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海外競馬情報
2011年06月10日  - No.11 - 6

馬ヘルペスウィルス、米国西部で発生(アメリカ)【獣医・診療】


 米国西部の少なくとも6州で確認された馬ヘルペスウィルス(EHV-1)の発生は、ホースショーの盛んなシーズン、セリおよびロデオの開始時期と重なり、馬関連イベントの記録的な中止を余儀なくさせた。

 9州で5月21日〜22日に予定されているカッティング競技(訳注:狙った牛を牛の群から切り離す乗馬での競技)のイベントは中止された。ワシントン州立大学とコロラド州立大学は自身の獣医学部の病院を隔離した。そしてコロラド州の2つのウエスタン馬術馬と障害飛越競技馬の診療所は営業休止となった。

 ユタ州の獣医師であるブルース・キング(Bruce King)氏は5月17日、馬、ラバ、ロバに関係するすべてのイベントを中止にすることを勧告すると述べた。

 匿名を条件に発言した馬産業関係者は、「馬産業の人々はパニック状態です。もし馬のセリが予定通りに開催されず、他のショーのシーズン全体を台無しにしてしまったら、莫大な経済的影響が生じ財政的に破綻する人々も出てくるでしょう」と語った。

 コロラド州立大学の獣医学部の教職員によれば、EHV-1は馬がお互いに鼻をこすり合わせたときに鼻汁を通じて鼻から鼻へ非常に高い割合で感染する疾病である。 馬にとっては致命的な疾病となりうる。

 この疾病は非常に感染力が強いが、人間に影響を及ぼさない。またこの疾病は感染馬に調教を施した人間の衣服に触れることで感染することもある。感染馬が身に着けた装具や遮眼帯および共有されている食料や水もこの疾病を蔓延させ得る。

 EHV-1には(1)呼吸器疾患、(2)自然流産、(3)神経疾患の3つの症状があり、後肢の衰弱、筋肉運動の調整の失調、鼻汁および発熱が含まれる。感染が深刻な馬は起立することもできず安楽死にされる。

 全米カッティング競技馬協会(National Cutting Horse Association)はメンバーや関係者にすべてのショーを中止にすることは要求しないものの、5月上旬にユタ州オグデンで開催された同協会の全米選手権で獣医師がEHV-1の発生を追跡したことを受けて、警戒のシグナルを発した。

 テキサス州を拠点とする協会であるフォートウォース(Fort Worth)はそのウェブサイトにおいて、「私たちはショーのプロデューサーに、この週末にイベントを実施することで馬の健康にリスクが及ぶ可能性を考慮するように強く促します」と語った。

 コロラド州の農務省は報道発表において、感染あるいはその危険に晒された馬の頭数は明らかではないが、コロラド州においてはユタ州のイベントに参加した2頭の馬がウィルスを保有していることが確認され、他の6頭の馬は疾病の臨床兆候を示したと述べた。

 2頭の感染馬は安楽死にさせられた。

 カリフォルニア州の食糧・農業省は、州内の10頭の馬からウィルスが見つかり、これらすべての馬がユタ州のイベントに参加したと述べた。同省の職員たちは、1頭の馬は深刻な神経症状を示したため安楽死されたと述べた。

 アリゾナ州、アイダホ州、ユタ州およびワシントン州においてもウィルス感染が疑われる馬がいる。

 コロラド州の獣医師であるカール・ヘッケンドルフ(Carl Heckendorf)氏はロイター紙に次のように語った。「高価な馬を死に至らしめる感染症が流行っているときは常に、生産者にとっては深刻な問題です」。

 ヘッケンドルフ氏は、数頭の馬には抗ウィルス剤が効果を示しましたが、そうでない馬もいると述べた。騎乗者と管理者には馬に触れた後に衣服や馬具一式を徹底的に洗うことが勧告されている。同氏は、馬の群れに晒された馬は孤立させ、一定の期間監視下に置くことを主張した。

 米国農務省のスポークスマンであるアビー・イグゾー(Abby Yigzaw)氏は、政府機関はウィルス発生と戦っている州防疫官のために感染馬のデータベースを編集していると述べた。

[thoroughbredtimes.com 2011年5月18日「EHV-1 outbreak hits Western U.S.」]
 


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