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海外競馬情報
2010年11月19日  - No.22 - 2

第44回パリ国際会議、危機をチャンスに変える試み(国際)【開催・運営】


 IFHA(国際競馬統轄機関連盟)の第44回パリ国際会議が、慣例ど おり凱旋門賞の翌日にフランスギャロ(France Galop)において開催された。ルイ・ロマネ(Louis Romanet)氏が議長を務め、この日の討議はとりわけ現在のサラブレッド産業の経済状況に集中した。経済状況は陰鬱なものではあるが、同時にいくつか の絶好の機会も存在している。

 他の業界と同様に、競馬界も現在世界的に売上げ減少傾向に苦しんでいる。しかし、インターネット賭事が急激に発展したことにより、競馬運営者たちは、これが短期的あるいは中期的に多くの顧客と賭事客を獲得するチャンスとなる望みを抱いている。


現状が見られる数字

 

  • 出生頭数
     全世界において、2004年から2008年の間に毎年12万頭をわずかに上回るサラブレッドの産駒が登録された。2009年にはこの数字は6%近く減少し11万3,000頭となった。なおフランスの産駒登録数は、世界のサラブレッド産駒登録数の5%を占める。


  • 種付料
     米国において2008年と2009年は、種付料が平均で18.5%下落した。欧州においては下落率はより高く約25%であった。


  • せりの売上げ減少
     1歳馬セールもまた、全世界のすべてのセールが不況の影響を受けた。


  • 馬券売上げの減少
     2009年の全世界のすべてのタイプのレースの馬券売上げは842億ユーロ(約10兆1040億円)と見積もられ、2008年よりも1.2%減少した。 この馬券売上げは、スポーツ賭事、カジノ、テーブルゲーム、スクラッチ宝くじなどを含めた世界中の賭事の7%となり、競馬賭事の賭事市場における割合も近 年において減少した。国によって異なる状況にあるが、8ヵ国のみで全世界の競馬賭事市場の90%を占めている。オーストラリアと香港はそれぞれ12.8% と9.8%の成長を見せたが、米国とアイルランドはそれぞれ9.8%と15.8%減少した。競馬賭事の売上げにおいてナンバーワン国である日本(JRAの み)の2009年の売上げは、220億ユーロ(約2兆6,400億円)で5.5%減少した。フランスはと言えば、2008年から2009年にかけて、馬券 売上げは0.4%増加し安定した状況にある。


  • 2010年上半期の売上げに大幅な変化なし
     2010年の上半期の売上げは、主要競馬国においては新たに大幅な変化が見られることはなかった。香港は14%増、韓国は6.7%増、フランスは0.6%増、イタリアは13%減、日本は5%減、シンガポールは7%減、スウェーデンは3%増であった。

いくつかの熟考すべき事例

 IFHAの事務局長である秋谷光昭氏は、勇気づけられるいくつかの事例を提示した。

 上記のように香港は2009年に10%の成長を記録したのに続いて、2010年の上半期において14%の大幅成長を達成した。「いくつかの要素がこの景 気の建て直しに寄与しました。提供する競走、とりわけ海外の競走の提供数を増加させた措置が多数の賭事客を惹きつけました。また、賭事客の賭事における損 失額が1,000ユーロ(約12万円)を超えた場合にはその損失額の10%を賭事客に割り戻すリベート措置も取りました。このリベートプログラムは、売上 げ全体の80%に貢献しているこれらの重要な顧客に非常に快く歓迎されました」。秋谷氏は同時に2007年にPMU(フランス場外馬券発売公社)、フラン スの競馬統轄機関およびフランス政府によりなされた、単式馬券の控除率を3.5%引き下げる決定の肯定的な面に言及した。単勝と複勝の的中馬券への払戻率 が85%に増加したことで、単式馬券の売上げは14%増加した。時にはリスクを冒すことも、有効であることが分かった。

 秋谷氏はチャンピオン馬が原動力となることの重要性についても言及した。2005年と2006年におけるディープインパクトの存在は、同馬が出走する開催日の入場者数および売上げを後押しした。「非常に単純なことですが、私たちの顧客は最強馬を見たいと思っています」。

 ルイ・ロマネ氏もまた、常に前向きでありたいと望んでいる。「インターネット賭事の発展は競馬に若い人々を惹きつけるための新しいチャンスです。誰もが このチャンスを掴みとるために前向きでなければなりません」。フェイスブックやツイッターのようなソーシャルネットワーキングシステムは、アイフォンやタ ブレット型コンピュータが素晴らしいコミュニケーションツールとなっている現在、大いに活用されなければない。そしてロマネ氏は、政治家との強固で建設的 な関係の重要性についても主張した。「競馬界は国家に財政的に貢献しているというだけではなく、数千人の雇用を生み出すのにも寄与しています」。

 

 


[Paris Turf 2010年10月10日「Un contexte difficile mais des opportunites a saisir」]


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