ジョッキークラブ、2012年産駒数の8.5%減と推定(アメリカ)【生産】
ジョッキークラブの上席副理事長兼専務理事のマット・ユリアノ(Matt Iuliano)氏は8月13日、2012年の北米登録サラブレッド産駒数が2011年の2万7,000頭から8.5%減少して2万4,700頭になるとジョッキークラブは推定している、と発表した。
例年8月中旬に発表される推定産駒数は、2011年の繁殖シーズンに受け付けられた繁殖牝馬報告(Reports of Mares Bred:RMBs)を活用して算出される。RMBsは毎年繁殖シーズンの8月1日までに申請される。
2012年産駒数は、1971年の2万4,301頭以来最も少ないと推定される。
2011年繁殖シーズンのRMBsを申請していない種牡馬所有者は、できるだけ早く申請するよう促されている。RMBsの申請は、実質的にすべての登録手続きをネット上で行うことができる“双方向登録(Interactive Registration)”を通じて迅速かつ容易に実行することができ、ジョッキークラブのホームページ(registry.jockeyclub.com)で行うことができる。
産駒についての追加情報は、ジョッキークラブのインターネット上のファクトブック(jockeyclub.com/factbook.asp)で閲覧可能である。また、州ごとのファクトブック(jockeyclub.com/statefactbook.asp)も閲覧することができる。
By Blood-Horse Staff
[bloodhorse.com 2011年8月13日「Foal Crop Expected to Drop 8.5% in 2012」]
米国の産駒数減少は“朗報”である
2012年の北米サラブレッド産駒数が1971年以来最も少なくなるという推定に対して、この下げ幅はレース数の減少より大きいものの、米国の生産者たちは前向きに反応している。
北米サラブレッド産駒数の公式管理者であるジョッキークラブは、2012年の産駒数は対前年比8.5%減の2万4,700頭になると推定している。
英国とアイルランドで産駒数が激減している現状に懸念が表明されている一方で、スリーチムニーズ牧場(Three Chimneys Farm)のケース・クレイ(Case Clay)場長は米国の産駒数減少を“朗報”と言い表した。
同場長は次のように語った。「産駒数減少により2つのことがもたらされます。まず馬の質が高まるということ、そして次に需要が同じであれば供給が減るために価格が押し上げられるということです。出産する必要がない繁殖牝馬が多すぎました。そして馬の質に関しては、米国全体であまり高いレベルではありませんでした」。
ケンタッキー州でナッコルス牧場(Nuckols Farm)を経営するチャールズ・ナッコルス(Charles Nuckols)氏は、「このことについて皆が似たような考えを持っていると思います。産駒数減少は朗報です。私たちは長い間過剰生産をしてきましたが、産駒数減少は馬の販売の促進と価格の下支えに役立つでしょう」と語った。
そして次のように続けた。「今や出走頭数を満たすのに苦労している競馬場もありますが、レースを多く施行しすぎていた競馬場もあります。彼らは開催数を削減する必要があり、量よりも質を取るべきです」。
北米サラブレッド産駒数が2005年から2010年にかけて21%減少した一方で、レース数は同時期で11%しか減少していない。
減少率のこの差は拡大する傾向にあるが、ランターンヒル牧場(Lantern Hill Farm)のスージー・シューメイカー(Suzi Shoemaker)氏は、「米国において競馬は縮小しつつあり、レース内容の質に重点を置く必要があります。望まれない馬は生産しなくなっているので、産駒数減少は実際のところ生産者にも馬自体にも朗報です」と語った。
By Paula Farrell
(関連記事)海外競馬情報 2010年No.18「ジョッキークラブ、2011年産駒数の10%減を推定(アメリカ)」
[Racing Post 2011年8月17日「‘Good thing’ as US foals total hits record low」]