競馬界の各分野、10年間着実に成長(フランス)【開催・運営】
現在ではフランス馬・馬術研究所(Institut français du cheval et de l’ équitation)と改称されている国立種馬場(Haras Nationaux)は毎年、“エキュス(ECUS)”と名付けられた貴重な年鑑を発行している。競馬界に関する多くの数字を提供しているこの年鑑の最新号において、1999年から2009年までの10年間に各分野で成長が見られたことが示されており、競馬界と出走馬を供給する生産界がどのように変化したかを見ることができる。
生産:平地競走馬の増加傾向、繋駕競走馬の停滞傾向
まず確認できることは、平地競走と繋駕競走の生産界がそれぞれ異なる方向に向かっていることである。
平地競走においては、生産者数は10年前の3,600人の20%増である4,320人となり、繁殖牝馬の数は6,900頭の18%増である8,150頭になった。これらほど大幅ではないものの種牡馬の数も増加し、347頭の9%増である379頭となった。国の関与が解消された影響で国有の種牡馬の数が30頭減り、2009年には36頭となった。
一方繋駕競走においては、生産者数は10年前の8,030人の2%減である7,880人となった。また繁殖牝馬の数は10年前の1999年には1万7,200頭であったが、2009年にはその7%の1,200頭が減少して1万6,000頭となった。したがって能力の低い繁殖牝馬を処分させるための奨励策は、シュヴァルフランセ(Cheval Français フランス速歩協会)が望んでいたレベルには達しなかったものの、いくらかの効果はあった。種牡馬については淘汰がより一層厳しく、10年前より133頭減少し、467頭となっている。そのうち国有の種牡馬は26頭であり、この数は10年前よりも19頭減少した。
技術的進歩と継続的な繁殖医学および衛生学の進歩が並行して実現したことにより、平地競走において産駒数はたった10年間で25%増加し、2009年には5,330頭のサラブレッドが誕生した。繋駕競走馬については反対に10年前より産駒数は900頭減少し、2009年には1万1,141頭となった。
競走:より多くの産駒とより多くの出走馬
PMU(フランス場外馬券発売公社)およびPMH(フランス場内馬券発売公社)を通じて馬券発売を行う競走数は急増しており、1999年には1万6,300レースであったのに対し、2009年には10%増の1万8,000レースとなった。繋駕競走は1,100レース、平地競走は490レース、障害競走は90レース増加した。
平地競走馬の産駒数の大幅増加に比例して、平地競走と障害競走のレースは出走馬の大幅増加を記録した。10年前から22%増加し、2009年には1万5,000頭の馬が出走した。繋駕競走において、同じ世代間の産駒数全体の中で出走資格を持つ馬(現役馬)の割合は最高の割合を記録し、2000年には35%であったものが2009年には40%以上となった。公式競走に出走した馬は、10年前より15%増加し過去最多の1万5,500頭となった。
賞金については、PMUによって達成された素晴らしい業績により、その増加は顕著である。馬主および調教師などの競馬関係者に提供された賞金は3億1,000万ユーロ(約372億円)から5億200万ユーロ(約602億4,000万円)に増加した。10年間において62%増加したことになり、他の経済活動分野の大半は競馬産業を羨んでいる。
By François Hallopé
(1ユーロ=約120円)
(関連記事)海外競馬情報2009年No.23「国立種馬場と国立馬術学校が統合(フランス)」
[Paris Turf 2011年2月10日「1999-2009:toujours plus!」]