2009年馬券売上額と賞金拠出額の総括(アメリカ)【開催・運営】
米国サラブレッド競馬におけるパリミューチュエル賭事の売上げは2009年、前年と比較して約10%下落し、2000年と比較すれば30億ドル(約3000億円)減少した。
2009年のサラブレッド競馬の賞金は、2008年の11億5800万ドル(約1158億円)に比べて5.6%減の10億9300万ドル(約1093億 円)で、馬券の売上げよりは健闘している。なお、2009年の延べ競走日数は、2008年から2.6%減の5934日であった。
1月6日にエクイベース社(Equibase)により発表された年末サラブレッド競馬経済指標によれば、2009年米国の競馬への賭金は2008年の 137億ドル(約1兆3700億円)から9.9%減の123億ドル(約1兆2300億円)となった。この数字には世界中で行なわれている米国競馬を対象と した賭事も含まれている。
2009年2月頃競馬産業の役員たちは、経済情勢のために馬券の総売上げは10%以上の減となるかもしれないと予想していた。現在の差し迫った懸念は、2010年に馬券売上げと賞金が持ち直すか、それとも減少し続けるかである。
10年前、電話投票(advance deposit wagering: ADW)はサラブレッド競馬の主な成長要素として持てはやされたが、馬券売上げにほとんど変化はなかった。しかし、ADWは馬券売上げにおいてさらなる下落がもたらされることを防いだと言える。
その一方、スロットマシーンによって年間数十億ドルが創出されているにもかかわらず、賞金額は減少し続けている。したがって、これは楽観的に見るべきなのか悲観的に見るべきなのだろうか?
NTRA(全米サラブレッド競馬協会)の会長兼CEOであるアレックス・ウォルドロップ(Alex Waldrop)氏は声明において、次のように語った。「年間においてこれだけ大きな下落があったことについて浮かれるべきものは何もありませんが、とり わけ2009年は競走日数が減少している事実において、他の多くの産業と比べれば良いほうだと言えます。また下半期における減少率の低下も最悪期を脱した ことを示しているでしょう。私たちは、インターネット賭事を運営する独自の権利を活用して新しい手段を展開させますので、今後数年において競馬産業はこの 下落傾向を覆すと私は確信しています」。
競馬経済指標によれば、馬券売上げと賞金は2009年下半期において明るい要素があった。2009年6月時点では、前年比で、馬券売上げは10.48% 減少し、賞金は6.04%減少していた。2009年は前年同月比で馬券売上げが約17%減少した6月を含めてひどい月が何ヵ月かあった。
エクイベース社によれば、2009年12月においては、前年同月比で馬券売上げは8.7%減少し、賞金は2.3%減少し、減少率の低下が認められた。
サラブレッド競馬経済指標 | |||
2009年12月と2008年12月の比較 | |||
指標 | 2009年12月 | 2008年12月 | 変化率 |
米国競馬馬券売上げ | $748,685,618(約748億6856万円) | $820,358,357(約820億3584万円) | −8.74% |
賞金 | $58,742,586(約58億7426万円) | $60,123,263(約60億1233万円) | −2.30% |
米国競馬開催日 | 332日 | 330日 | 0.61% |
2009年と2008年の年間比較 | |||
指標 | 2009年 | 2008年 | 変化率 |
米国競馬馬券売上げ |
$12,319,129,673
(約1兆2319億1297万円) |
$13,669,477,234
(約1兆3669億4772万円) |
−9.88% |
賞金 |
$1,093,875,799
(約1093億8758万円) |
$1,158,616,930
(約1158億6169万円) |
−5.59% |
米国競馬開催日 | 5934日 | 6093日 | −2.61% |
※世界中の米国競馬を対象とした賭けを含む。出典元:エクイベース社。 |
By Tom LaMarra
(1ドル=約100円)
[The Blood-Horse 2010年1月16日「Pari-Mutuel Handle, Purses Take Sizeable Hit in 2009」]