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2011年09月09日  - No.17 - 6

タピット、北米リーディングサイアーリストでの地位を確立(アメリカ)【生産】


 ゲインズウェイ牧場(Gainesway)に繋養されているタピット(Tapit)にとって非常に輝かしい時期は、今後も続くかどうかはともかく、今に始まったことではない。

 タピットが競走生活において初めて脚光を浴びたのは、プルピット産駒でメリーランド州のタペタファーム(Tapeta Farm)でマイケル・ディキンソン(Michael Dickinson)調教師に管理されて知名度が上がり2004年ケンタッキーダービー(G1)の有力馬の1頭と目された時であった。

 タピットの競馬場における優れた才能は、残念ながら6戦しかしなかったためにその多様性が存分に証明されなかった。しかしその中にはウッドメモリアルS(G1)、ローレルフューチュリティ(G3)での優勝が含まれており、同馬は競走生活においても能力を見せつけた。

 タピットの産駒の能力は多様性に富んでおり、これは初期の控え目な種付料1万5,000ドル(約135万円)から最近の高騰した種付料8万ドル(約720万円)まで同馬を支持した生産者や、初めから同馬を心底支持した同馬の関係者のおかげである。

 ケンタッキー州レキシントンにあるアンソニー・ベック(Anthony Beck)氏所有のゲインズウェイ牧場のセリ担当部長であるマイケル・ハーノン(Michael Hernon)氏は、「タピットは種牡馬生活において素晴らしいスタートを切り、新種牡馬ランキングおよび2歳種牡馬ランキングにおいてリーディングに輝きました。同馬の初年度産駒には、BCジュヴェナイルフィリーズ(G1)優勝馬で最優秀2歳牝馬に選ばれたスターダムバウンド(Stardom Bound)がおり、それ以来タピットは種牡馬として堅実な成績を残しています。同馬は優良馬を送り出し続け、種牡馬としての地位を向上させ続けています」と語った。

 前述したように2008年に新種牡馬ランキングと2歳馬種牡馬ランキングでトップに輝いたのに加え、タピットは2011年(7月24日現在)、北米ジェネラルサイアーリストでトップとなっている。

 産駒デビューからまだ4年目のタピットは、合計収得賞金が568万8,048ドル(約5億1,192万円)で、この数字は産駒デビューから8年目のジャイアンツコーズウェイ(Giant's Causeway)を18万ドル(約1,620万円)強上回っており、12年目のアンブライドルズソング(Unbridled's Song)、同じく12年目のスマートストライク(Smart Strike)、4年目のメダグリアドロ(Medaglia d'Oro)を凌いでいる。

 タピットの産駒収得賞金額のかなりの部分は、日本のステークス勝馬のテスタマッタからのものであるが、タピットは決して、豊富なボーナスを稼ぎ高額賞金の主要ステークス競走を勝った1頭の出走馬によってだけその地位を向上させた種牡馬ではない。

 タピットは2011年の重賞勝馬ザズ(Zazu)、ジョイフルヴィクトリー(Joyful Victory)、ヘッディク(Headache)、トラップショット(Trappe Shot)およびタピザー(Tapizar)の父馬である。これらのステークス競走の勝利は、スプリント競走および1600 m以上の競走、ダートおよび人工馬場で挙げられた。タピットがチャーチルダウンズ競馬場で行われた芝馬場のエッジウッドSの勝馬ディーヴァアッシュ(Diva Ash)も送り出していることは、米国のすべての馬場に適応するステークス勝馬を送り出せることを証明している。

 ハーノン氏は次のように語った。「タピットはあらゆる馬場を得意とする産駒を送り出す能力を持っているようです。トラップショットはトゥルーノースH(G2)を勝った素晴らしいスプリンターです。同馬はスプリント路線を歩み続けるようで、次の出走はアルフレッド・G・ヴァンダービルトS(G1)で、その後フォアゴーS(G1)に進むようです」。

「タピットは同時に1600m以上でも能力を発揮する馬を送り出しており、今年同馬は数頭の素晴らしいステークス競走勝馬を送り出し、これらの産駒は種牡馬としてのバランスの良さを証明しました。また、3歳時に健闘した後に4歳になっても高いレベルのレースに戻ってくる馬を送り出しています。このことは、大変な満足を与えます。次にデビューする2歳馬にも同じことが言えるでしょう」。

 ファシグ・ティプトン社(Fasig-Tipton)の1歳セレクトセールであるケンタッキー7月セールにおいて、タピットの産駒が最高額の牝馬となったことで、タピット産駒は若馬でさえも注目されていることが証明された。この30万ドル(約2,700万円)の牝馬を落札したのは、タピットが1歳の時に65万ドル(約5,850万円)で購買し、競走させたウィンチェルサラブレッズ社(Winchell Thoroughbreds)であった。

 8月8日と9日に開催される1歳セレクトセールのファシグ・ティプトン社サラトガセールで、7頭のタピット産駒がセリ名簿に掲載されている。そしてキーンランド協会が9月に開催する1歳セールでも多くの産駒が上場されるだろう。ゲインズウェイ牧場が2010年のキーンランド9月セールで42万ドル(約3,780万円)で売却した2歳牡馬カタールズパール(Qatar's Pearl)もタピット産駒で、7月6日にアイルランドのネース競馬場でデビューし、2着となっている。

 ハーノン氏は次のように付言した。「私たちはカタールズパールがその存在感を示し、父馬がより一層注目されることを望んでいます。欧州人たちは今後タピット産駒を求めてセリに駆けつけるかもしれません。このことはこの馬の影響範囲を広げ、国際的な需要をいっそう高めるでしょう」。

ファシグ・ティプトン社のサラトガセールに上場されるタピット産駒
8月8〜9日に開催される1歳馬セレクトセールのファシグ・ティプトン社サラトガセールのカタログに掲載されているタピット産駒
番号 性別 母馬(母父) コンサイナー
48 ストームインザガーデン(ストーミーアトランティック)
Storminthegarden(Stormy Atlantic)
スウィージー&パートナーズ
(Sweezey&Partners, agent)
55 サニーモーニング(テールオブザキャット)
Sunny Morning(Tale of the Cat)
ゲインズウェイ牧場
(Gainesway, agent)
57 スウィートアンドケアレス(ヘネシー)
Sweet and Careless(Hennessy)
デナリ牧場
(Denali Stud, agent)
62 タッチラブ(ナットフォーラブ)
Touch Love(Not For Love)
ゲインズウェイ牧場
(Gainesway, agent)
104 キュートコニャック(ヘネシー)
Cute Cognac(Hennessy)
イートンセールズ社
(Eaton Sales, agent)
139 インスタントカヴァレッジ(ストームキャット)
Instant Coverage(Storm Cat)
レーンズエンド牧場
(Lane's End, agent)
141 ジグ(キャットレイル)
Jig(Ire)(Catrail)
ブルーグラスサラブレッドサービス社
(Bluegrass Thoroughbred Services Inc., agent)

活躍するタピット産駒
2011年においてタピット産駒のうち10頭がステークス競走を制しており、その中には6つの重賞競走が含まれている。
名前 母馬(母父) 主要な勝利
ヘッディク
(Headache)
パムリック(ウッドマン)
Pamric (Woodman)
プレリーメドウズコーンハスカーH(G3)
ジョイフルヴィクトリー
(Joyful Victory)
ワイルドルーシーブラック(ワイルドアゲイン)
Wild Lucy Black(Wild Again)
ファンタジーS(G2)など
タピザー
(Tapizar)
ウィニングコール(デピュティミニスター)
Winning Call(Deputy Minister)
シャムS(G3)
テスタマッタ
(Testa Matta)
ディフィカルト(コンサーン)
Difficult(Concern)
マーチS(G3)
トラップショット
(Trappe Shot)
ショッピング(プライベートアカウント)
Shopping(Private Account)
トゥルーノースH(G2)
ザズ
(Zazu)
ラムライン(ミスターグリーリー)
Rhumb Line(Mr. Greeley)
ラスベガスS(G1)など

By Tom Law
(1ドル=約90円)

[Thoroughbred Times 2011年7月30日「Tapit in familiar position on general sire list」]


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