欧州委員会、フランスのインターネット賭事市場開放法案を拒否(欧州)【開催・運営】
欧州委員会(European Commission: EC)はフランス政府に対して、インターネット賭事市場開放法案の修正を求めた。特にスポーツ賭事に問題があると指摘した。
欧州連合(European Union: EU)の企業・産業担当委員(閣僚級)であるグンター・フェアホイゲン(Guenther Verheugen)氏は、フランスのインターネット賭事市場開放法案にについて詳細に検討した結果、フランス政府に対して、(1) 法案を修正し、国家による賭事市場独占を廃止するよう求めるとともに、(2) 修正のため1ヵ月の猶予期間を与えたと発表した。
ECは、フランスの法案はEU法違反であるとの見解を示した。特に、(1) 払戻率の上限を85%(控除率の下限を15%)としていること、(2) 賭事業者が賭事サービスを提供する権利を制限していること、(3) 賭事業者がスポーツイベントの名称を使用する場合に、名称使用権を有する者の許諾が必要としていることを問題としている。
ECの声明によれば、フランス政府は賭事客への払戻率を、一般的に認められている平均的な払戻率(95〜97%)より低い率としているが、それを正当化 する根拠を提出していない。 声明では、「払戻率の上限を定めることは、欧州経済地域(European Economic Area)の加盟国(訳注:EU加盟国27ヵ国のほかノルウェー等3ヵ国)で設立された賭事業者の経営判断を歪め、効率性において優る業者が、高い払戻率 を提供して顧客を誘引するのを妨げる恐れがある」と述べている。
ECはまた、他の加盟国から賭事営業免許を受けた業者は、(フランスにおいても)賭事サービスを提供する権利を有するのであり、それに対する制限が正当化されるのは、「消費者保護や詐欺防止のように国民一般の利害からみて絶対的に必要な事由に限られる」としている。
法案はイベント名称の使用について、権利者に対価を支払って使用許諾を得なければならないとしている。ECはこれについて、制限は正当化されないとしている。
フランスはインターネット賭事市場の自由化を2009年1月1日から実施する予定である。
フランスが今回のECの決定を受け入れない場合、ECには訴訟を提起する方途がある。
By Howard Wright
[Racing Post 2009年6月9日「EU warns French government over plans to liberalise the online betting market」]