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海外競馬情報
2011年04月22日  - No.8 - 3

BHA、ベットフェア社の海外移転を非難(イギリス)【開催・運営】


 BHA (英国競馬統轄機構)は3月8日、ベットフェア社(Betfair)が3月9日からジブラルタルの免許で賭事を運営するとの決定を非難した。ベットフェア社のこの決定は、3月8日の堅実な決算報告の際に発表された。

 しかし、ベットフェア社は粗利益税において年間2,000万ポンド(約28億円)の節約が可能となる一方で、もはや法的に強制されないにもかかわらず競馬賭事賦課公社(Levy Board: 賦課公社)に直接年間600万ポンド(約8億4,000万円)に上る額を支払い続ける可能性がある。

 ベットフェア社が賦課公社に直接賦課金を支払い続けるか、またはホースメングループ(Horsemen’s Group)、ジョッキークラブ競馬場社(Jockey Club Racecourses: JCR)、スコットランドレーシング(Scottish Racing)のような英国競馬の構成団体に直接的に支払い続けるか、あるいはその両方を続けるかは、ベッティング・エクスチェンジ利用者との協議の後に出される賦課公社の勧告の影響を受けるかもしれない。

 賦課公社は3月9日、ベットフェア社のベッティング・エクスチェンジの常連利用客が、ブックメーカー事業を運営しているのと同様に賦課金を支払う義務があるのかどうか更に議論するために会合を持つ。賦課公社がその措置を勧告するならば、ベットフェア社が賦課公社に直接的な支払いを行う可能性はかなり小さくなるだろう。

 しかしながら、たとえベットフェア社が賦課公社に直接的な資金提供を行うとしても、ベットフェア社は何時でもそれを中止し得ることから、そのような自発的な支払いは計画的な歳入という観点からは価値を持たないとBHAは考えるだろう。

 BHAはまた、ベットフェア社が英国の賭事運営免許および規制制度の外に出てしまうと、もはや同社に情報資料共有を強制できなくなるため、非常に深刻な悪影響となり得ると強調した。

 ベットフェア社は、第49回賦課金計画と2011年4月1日から始まる第50回賦課金計画で支払ったであろう賦課金と同じ額を競馬界に資金提供することを誓約している。

 さらに、1月31日まで3ヵ月間で6.2%増の7,700万ポンド(約107億8,000万円)の収入が報告されたベットフェア社はレーシングポスト紙に対し、2012年以降賦課金の代わりの支払いを続けない理由は見当たらないと語った。

 BHAは、ベットフェア社の海外の賭事客が英国競馬に賭けることによる利益の見返りとして行う自発的支払いを取りやめたことを例に挙げて、ベットフェア社の誓約は価値がないと考えている。

 その代わりにベットフェア社は、表向きは草の根の競馬を支援すると称して100万ポンド(約1億4,000万円)以上を、ホースメングループ、JCRそして北部競馬学校(Northern Racing College)のような機関に支払った。BHAによれば、ベットフェア社は大きなスポンサーではあるが、競馬を支援してくれると同時に利己的でもある。

 BHAのCEOニック・カワード(Nic Coward)氏は、「自発的支払いと呼ばれるもののコンセプトには相当の欠点があります。その支払いは信頼が置けず、強制されているわけでも計画立てられているわけでもありません」と語った。

 そして次のように続けた。「ベットフェア社は、英国で事業を行うに当たって権利を買い取ったり、有利な立場を得たりするための費用として何れにしても支払わなければならない資金を提供しているだけです」。

「ビジネスモデルが異なることやどのようにしてどのくらい賦課金を納めているかを踏まえた上で、ベッティング・エクスチェンジの提供会社と従来のブックメーカーとの間や国内の賭事業者と海外賭事業者との間で均等な機会が必要である、と競馬と賭事を担当するジョン・ペンローズ(John Penrose)大臣が述べるのを最近目のあたりにしました。この均等な機会は今でも存在しておらず、変革は延び延びになっています」。

「ベットフェア社は、600万ポンド(約8億4,000万円)以上の資金を召し上げることになり得る賦課金収入目標に関する決定をジェレミー・ハント(Jeremy Hunt)大臣が下したすぐ後にこの措置を取りました。このことはそのプロセスを愚弄するものです」。

 そしてニック・カワード氏は次のように付け足した。「その賭事形式によって独特な脅威となっているベッティング・エクスチェンジを支配するベットフェア社が、意図的に英国の賭事運営免許と規制制度の外に出ることで、非常に深刻な悪影響が生じるでしょう」。

「これは、政府が海外賭事業者の利用している法の抜け穴を塞ぎ、すべての規制の問題と賦課金に対処するために行動する緊急性があることのもともと必要とされていた追加証拠です。このことは、賭事産業全体およびベットフェア社が利益を最大限にするため現在政府に向かって投げかけている英国の遠隔賭事の枠組みに対する信頼性を確立します」。

 海外賭事業者が英国競馬への賦課金を支払わずに節約している額は、約1,200万ポンド(約16億8,000万円)と見積もられている。そしてベットフェア社は、賭事からの粗利益をベースとした税金が英国での15%に対して1%であるジブラルタルを本拠地として賭事を営んでいる、ラドブローク社(Ladbrokes)、ウィリアムヒル社(William Hill)、ビクターチャンドラー社(Victor Chandler)およびスタンジェームズ社(Stan James)などのグループに加わった。

 ベットフェア社のマーチン・クラッダス(Martin Cruddace)法規担当部長は、同社の株価が7.61%高の9.55ポンド(約1,337円)で終了した3月8日に、1,800万〜2,000万ポンド(約25億2,000万〜28億円)とアナリストたちが見積もる節税額は、ジブラルタルの賭事運営免許に切り替える際の決定においては大きな要素ではなかったと主張した。

 そして次のように語った。「税制の有利性という点は明らかに重要ですが、今回の移転措置はただ税制だけによるものではありません。これは私たちの顧客によりよく奉仕するためです。私たちは最大限の能力を発揮して、顧客に対してより良いテクノロジー、信頼性、そしてより良い体験を提供することを目ざしています」。

「そして、私たちは株価のために今回の移転を行ったわけではもちろんありません。私は、株価は成り行きで決まるものといつも言ってきました」。

 ロンドンのハリファックスとスティーヴネージにオフィスを置き、今後も引き続き約1,200人のスタッフを雇用するベットフェア社は、海外への移転に加わる可能性をこれまで一貫して排除して来なかった。クラッダス氏は、「いかなる時にも存在する商業的、政治的および規制的な要素に対応する柔軟性を持たせないとすれば、それは私たちの怠慢になるでしょう」と続けた。

By Andrew Scutts
(1ポンド=約140円)

[Racing Post 2011年3月9日「Betfair offshore move condemned by BHA」]
 


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