インターネット賭事市場開放のスタート地点が明らかに(フランス)【開催・運営】
上院に当たる元老院の議員たちは、2月23日と24日の2日間、話合 いを夜に持ち越すこともなく、インターネット上のゲーミングおよび賭事の市場開放に関する政府の法案を支持した。その結果、下院に当たる国民議会の2回目 の読会(3月30日)において承認されるであろう同法案には元老院では大きな変更はされなかった。
したがって、政府といらいらして待っている賭事業者にとっての大きな目標は、サッカーのワールドカップ(6月11日開幕)までに準備を整えることである。スタート地点は明らかになった。もはや何も上手くいかなくなるか、すべてが上手くいくかの賭けとなった。
法律案において、変更された点と変更されない点は以下のように要約される。
維持されるもの
パリミューチュエル賭事の原則は維持される。すなわち賭金全体から控除金を差し引いた残額が配分される。賭事業者は中間的立場にあり、賭事の結果に対しては中立でなければならない。
インターネットでの賭事の受付は、賭けの対象となる競走の発走前になされる。ベッティング・エクスチェンジ(賭事客の間での賭け)は禁止されたままになる。
競馬開催にもたらされた賭金は、正規の手順で作成されたリストに掲載される。
新しく採用されたもの
インターネット賭事統制機構(Authorité de Régulation des Jeux en Ligne: ARJEL)の創設。ARJELは賭事運営免許の申請書を審理し、賭事運営免許を付与し、使用されているゲームと賭事のソフトウェアを認可し、賭事業者に より提供されるゲームと賭事のルールを承認し、賭事運営の監督を実施し、不正賭事業者および詐欺との戦いに挑む。また、ARJELは常に賭事業者の活動を 統制する。
免許を付与された賭事業者は、一定の条件の下で、増大した利益を活用することが可能である。しかし、これらの利益は賭事客への払戻率も含まれるだろう。ただしどのような場合においても、競馬賭事もスポーツ賭事と同様に85%を超えてはならない。
賭事運営免許は5年間有効であり、更新することができる。それは競馬賭事、インターネット賭事およびインターネット賭事場(インターネット上の賭事客対賭事客の賭け)の運営で異なる。
それぞれの免許取得に掛かる費用。免許申請に2,000ユーロ〜1万5,000ユーロ(約26万〜195万円)を要し、毎年付与あるいは更新された免許の所有権のために1万〜4万ユーロ(約130万〜520万円)を負担しなければならない。
競馬賭事における控除率は7.5%となる(5.7%は国税、1.8%は社会福祉事業)。これまでの控除率は約9.5%であったので、1年間で約2億ユー ロ(約260億円)のボーナスがもたらされるだろう。競馬界への還元もまた、賭事に課される税金から拠出されるだろう。法令により定められたこの率は 7.5%以上9%以下でなければならない。近年においては競馬界への還元率は賭金全体の約8%であった。
競馬場を受け入れている自治体では70万ユーロ(約9,100万円)、またフランス全体では年間1,000万ユーロ(約13億円)に関して、インターネット賭事に開放されている競走に特定の控除率が課せられるだろう。
賭事業者の義務
タックスヘイブン(租税回避地)のブラックリストに入っている国家を拠点としてはならない。
会計はゲームと賭事の項目ごとに分けられなければならない。
予測される法律発行手続きの完了
法律文書によると、インターネット賭事開放の条件と効果についての評価報告書は法律発効日から18ヵ月後に、政府から議会へもたらされることになっている。
過度なあるいは病的な賭事に対する戦略についての報告書は2011年12月31日に提出されるだろう。
By François Hallopé
(1ユーロ=約130円)
[Paris Turf 2010年2月26日「La ligne de départ est en vue」]