馬主に適用される優遇税制措置(アメリカ)【その他】
景気にてこ入れするための“経済刺激法(Economic Stimulus Act)”は2月13日にブッシュ大統領の署名によって発効した。同法は、馬主にとって恩恵となる2つの優遇税制措置を含んでいる。
アメリカ馬審議会(American Horse Council)の理事長ジェイ・ヒッキー(Jay Hickey)氏は、「新法は、2008年に購買されて使用される馬に対する大幅な減価償却などを認める2つの優遇税制措置を含んでいます。これは、人々が事業の一環として、競馬、馬術および馬の生産に投資するのに追加的なインセンティブを与えるものです」と述べている。
第1の優遇措置は、2008年に購買されて使用される馬について、必要経費限度額(国税庁規則第179条に基づく)を12万8,000ドル(約1,408万円)から25万ドル(約2,750万円)に引き上げるものである。この必要経費の控除は、牧場設備および他の大部分の資産の取得にも適用される。
今回の優遇税制措置は、例えば、65万ドル(約7,150万円)の馬を含めて、今年75万ドル(約8,250万円)の減価償却資産を購入した馬事業者 は、2008年の所得税申告で25万ドル(約2,750万円)を必要経費として控除し、残額を減価償却することを可能にする。
ヒッキー氏は、「取得費用の必要経費処理については、1996年にあやうく特別措置から馬産業が除外されるところでした。下院は、馬産業をこの特別措置から除外する法案を可決しました。しかし、私たちが上院でロビー活動をした結果、該当部分は削除され、特別措置を維持できたのです。当時の必要経費限度額は、1万7,500ドル(約192万5,000円)でした。その後、年々引き上げられ、2008年には25万ドル(約2,750万円)になります。馬主にとって大きな恩恵です」と述べている。
第2の優遇措置は、2008年に購買された馬およびその他の減価償却資産について50%の初年度特別償却を復活させるものである。
ヒッキー氏は、「50%の初年度特別償却は、景気刺激策として2002年に導入され、馬産業もその恩恵を受けましたが、2004年末までに段階的に廃止されました。この特別償却が復活しました」と述べている。
特別償却は、償却年数が20年を超える資産には適用されない。また、対象資産は新規購買のものに限られ、当該購買者が馬またはその他の資産を最初に使用する者であることを条件とする。
例えば、今年50万ドル(約5,500万円)の馬を購買し、その他の減価償却資産に5万ドル(約550万円)を支出した馬事業者は、25万ドル(約 2,750万円)を必要経費として計上することができる。さらに、残額30万ドル(約3,300万円)の50%に相当する15万ドル(約1,650万円) も初年度特別償却が認められ、残りの15万ドル(約1,650万円)について通常の減価償却が行われる。この場合、当該馬が購買前に一度も出走したことがなく、かつその他の目的にも使用されなかったことが条件である。
(1ドル=約110円)
[thoroughbredtimes.com 2008年2月15日「Bill with tax incentives for horse owners becomes law」]