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海外競馬情報
2011年03月11日  - No.5 - 4

ブックメーカー、町の中心部の目抜き通りで増加中(イギリス)【開催・運営】


 あなたの街に最近新しいベッティングショップが出現しましたか?もしそうであれば、そのことに対する捉え方は人によって異なり、(a)「目抜き通りをリサイクルショップ、ブックメーカーおよび板を打ち付けた店舗からなる寂れた商業地に変える不吉な兆候」あるいは、(b)「反対者がレトリックだけで抵抗するにすぎない合法的ビジネスの動き」のいずれかでしょう。

 この議論に含まれていないのは、経済不況が目抜き通りのいくつかの事業を台無しにしている一方でベッティングショップの数は増加傾向にあるということである。

 オードナンスサーヴェイ社(Ordnance Survey: OS)が1月中旬に発表した調査によれば、ベッティングショップは、リーマンブラザーズの破綻が不況への突入の引き金となった2008年10月以来顕著な増加を示した唯一の事業分野である。

 ベッティングショップはその店舗数が5%増加し、以前目抜き通りでビジネスを営んでいた住宅金融組合(−28.2%)、人材派遣会社(−13.4%)およびパブやバー(−4.7%)などの中で、厳しい経済動向に楽々と抵抗した。

 町の中心部にベッティングショップが密集して存在することは注目の話題となっており、“ベッティングショップの好況は貧者の搾取を意味する”と主張する反対派に抵抗し、“ほんの少しの場所での自然な成長の結果にすぎない”と考えているブックメーカーを話題に登板させている。

 OSの出した数字は、町の中心部が1ポンドショップや質屋やブックメーカーを営む場所になりつつある証拠として利用されている。音楽と本のチェーン店であるHMVが数十の支店を閉鎖しているという最近のニュースにより、憂鬱は深まっている。

 過去のデータを精査することでより暗い議題が特定されており、このことは、目抜き通りの変化が明らかな地区を代表する政治家によって採り上げられた。

 この問題は国会でも提起され、ロンドン北部のハリンゲー市で調査の対象となった。ハリンゲー市議会の監視委員会は、貧困と高い失業率に苦しんでいる地区において次から次へと店舗を開店したいと目論んでいるブックメーカーが寄り集まってくることについて、何をなすべきかを検討している。

 ロンドン東部のウォルサムストウの目抜き通りにおいて、最近倒産したコリンズブックメーカーズ(Collins Bookmakers)に取って代わったジェニングスショップ(Jennings shop)にとっては今やパディパワー社(Paddy Power)が新しいライバルとなっており、その場所はわずか6店舗先の以前チャイナオーシャンビュッフェ(China Ocean Buffet)が営業していたところである。この2つのベッティングショップは、速足で歩いて10秒の距離しか離れていない。

 ブックメーカーの新店舗の需要があることを地域の判事に納得させるための“需要テスト”を2005年賭事法(2005 Gambling Act:新賭事法)が撤廃するまでは、このような衝突はほとんど見られなかった。不況時に目抜き通りの店舗が次々と閉店したことで、“需要テスト”の排除により荷を降ろされたブックメーカーは、近くにベッティングショップがあったとしても参入することが出来た。

 一方ブックメーカーは、賭事客は自ら店舗を選択できることを楽しんでいると述べるとともに、ウィリアムヒル社(William Hill)の法人サービス担当部長デヴィッド・スティール(David Steele)氏は、力は人々に立脚していると主張し、次のように述べた。「もし人々が特定の小売店舗を支持しなければ、それは倒産することになるので、最終的に目抜き通りの店舗の構成を決めるのは地域の住民です」。

 スティール氏は、地方自治体は営業免許を与えることを拒否する権限を持っており、目抜き通りの構成をコントロールするために開発を制限する命令を行使することができるはずであると主張する。

 反対派は、目抜き通りの姿が変わり行くことで地域コミュニティが魂を失いつつあり、ベッティングショップの急増は犯罪の増加を招きかねないと主張する。この流れを反転させる可能性について悲観的な人々もいる一方で、反対派は、町の中心で12軒目となるベッティングショップについてのパディパワー社からの申請書を拒否したニューマーケットにおける1月25日の決定に気を良くした。

 ロンドン南西部において、以前ハリファックス社(Halifax)の支社があったデプトフォードの目抜き通り93〜95番地にベッティングショップを構えるというベットフレッド社(Betfred)の計画に反対が起きている。一方ルイスハムの市議会に送られたインターネット請願には55名分の署名しかなかったが、目抜き通りの37箇所の住所が含まれていた。

 デプトフォード在住のあるブロガーは、追い詰められている市議会はブックメーカーに抵抗する余裕がないと自身のブログに書き込み、「ベットフレッド社の出店が認められた結果、誰かがナイフを持って店内に立ち入ったり、別の店舗で凶器を持った強盗が大勢を撃ち殺したとしても、ベットフレッド社は彼らの主張が通るまで訴訟を起こすので、何も変わらないだろう」と付け足した。

 一方ベッティングショップの取り扱いに対する全く別の考え方も提案された。以前のロンドン市長であるケン・リビングストン(Ken Livingstone)氏は、6年前の1,721店舗に比べて2009年には2,095店舗が賭事運営免許を取得し営業していることを指摘しつつ、「今こそベッティングショップにではなく地域コミュニティに方向付けを行う権限が与えられるべきです」と述べた。

 スティール氏は次のように反論する。「私たちは変化する社会に生きており、それは私たちの町の中心にも反映されています。ベッティングショップは他の小売店と違いはなく、需要と供給の原理が妨げられる理由はありません」。

「多くの小さな町の中心部にはリサイクルショップ、1ポンドショップが散在していますが、このことは町を最適利用するという総意ではありません。これが現代の目抜き通りの現実なのです」。

 

英国の目抜き通りの店舗数の変化 
事業の種類  2008年10月からの増減 
ベッティングショップ  +5.0% 
パブ&バー  - 4.7% 
不動産屋  - 9.2% 
人材派遣会社  - 13.4% 
住宅金融組合  - 28.2% 
 オードナンスサーヴェイ社  

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 By Tony Smurthwaite

[Racing Post 2011年1月26日「Boom or bust−the battle for the town centre」]
 


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