ベランギエPMU会長、有終の美を飾る(フランス)【その他】
フランス場外馬券発売公社(Pari Mutuel Urbain: PMU)の4月15日午前の記者会見で、ベルトラン・ベランギエ(Bertrand Bélinguier)会長は、2008年の輝かしい成績を発表した。また、フィリップ・ジェルモン(Philippe Germond)次期会長へのバトンタッチに関連させつつ将来のインターネット賭事市場開放の概要を明らかにした。
PMUは2008事業年度に総売上げが前年比4.8%増加した。経済不況の中でもPMUはこのように素晴らしい成績をあげ、売上げ1.1%減のフランス宝くじ公社(Française des Jeux)を凌駕した。
2008年初めに賭事客への払戻率の引き上げが承認されたこともあり、賭事客への払戻金の総額は過去最高の69億2000万ユーロ(約8996億円)に 達した。ベランギエ会長は1997年のPMU会長就任時の状況に言及し、「現在の払戻率は賭金の約75%で、数年前に比べると6ポイント上がりました」と 満足げに述べた。他にも、PMUの運営費率の低下をあげ、「売上額の7.43%まで膨張していた運営費率を5.16%に縮減しました。同時に、PMUは 600人の人員削減も行いました。現在の職員数は1500人です」と述べた。ベランギエ会長は「もっと格好良く撮って」と注文をつけながら、ジェルモン氏 と記念写真におさまった。
ジェルモン氏は先端技術に精通
52の競馬協会の代表たちの満場一致でPMUの新会長に選出された、セジェテル社(Cegetel 通信大手企業)の元社長フィリップ・ジェルモン氏 は、「これほど素晴らしい遺産を受け継いだ人がいるでしょうか?」と喜びを表わした。後継者が迅速に取り組むべき戦略的課題があるという理由で、ベランギ エ会長は任期満了前に承継の段取りを進めてきた。
先端技術を駆使する電気通信業界出身であり、PMUのインターネット賭事部門が過去最高の成長(+25%、今後も大幅上昇の可能性がある)を遂げたこと を心得ているジェルモン氏は、「PMUは、インターネット賭事市場の開放という新たな状況に対応する能力があることを立派に証明しました。たとえば単式馬 券(単勝・複勝)に対する控除率の引下げと賭事商品の調和の取れた発達がもたらした結果をみれば、さらなる発展につながる広い展望が開けていることが分か ります。将来の競馬賭事市場は開けています。当分の間飽和状態にはなりません」と将来に自信を示した。
“将来”というのはつまり、PMUの競合業者にインターネット賭事が開放される時のことである。もっと正確に言うと、市場開放はヴォルト法(loi Woerth)が発効する2010年1月1日に直ちに実施される。しかし、PMUのスポーツ賭事分野での積極的な事業展開は、ジェルモン氏が競馬統括機関 の会長たちと協力して今後取り組むべき戦略的課題の1つであり、ベランギエ会長はこれについて、「PMUは、これまでツール・ド・フランス(Tour de France 自転車ロードレース)、ラグビーなどのスポーツ界との多くのスポンサーシップを築いてきました」と付言した。
12年間PMUのトップに君臨していたベランギエ氏は、4月末正式にパリ15区にあるPMU本社を去る。目標の数字を達成したことを確信しながらも、長 々と自慢せず、「次の目標はこれまでのようなプレッシャーを受けずに、愉しみのために競馬場に行くことです」と告白した。
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By Gérard de Chevigny
(1ユーロ=約130円)
[Paris Turf 2009年4月16日「Bertrand Bélinguier sort en beauté」]