北中米競馬委員会協会、ドーピングは制御不可能ではないと報告(アメリカ)【獣医・診療】
北中米競馬委員会協会(Association of Racing Commissioners International: RCI)のエド・マーティン(Ed Martin)理事長 は9月8日、“2010年競馬界における薬物の現実(Drugs in Racing 2010—The Facts)”と名付けられた報告を発表し、「薬物検査を受けた競走馬がほとんど例外なく陰性であり、この事実は、競馬界は薬物の問題を管理できていないという考えをふれ回っている人々の立場を弱めています」と語った。
この報告によれば、全米の競馬統轄機関は2010年、オリンピックよりも厳格な水準を用いている専門的な試験機関に32万4,215件の生体サンプルを送付した。そして、これらのサンプルのうち99.5%が陰性であった。
マーティン理事長は、「競馬統轄機関が他のスポーツよりも神経を使って多くの薬物検査を行っているにも拘わらず、競走当日に馬体内に残っていることが許されない薬物は全体の0.5%弱から検出されました」と語った。
またその他の報告によると、馬へのドーピング事例は稀で、検査を実施したすべてのサンプルのうち0.015%であることを示している。10年間におけるドーピングの検出傾向には変化がない一方、規制措置を取られるに至った治療目的での薬物過剰投与の件数はこの10年で減少した。2010年における全体的な薬物投与行為に関しては、RCIは下降傾向にあるとは表現しなかったものの、2001年よりも20%少なかった。
マーティン理事長は、「競馬は他のスポーツと同様に薬物の問題を抱えています。自分の目的のために規則を巧みに逃れようとするわずかな人々がいるために、私たちは努力を怠ることはできません。現在の水準を保ち、新しく出てくる薬物が厩舎地区へ入り込む状況に備えるためには、我々RCI、試験機関および研究センターは十分な資金と要員を必要とします」と語った。
マーティン理事長は、薬物検査プログラムの実態はしばしば誤解され、間違った印象が持たれていると主張する。
RCIの報告は、馬へのケアは人間へのケアと同じく、より薬物に依存するように進化してきたと指摘している。稀な薬物検出事例において、薬物ルール違反のほとんどは、免許を有する獣医師による馬への正常な治療の過程で投与された合法薬物が原因となっており、馬のドーピングあるいは禁止薬物投与の兆候と特徴づけることはできないことを競馬統轄機関のデータは示している。
By Blood-Horse Staff
[bloodhorse.com 2011年9月8日「RCI Drug Report: Doping Not Out of Control」]