で叩く動作が映っている。鞭を入れられた同馬は減速し、その後急にコースの中央へと進路を変えた。同騎手は同馬が内にささるのを防ぐため肩に鞭を入れようと試みたと述べた。

 ローズ騎手は、「これは事故であり故意ではなかったという事を皆さんに理解して頂きたいです。顔に鞭を入れるつもりではありませんでした。それにもかかわらず、この件において私は規則違反とされました」と述べた。

 ウェイン氏は関係者に正面から撮影したレース映像を提供し、動画共有サイトのユーチューブにも映像が掲載されている。

 ローズ騎手は、レース直後にハワード・ウルフェンデール(Howard Wolfendale)調教師夫人のタミー(Tammy)にアピールトゥザシティの状態を尋ね、裁決委員に事情を説明したと述べた。

 ウルフェンデール調教師は、「ローズ騎手が故意に鞭を入れたとか、馬を傷つけようとしたとは、到底考えられません。肩に鞭を入れようとしただけで、これは単なる事故として扱われるべきです」と語り、将来もローズ騎手に騎乗を依頼する予定であると付け加えた。同調教師は、アピールトゥザシティの目の怪我は深刻ではなく、視力にも問題は見うけられず、同馬は6月25日にローレルパーク競馬場の彼の厩舎に戻ってくると述べた。

 ローズ騎手は2001年に優秀見習い騎手としてエクリプス賞を受賞している。2005年には、アフリートアレックスを、プリークネスS(G1)およびベルモントS(G1)の優勝へと導いた。今年は6月24日時点で収得賞金4,102,295ドル(約4億5100万円)で、北米騎手ランキングにおいて15位となっている。現在29歳の同騎手は、今年重賞と特別競走を15回制しており、その中にはレディディズビー(Lady Digby)に騎乗して優勝した6月22日コロニアルダウンズ競馬場で施行された総賞金150,000ドル(約1700万円)のオールアロングS(G3)が含まれる。

 ローズ騎手は、「私は自分の正直、公正、そしてスポーツマン精神に誇りを持っています。だからこの件に関して私がどれだけ意気消沈しているかとても言い表せません」と述べた。

 2007年の6月フィラデルフィアパーク競馬場の裁決委員は、発馬機で暴れて競走除外となった騎乗馬のイェスイェスオーイェス(Yes Yes Oh Yes)に蹴りを入れたビクター・モリーナ(Victor Molina)騎手を30日間の騎乗停止処分とした。また、2002年の12月には、アケダクト競馬場の裁決委員が、入線後に予後不良となった4歳の牡馬サルタート(Saltaat)に、下馬後に鞭とダートの塊を投げつけたヴィクター・カレロ(Victor Carrero)騎手に対して、罰金2,000ドル(約22万円)と15日間の騎乗停止措置を課した。

By Frank Angst
(1ドル=約110円)

[Thoroughbred Times 2008年7月1日「Jockey Rose suspended six months for abusing horse」]


上に戻る