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海外競馬情報
2011年02月10日  - No.3 - 4

“ミルクシェイク”撲滅に寄与する新たな禁止薬物検出方法(イギリス)【獣医・診療】


 1周年を迎えるBHA(英国競馬統轄機構)の獣医部門のおかげで、英国競馬は、競走前ミルクシェイク検査において世界の先頭に立つだろう。

 ニューマーケットの英国競馬学校(British Racing School)の特別馬房にいる約10頭の引退競走馬を実験に用いている競走馬研究センター(Centre for Racehorse Studies)は、内務省の認可による発足後の初年度に、薬物およびドーピング管理の分野で14の研究に着手した。

 そして禁止されているミルクシェイクの検査の分野において、早速明白な結果が出た。ミルクシェイクとは、運動中の筋肉によって生じる乳酸の影響を弱め疲労の発現を遅らせるために馬に重炭酸ナトリウムを投与することである。

 薬物管理を担当するBHAの獣医アドバイザーであり、部門長であるリン・ヒリアー(Lynn Hillyer)氏は、次のように説明した。「ミルクシェイクがオーストラリア、カナダおよび米国で発見された後、私たちは2002年に英国で機密情報に基づく的を絞った薬物検査を実施しましたが、証拠を明らかにすることはできませんでした。しかし2007年の薬物検査によって、2009年に初めて有効な告発を行うことができました」。

「私たちはミルクシェイクが英国で広く蔓延している問題ではないと信じていますが、私たちの薬物検査能力の向上を図りたかったのです。とりわけサンプルを輸送し、また競走後の薬物検査を指示するために競走前に使うことのできる携帯用でコンパクトな検査装置を使うにはどういうやり方が一番良いのかについて、もっと知りたいと思いました」。

 その結果、それまで最も信頼されていた(gold-standard)装置と比較してテストされ、2010年夏にヤーマス競馬場での試用に成功したコンパクトな“アイスタット(iStat)”という装置が開発され、まもなく競馬場で定期的に使用されることになるだろう。この装置は一つの血液サンプルを2〜3分で読み取ることができ、約20分で平均出走頭数の馬を検査することができる。

 マネージャーのキャロル・クラークソン(Carol Clarkson)氏とアシスタントのレベッカ・ミルマイン(Rebecca Milmine)氏とともに部門を運営しており、必要に応じてBHAの獣医師の援助を受けているヒリヤー氏は、「古いやり方においては各馬に4本のチューブを用い、多くの業務を要し、研究所で結果が出るのは数日後でした」と語った。

「この装置は数分以内にとりあえずの結果をもたらします。そして問題の馬を出走取消にすることはしないもののどの馬に競走後薬物検査を施せば良いのかを示してくれますので、手当たり次第の薬物検査をしないで済むことになります」。

「他にこの検査を行うことのできる国はありません。この検査によって大部分の出走馬を迅速にパスさせることができる一方、可能性のある問題点に注意を集中することができることを意味します」。

「その結果私たちは、ルールの範囲で自身の馬を調教し出走させている大多数の人々の不都合が最も少なくなるように、バランス良く効果的に私たちの人的資源を利用することができるでしょう」。

ミルクシェイクやエリスロポエチン(EPO)のような禁止薬物のより高度な検出は、競走馬研究センターの計画目標の1つを遂行するものであり、その他の目標としては、薬物体内残留時間に関するデータを作成することや、HFL運動科学研究所(Horseracing Forensic Laboratory Sports Science)が運営する競馬産業の検査センターにおける更なる研究のために基準サンプルを作り出すことなどである。

 ヒリヤー氏は、「私たちは、競馬において薬物を悪用したい人々に情報を提供するつもりはありませんが、調教師とその獣医師に対して、管理馬を扱うためだけではなく競走日に陽性反応が出ることを避けるための検出時間に関する重要な情報を提供する必要性は認識しています」と語った。

 競走馬研究センターの取組みと9つの研究の結果についての詳細は、インターネットの馬科学と福祉のリンクにおいて閲覧可能である(britishhorseracing.com/resources)。

By Howard Wright

[Racing Post 2011年1月9日「British breakthrough in fight to keep‘milkshakes’off menu」]
 


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