2010年賞金補助金額は予測を下回る5700万ポンド(イギリス)【開催・運営】
競馬賭事賦課公社(Levy Board: 賦課公社)は、2010年の賞金補助金の総額を更に大幅に削減する(当初案対比8.8%減)。
競馬界の主要な資金提供団体である賦課公社からの賞金補助金は、2009年に予定されている6350万ポンド(約107億9500万円)に対して2010年は5700万ポンド(約96億9000万円)となる見込みだ。
賦課金は英国競馬を対象にした賭事の粗利益をベースとしてブックメーカーに賦課される。このたびの削減は粗利益の減少に伴うものであり、競馬界の消息筋は馬主に迫り来る悪いニュースだと警告した。
賦課公社は、2011年には年間賞金補助金を5000万ポンド(約85億円)前後にまで削減することを検討する模様である。
2008-09会計年度に賭事産業が支払った賦課金の総額は、大口馬券顧客への売上げ増の影響を受けた2007-08年度の1億1530万ポンド(約 196億100万円)から20.5%減少して9160万ポンド(約155億7200万円)となった。最新の数字は予算編成時の当初見通しとまったく一致し そうにない。
ウィリアムヒル社(William Hill)とラドブロークス社(Ladbrokes)がインターネット賭事事業を、賦課金が徴収されない海外に移転させた場合、将来の賦課金収入は影響を受けるだろう。
一方で、賦課公社は競馬場が適切に予算を組めるよう、2010-11年度予算の編成作業を進めている。
賦課公社の補助金担当理事アラン・デルモンテ(Alan Delmonte)氏は、9月6日、2010-11年度の賞金補助金の予算額を5700万ポンド(約96億9000万円)とすると発表した。同氏は、個々 の競馬場に支給される賞金基本給付額(basic daily rate: BDR)が最も大きな打撃を受けると述べた。[訳注: BDRは3つの要素を検討して各競馬場に付与される賞金補助額である。その要素とは、(1) 全競馬場一律の基礎金額 (2)(英国競馬統括機構の開催日ではなく)入札によって獲得した競馬場自身の開催日への自己資金の投入額の3ヵ年平均に基づいた評 価表による格付け (3) 各競馬場の賭事売上げ高と賞金総額、である]
各競馬場は支給されたBDRを、すべて賞金に回さなければならない。
デルモンテ氏は、「いくらかの賞金支出の項目は初めに削除されています。BDRに充てる予算総額が2009-10年度よりも11%減少します。この11%は各競馬場が受け取るBDRの削減率の平均を意味しています」と述べた。
同氏は次のように付言した。「しかし、多くの競馬場は上手くやっています。具体的には、自己資金やスポンサー料からの賞金拠出を増やして評価を上げています。それは賦課公社からの1場あたりの賞金補助額に反映されます」。
賦課公社賞金補助額 | ||
2003 | 4316万ポンド | (約73億3720万円) |
2004 | 5496万ポンド | (約93億4320万円) |
2005 | 6024万8000ポンド | (約102億4216万円) |
2006 | 6177万7000ポンド | (約105億209万円) |
2007 | 5340万1000ポンド | (約90億7817万円) |
2008 | 5551万5000ポンド | (約94億3755万円) |
2009(予定) | 6350万ポンド | (約107億9500万円) |
2010(予算立て) | 5700万ポンド | (約96億9000万円) |
2011(見通し) | 5000万ポンド | (約85億円) |
デルモンテ氏はまた、2010-11年度の賞金削減の背景には、2007-08年賦課金収入の予想外の記録的増加があることを指摘した。
BDRは11%落ち込む一方で、質の高いレースを支援している英国競馬統括機構の強化資金に対する賦課公社からの補助は、270万ポンド(約4億5900万円)から5.3%減の256万4000ポンド(約4億3588万円)となった。
競馬場ごとの削減率については目下英国競馬統括機構内で検討が進んでいる。削減率を決定するための諸要素にはレースの種類ごとの最低補助金額が含まれる。
By Howard Wright
(1ポンド=約170円)
[Racing Post 2009年9月7日「£57m prize-money for 2010 is lower than predicted」]