欧州から見た世界の国際競走(連載9 アメリカ)【その他】
創設25周年を迎えようとしているブリーダーズカップ(Breeders’ Cup: BC)は、国際的な競馬フェスティバルの先駆者的な開催であるが、現在大幅な変更が行われている。
サンタアニタパーク競馬場における2008年のBC開催では、伝統的な“ダート”競走が初めて人工馬場で施行され、また日程は2007年に続いて2日間開催となる。2008年は10月24日(金)にすべての牝馬競走が行われ、10月25日(土)は牡馬・せん馬競走となる。
BC主催者は、外国馬に対して遠征補助金を提供しない。他方、国際ブリーダーズカップ・チャレンジ(Breeders’ Cup Challenge: BCC)を発足させ、BCC競走の勝馬は、BCの出走馬選定の正規プロセスを経ることなく、自動的に指定されたBC競走への出走資格が与えられる。ただし、それらの馬は、正規プロセスにおける出馬登録料を支払う必要がある。BCに倣って発足した歴史の浅い世界の国際競馬フェスティバルは賞金額を引き上げ、またその主催者は最高の外国競走馬を呼び寄せるための努力を重ねている。これに対して、BC委員会がBCを最高馬の競い合い、ほかの国際競走に遅れをとらないようどのような努力を払っているか知るのは興味深いものがある。
他方、アメリカの他の競馬団体は、外国馬に対して高額の輸送補助金を提供している。アーリントン競馬場は、アーリントンミリオン(G1 過去25回の開催うちヨーロッパ調教馬が7回優勝)において4着までに入らなかった馬の関係者に対し2万5,000米ドル(約275万円)、そしてビヴァリーD.S(G1)とセクレタリアトS(G1)で3着までに入らなかった馬の関係者に対して1万米ドル(約110万円)を支給する。
ハリウッドパーク競馬場は、キャッシュコールマイル(G2)とアメリカンオークス(G1)に出走する馬の輸送費ならびに当該馬の馬主、調教師および騎手のためのアメリカン航空のビジネスクラスの航空券とホテル代を支払うことにより、外国馬を誘致している。
アメリカ関係者の見解
BCの広報担当ジム・グルックソン(Jim Gluckson)氏は、次のように述べている。 「9月に開催されるアスコット・フェスティバル(Ascot festival)競走の質と名声によって、BCCシリーズを通じたBCへの出走資格取得に国際的な注目が集まり、ヨーロッパとBCとの関係が強化されます。クイーンエリザベスII世Sは世界最高のマイル競走の1つであり、この競走に使ってBCに出走する優れた馬が多いことから、BCCにふさわしい競走です」。 「BCジュヴェナイルターフは2007年に始まったばかりであり、またBCジュヴェナイルフィリーズターフが今年新しく加わったことから、我々はBCCシリーズのシステムによってこれらの競走の質を高め、外国代表馬の参戦をいっそう増やすことに関心を持っております。我々は、2009年にさらに多くの海外競馬を追加してBCCシリーズを拡大することを検討しています」。 |
(1米ドル=約110円)
[Pacemaker 2008年6月「Have horse, will travel」]