海外賭事業者への免許付与の際に賦課金支払を義務づける案(イギリス)【開催・運営】
ノーザンレーシング社(Northern Racing)の会長であるハワード卿(Lord Howard)は、賦課金支払いの抜け穴を塞ぐ手段として、英国競馬を対象とする賭事を受け付ける海外賭事業者に対して英国政府が“免許制度”を義務づけ る制度づくりを支持している。
ハワード卿は10月19日、「競馬界には賦課金に関して4つのターゲットがあります。すなわち、(1)ベッティング・エクスチェンジ、(2) 最低賦課金額[訳注:賦課金計画の下ベッティングショップは英国競馬に対する賭けからの粗利益が一定額―2009-10年:9万ポンド(約1,260万 円)、2010-11年:8万8,740ポンド(約1,242万円)―までは賦課金が免除されている]、(3) 英国内での海外競馬を対象とした賭事、そして最も重要な点として、(4)英国の市場を狙う海外賭事業者に英国競馬に対する適切な賦課金支払いをさせる必要性、の4つです」と語った。
競馬界が4つ目の点に対して提供し得る最善の方法は、英国競馬に対する賭事への賦課金支払いが義務づけられる形の“免許制度”を創設して海外賭事業者を組み入れることである。
ハワード卿は次のように続けた。「海外賭事業者は免許を取得し賦課金を支払わなければならない、さもなければ英国市場で広告を出すことはできない、と政府が言えるようにすべきです」。
以前保守党のリーダーであり内務大臣として、賦課金とトート社(Tote)に関する法律と議論に緊密に関わってきたハワード卿は、次のように付け足した。「基本法が必要となるでしょうが、私はこれを実施することはまったく可能であると考えています」。
「前政府はこの件に関して確信が持てずに、これらの海外賭事業者が賭事委員会(Gambling Commission)によって免許を付与されるべきかについて関係方面との協議を行いました。その後、それを可能にする2、3の判決が欧州裁判所において下されました」。
「海外賭事業者は賭事運営のために免許を付与されるべきであり、その免許付与に当たって彼らに賦課金の支払いを義務づけるべきです。この仕組みが賦課金制度の問題を前進させるための一番良い方法であると私は確信しています」。
競馬界は、賦課金支払いを義務づける新しい“免許制度”の制定を迫るための千載一遇のチャンスを手にしているとハワード卿は述べた。
政府は10月中旬に、2011年には賦課金決定手順に関与しないことを表明したが、その後、文化・メディア・スポーツ省(Department for Culture, Media and Sport: DCMS)のスポークスマンは、制度改正によって、競馬への資金提供がかなりの額となるとともに出来る限り広い範囲から徴収されることになるだろうと述べ た。
ハワード卿は、「このことによって、競馬界が賦課金制度を改善する方法を見い出すことが可能になると思います。最も重要なのは、海外賭事業者の問題を扱 うことです。競馬界はそれについての議論を始めるべきであり、もし政府を説得することが出来れば、それを成し遂げる可能性は十分あります。もし政府が何も 手を打たないとすれば、難題を抱え込むことになるでしょう」と語った。
「海外賭事業者が、英国競馬産業を存続させるために必要な支払いを行わずに英国競馬から利益を得ているとすれば、非常に不公平なことです。彼らは、賦課金を支払っている賭事業者に対して不当に有利な立場を得ています」。
ハワード卿は次のように付言した。「私は、海外賭事業者が“免許制度”を切り抜けられるとは思いません。彼らは英国で広告を出す必要があるので、非常に難しいと思います。もし彼らが英国競馬から手を引くと言うならば、それは、はったりだと思います」。
By Howard Wright
(1ポンド=約140円)
[Racing Post 2010年10月20日「Offshore firms must pay to be licensed-Howard」]