ニューヨーク州、酸素療法に関する新ルールを制定(アメリカ)【開催・運営】
ニューヨーク州競馬賭事委員会(New York State Racing and Wagering Board: NYSRWB)は、馬がレースの1週間以内に高圧酸素療法を受けている場合は出馬投票を受付けないと決定した。
NYSRWBは7月28日、新たな方針[訳注:現行の州競馬施行規程の解釈通達(directive)の形をとっている]をニューヨーク競馬協会 (New York Racing Association: NYRA)に通告したあと発表した。NYSRWBの広報担当ジョー・マハニー(Joe Mahoney)氏は、これまでは酸素療法に関する指針(guidelines)があったが、すべての酸素療法をカバーする包括的ルールであり、特に高圧 酸素療法を対象としていたわけではなかったと述べた。
高圧酸素による施療は、故障した馬や感染症の馬の治癒を早めるために一部の調教師が利用していた。
NYSRWBのジョン・サビーニ(John Sabini)委員長は、「レースで完走するためには高圧酸素療法が必要というような馬はレースに出走すべきではありません。純酸素は自然界に存在しない人工的なものです」と述べた。
同委員長は、「競馬施行規程の解釈上、高圧酸素療法のような療法は禁止薬物と同じカテゴリーに入ります。このような療法はある場面においては、馬の健康を危険に晒しながら馬に不当に有利性を与えるのではないかという強い懸念があります」と語った。
解釈通達ではまた、純酸素を使うあらゆる形態の療法にも同じ制限を適用することを明らかにした。
サビーニ委員長は、高圧酸素療法施設の運営者がサラトガ競馬場に設備を設置しようとしてNYRAに承認を求めたことから、この解釈通達が作成されたと述べた。NYRAは承認しなかったので、この運営者はニューヨーク州サラトガスプリングス市に設備を設けた。
NYSRWBは現在この運営者に高圧酸素療法を受けたすべての馬の診療記録を提出するよう要求している。
サビーニ委員長は次のように述べた。「賭事客のために公正性と透明性を高めることと馬の健康を守るのは、当委員会の最大の責務です。馬の高圧酸素療法を受ける時間に制限を加えることは、公正性をより良い方向に向けるための一歩となります」。
「高圧酸素療法を奨励する獣医師もいます。今回の解釈通達は、馬にこの療法を用いることを禁ずるものではありません。ただ、レースの1週間以内には施療できないことにしたいのです」。
[thoroughbredtimes.com 2009年7月28日「New York institutes new rule for oxygen therapy」]