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2009年11月27日  - No.23 - 1

G1競走7勝のラヴァマン、現役復帰(アメリカ)【開催・運営】


 2008年に球節の故障により引退していたラヴァマン(Lava Man)が、競走に復帰することを目指して、ハリウッドパーク競馬場のダグ・オニール(Doug O’Neill)調教師の厩舎に戻ってきた。

 オニール調教師は9月23日、8歳せん馬ラヴァマン[父:スルーシティスルー(Slew City Slew)]が、その日の調教馬で3ハロンを最速の36秒で走破したことをうけて、「ラヴァマンはデルマー開催終了時に厩舎に戻ってきました。彼はその後 順調に調教をこなし、素晴らしい動きを見せています。もしラヴァマンが競走に復帰することが出来れば、彼から得た賞金はすべてカリフォルニア州引退管理口 座(California Retirement Management Account: CARMA)に寄付されます。人々はラヴァマンの復活を拝金主義から来るものと眉をひそめることはないでしょう」と語った。

 ラヴァマンは、2008年7月にデルマー競馬場でのエディー・リードH(G1)で6着となった後引退した。その後、カリフォルニア州ロスオリーボスのア ラモ・ピンタード馬医学センター(Alamo Pintado Equine Medical Center)で球節から骨片を摘出する外科手術を受け、幹細胞治療(万能細胞による再生医療)を受けた。そしてリハビリのために馬医学センターに近いサ ンタイネズのマガリファーム(Magali Farm)に送られた。

 治療プロセスにおいて、ラヴァマンの胸骨から幹細胞が取り出され、それが球節のなかに注射された。1回の治療に1千万個以上の細胞が使われた。

 オニール調教師は次のように語った。「幹細胞治療の一環として彼はマガリファームで調教を続行しました。球節の軟骨を元の状態に戻すことができると診断 されましたが、本当にそれが可能であるとは誰も確信できませんでした。この治療が将来他の競走馬の役に立つかもしれないと思うとワクワクします。ラヴァマ ンは治療に専念しており、それは驚くほど功を奏しています。獣医師は、ラヴァマンが私の厩舎において最強の馬であり、今後このような馬は出てこないと言い ました。私は、彼が元気で現役復帰するかもしれないことにどれだけ幸せを感じているか言葉で表現することができません」。

 STDレーシング・ステーブル(STD Racing)のジェイソン・ウッド(Jason Wood)氏とスティーブ・ケンリー(Steve Kenly)氏は、2004年8月デルマー競馬場のクレーミング競走において、5万ドル(約500万円)でラヴァマンを手に入れた。同馬は2005 年〜2007年のハリウッドゴールドカップS、2006年と2007年のサンタアニタH、2006年のパシフィッククラシックSを含むG1競走7勝で、 526万8706ドル(約5億2687万円)を稼ぎ出し、これらの3レースを同じ年に制覇した初めての馬となった。同馬は引退までの6年に46戦17勝し ており、クレーミング競走で入手された馬のなかで最も成功した馬であると見られていた。

 ラヴァマンの現役復帰については、同馬がオニール厩舎に戻って数週間経った9月21日になって初めてサラブレッド情報社(Thoroughbred Information Agency)が明らかにしたが、その後もいくぶん謎に包まれていた。

 ケンリー氏は、ラヴァマンを現役復帰させる決定はアラモ・ピンタード馬医学センターの創設者であるダグ・ハーセル(Doug Herthel, D.V.M.)博士の賛同を得て実現したと述べた。

 同氏は、「私たち全員、つまり私の父、ウッド氏、ハーセル博士、マガリファームズのハドソン牧場(Hudson Farm)のマネージャーであるトム、そしてオニール調教師は、集まって話合いました。ラヴァマンは“僕を牧場に送らないで、調教場に行きたいよ”と私た ちに伝えてきます。他の馬とは異なっているのです。わかりますか?彼が私たちに訴えていることはすべて、調教を受けたいということでした。私たちは彼のボ ディーランゲージと彼のすべての仕草から、それを言い切ることができます。彼が私たちにその決心をさせたのです」と語った。

 同氏は次のように付言した。「獣医師の許可を得たこととラヴァマンが牧場で良い動きをしているという事実が、私たちに何をすべきかを教えてくれました。 彼が最高レベルで競走を行うことができると感じていなかったなら、私たちは彼を戻ってこさせることはなかったと言えます」。

 「この馬は走るために生まれ、走りたがっており、心からそうしたいようであり、健康なようです。彼がレースに復帰して惜しくもG1勝ちを逃した2008 年よりも、今の方がいっそう元気だと私は思います。もし彼が復帰を果たし、ティンマン(Tin Man)が8ヵ月の休養の後に9つのG1競走を制したようなことを達成したら、それは素晴らしい話ではありませんか。競馬はこのようなヒーローを必要とし ています」。

 ラヴァマンを4月にケンタッキー州ジョージタウンにある引退馬施設であるオールドフレンズ牧場(Old Friends)に送るという計画があったが、それは実現しなかった。オールドフレンズ牧場のマイケル・ブローウェン(Michael Blowen)会長は9月22日、ラヴァマンが復帰を試みていることは知らなかったと述べた。

 ブローウェン会長によれば、ウッド氏は9月12日に同会長に対して、ラヴァマンが10月にオールドフレンズ牧場に輸送されるだろうと伝えていた。

 オニール調教師は、ファンの間に驚きがあることを認識していると述べた。インターネットのチャットや掲示板を利用するファンの中には、オーナーたちのた めに数百万ドルを稼ぎ出した後に球節の故障を経験した8歳せん馬のラヴァマンが調教を再開することに不安を表明している者もいる。

 

ラヴァマン
2001年生 父:スルーシティスルー(Slew City Slew)−母リルミスレオナード(Li’l Ms. Leonard)
母の父ノスタルジアズスター(Nostalgia’s Star)
生産者:ロニー・アーターバーン(Lonnie Arterburn)、キム・クールマン(Kim Kuhlmann)(カナダ)
オーナー:STDレーシング・ステーブル、ジェイソン・ウッド
調教師:ダグ・オニール
競走成績
年齢 出走回数 1着 2着 3着 収得賞金
2003 2 5 1 1 1 $30,595(約306万円)
2004 3 13 3 6 1 $230,008(約2300万円)
2005 4 9 3 0 1 $774,103(約7741万円)
2006 5 8 7 0 0 $2,770,000(約2億7700万円)
2007 6 8 3 1 0 $1,410,000(約1億4100万円)
2008 7 3 0 0 2 $54,000(約540万円)
合計   46 17 8 5 $5,268,706(約5億2687万円)

By Jeff Lowe, Steve Bailey and Tom Law
(1ドル=約100円)


[Thoroughbred Times 2009年10月3日「Seven-time Grade 1 winner Lava Man returns to training」]


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